タヌキの親子
里山に暮らす夫婦の物語。
人里離れた山の麓にひっそりと佇む藁ぶき屋根の古い家。
そこには仲のいい夫婦が暮らしていた。アヒルのルンルンとカッパのパッパだ。
二人(2匹?)とも自分を人間だと思っている。
つつましやかでありふれた日常は、奇想天外な出来事に彩られていた。
裳倶六はちょこちょこと歩き出した。そのあとをパッパ達が追う。
山道から脇にそれると、木々が鬱蒼と茂っている山の斜面に細いケモノ道があった。ケモノ道は幾重にも枝分かれしており、確かに注意して歩かないとすぐに迷ってしまう。裳倶六はわき目も降らず、ずいずいとケモノ道を進んでいく。しばらく歩くとひときわ大きい楠木に出くわした。その根元に小さな洞穴らしきものがあった。穴の入り口は、周りの草で扉を隠すように小さくあいている。
裳倶六は、洞穴の前までたどり着くと穴の中に向かって叫ぶ。
「おーい! 権蔵タヌキー! おるかー?」
しばらくすると中から二匹のタヌキが顔を出した。どうやら夫婦のようだ。
二匹のタヌキは、ルンルンの背中に乗っている子ダヌキに気がつくと、すぐさまルンルンのそばまで駆け寄った。子ダヌキは二匹の親ダヌキを見つけると、すぐにルンルンの背中から飛び降り、親ダヌキに抱き着いた。母ダヌキが涙をぽろぽろ流しながら子ダヌキを抱きしめる。その様子をルンルンは黙って見ていた。
裳倶六は大仕事を終えた気分ちになり、ほっと一安心といった表情だ。
「おう、権蔵タヌキ。こちらの旦那さんたちが迷子の子ダヌキさんを保護してくださったんだよ」
「あ、ありがとうございます!」
深々と頭を下げる親ダヌキの目には大粒の涙が浮かんでいた。
裳倶六は「じゃあな、パッパ」と言いながら、さっと土の中に潜ってどこかへ行ってしまった。
再会の喜びで泣きじゃくるタヌキの親子をしり目に、ルンルンとパッパもその場を後にした。
山からの帰り道、ルンルンが話しかける。
「パッパ。子ダヌキちゃん、お母さんたちと会えてよかったね」
「ああ」
「もう、迷子にならないといいね」
「ああ」
「ねえ、パッパ」
「うん?」
「子どもってかわいいね」
「ああ」
どことなく寂しそうな表情を浮かべるルンルン。
パッパはルンルンの頭を撫でた。
それからしばらく二人は、言葉少なに山道を下りて家に帰っていった。
のんびりとした気持ちで読んで頂ければ幸いです。
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