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ニート生活2日目

「とりあえず今は疲れただろう、休むといい」

そういってリリさんは指を振るうと独房だった部屋が綺麗な一室になった。


「これも魔法ですか?」


「そうだよ、魔法は無限の可能性があるからね」


そういいリリさんは女の子座りをし膝をポンポンとした。


一瞬訳が分からなかった。

座るのは確かにわかる、だがなぜ膝をポンポンとしたのだろうか?ここに来いと言うことなのか?いやそんな年齢でも大きさでもないのは分かってるはずだ、これはもしや膝枕なのか?


「あの、リリさんいったいなにを」


「なにって、膝枕だよ?」


「俺がされる側なんですか?」


「そうだよ」

少し抵抗してると焦らしてしまったのか無理やり横にされて膝枕された。

あ、柔らかい…そんなことを考えてしまった。


「疲れただろう、今はゆっくりおやすみ」

そういって頭を撫でられながら俺は泣いてしまった。


「すごく怖かったです」


「うん」


「すごく痛かったです」


「うん」


「なんで俺がって思ったんです」


「うん」

リリさんは相槌だけしてくれてその間も頭を撫で続けてくれていた。

そして俺はいつの間にか眠ってしまっていた。


目が覚めると、目の前にはリリさんの顔がありびっくりして急に起き上がってしまった。

しかしそこはさすがは魔王様ヒョイっと避けてデコとデコがぶつかることは無かった。


「すみません急に起き上がったりして」


「いいよいいよ、顔を覗き込んでた私も悪いし、途中唸ってたけどやっぱり昨日のことが原因かな」


リリさんが魔法で深くねむらせてくれてたのか夢は見なかったが、やはりあんな出来事があった後だから唸ってしまっていたのだろう。


「すみません、うるさかったですか?」


「そんなことはないよ、ただもっと早く助けに来れてたらって後悔があるだけ」


「そんな!助けていただいただけでも感謝してます」


「それじゃあ王宮に行こうか」


へ?なぜ王宮?もしかして王宮に俺を返す気なのだろうかと不安に感じてると。


「違う違う、今回の事件は不出来な王宮が原因とも言えるだろう、だからこそ問いただして君をこちらで保護させてもらうように言うんだ」


なるほどそういう事かとホッとしていると、リリさんはクスリと笑った。


「君は顔に出やすいね」


「え!そんなこと…」

あまり否定はできなかった、あまり嘘をつくのが得意なタイプでもないし、言葉の駆け引きなども苦手だ。

そういうところから顔に出やすかったりするのだろうか…


「それじゃあ王宮に向かおうか、手を出して」


言われるがまま手を出すと視界がグラグラしだした。

なんだこれはと思っていると、先程の一室とは打って変わって王宮の門の前にいた。


そこでは見るも明らかにバタバタとしているのが見て取れる。勇者である俺が行方不明になったのが分かったのかのバタバタ具合だった。


「あっ勇者様!それと魔王様!?」

バタバタの中こちらに気づいた騎士の1人が声をかけ敬礼をしてきた。


「勇者様!どこいってらしたんですか!?魔王様はどういったご要件でしょうか?」

なにか言おうとした瞬間リリさんが


「戯けが!こちらの勇者セイヤは誘拐されたのだぞ!我はそれを助けたのだ!それについて王に話がある!」

お怒りである、その覇気に当てられたのか騎士の人は顔を青ざめさせ、腰を抜かした。


「もうよい!行くぞセイヤ!」

そういってリリさんは王宮に向かい歩き出した、俺はそれに後ろからついて行く形になる。

魔王の覇気によって騎士たちは近づくことすらできず、そのまま王宮へと入っていった。


王宮でも大騒ぎになっており、しかしそこに覇気を纏った魔王が現れたことで沈静化する。


「王よ!王はおるか!」


「魔王よどうしたのだこんな朝から、こちらは勇者を探す手がかりを探しに…ん!?後ろにいるのはセイヤでは無いか!」

王は俺が行方不明になったことに対しての対処をしていた所に、魔王と一緒に現れてビックリしただろう。

俺は事の経緯を話した。


「なんとそんなことが…すまなかった、我々の力不足でそなたに苦労をかけた」


「王!あなたでは勇者セイヤ引き受けは無理と私は判断した!よって今日から私が勇者セイヤを引き受けることにした」


「確かに我々では勇者を守ることができなかった、すまない、魔王よ任せても良いだろうか」

話はまとまり、リリさんの所に厄介になることになった。

リリさんには守ってもらう事と衣食住を提供してもらうことになっている。


「それじゃあ行こうかセイヤ!」

そういって手を出したのを見て、俺はその手を取った。

視界がグラグラしだし、次の瞬間には大きな城が見える前に来た。


「ここが魔界と呼ばれる場所で、この建物が私の家魔王城だよ!これからよろしくねセイヤ!」

打って変わっていつも通りのリリさんに戻りそのリリさんの言葉には俺は返事をしたのだった。

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