表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/14

モグラは自称忍者

里山に暮らす夫婦の物語。

人里離れた山の麓にひっそりと佇む藁ぶき屋根の古い家。

そこには仲のいい夫婦が暮らしていた。アヒルのルンルンとカッパのパッパだ。

二人(2匹?)とも自分を人間だと思っている。

つつましやかでありふれた日常は、奇想天外な出来事に彩られていた。

ルンルンは翼を広げて、盛り上がった土から飛び上がった。

子ダヌキも一生懸命ルンルンにしがみついている。

次の瞬間、土が盛り上がっていた場所にポコッと穴が開いた。かと思ったら、そこから何やら小さい生き物が顔を出した。

ネズミ? いやモグラだ!


「やあ、ジェームズ。久しぶりだな」

「誰だ!?」


モグラは地上へ出ると、パッパの足に飛びつき、そのままスルスルと肩まで駆け昇った。

肩口までたどり着いたモグラは、「(すき)ありっ!」と言いながらパッパのほっぺにパンチを当てて、すぐさまパッパの肩からクルクルと回転しながら飛び降り、きれいに着地した。体操競技だったら98点の高得点であろう。ただしパンチはほとんど効いていない様子だ。


「ジェームズ、相変わらずだな。元気そうで何よりだ」

「ジェームズなぞ知らぬ! 貴様いったい何ヤツ?」

「今日は頼みがあって来たんだ」

「儂のことを甲賀忍者の末裔と知っての狼藉か?」

「多分ジェームズに聞いたら分かると思ってな」

「儂の天空必殺拳IIを喰らってビクともしないとはお主、かなりの手練れとみた」

「ここにいる子ダヌキさんなのだが迷子になってしまってな」

「なに?」


モグラは、ルンルンの背中に乗っている子ダヌキに気がついた。


「おお、権蔵タヌキのところの子せがれではないか」

「良かった。流石、ジェームズ。やっぱり知っていたか」

「その、『ジェームズ』はやめろ、パッパ!」

「もうスパイごっこはやめたのか?」

「ごっこじゃない! 俺は今は鵜飼(うかい)裳倶六(もぐろく)という立派な忍者だ」


鵜飼裳倶六という人物(?)はキノコの山に住むモグラだ。

スパイ映画が好きで、本人は少し前まで『ジェームズ』と名乗り、MI6の一員として活動している気になっていたのだが、最近はユーチューブで忍者物にはまってしまい、『鵜飼裳倶六』と名乗って忍者の活動(?)をやっている。

裳倶六は、実際地下に潜って近辺の情報を集めるのが大好きである。まあ、情報といってもしがない山奥でのこと、国家機密に相当するような情報が有ろうはずもないのだが、本人は大真面目である。


「そうか、最近は忍者になったのか。鵜飼裳倶六、いい名だ。で、この子ダヌキ君の家まで案内してくれないか?」

「まあ、良かろう。袖触れ合うも多生の縁と言うしな。ついてまいれ」


裳倶六は得意そうな顔で踵を返し、山奥に向かって歩き出した。


のんびりとした気持ちで読んで頂ければ幸いです。

少しでも面白かったと思って頂けたら、評価やブックマークを是非お願い致します。

どうぞよろしくお願いいたします。m(__)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ