後進を育成しよう
俺は今日も魔王城の一室から起床する。
朝ごはんを食べ、俺は冒険者ギルドに向かった。
朝の冒険者ギルドはやはり混んでいるので、俺は椅子に座りながら待つことにした。
すると声がかかってきた。
「セイヤさん!おはようございます!」
「あぁおはよう、リナ」
声をかけてきたのはリナだった。
俺はそこでふと思い付いた、リナを育成してみようと。
「リナ、俺に育成されてみる気はないか?」
「え!それは嬉しいですけど…」
「なんだ?どした?」
「セイヤさんはいいんですか?お金とか時間とか」
まぁ金も時間も有り余ってるので俺は大丈夫とだけ答えてリナの育成を始めた。
俺は剣は持ってるけど剣士では無いどちらかと言えば魔法使いだ。
魔法使いならばそう、魔法を教えるのが一番だ。
俺とリナは広場に行き、魔法の練習をすることにした。
「まずは魔力を流すから、自分の魔力を感じ取るんだぞ」
「はい!」
魔力を感じ取るのには個人差がある。
俺は一瞬だったが、魔王であるリリですら1時間はかかったという。リリの場合は魔力を流されずに感じ取ったみたいなので、魔力を流される方が感じ取りやすいのだろうと思いながら俺は魔力を流し続けている。
「どうだ?なにか分かるか?」
「うーん全然です」
そんな一瞬で感じ取るのは普通の人には難しいらしく、魔力を流すだけでも3時間はかけてしまった。
魔力を流すのはやめて、俺とリナは冒険者ギルドに帰ってきた。
リナが受けれる依頼はゴブリンの討伐なので、それを受けることにした。
俺は探査魔法を全開にしながらゴブリンを探す。
俺がゴブリンを見つけてリナが倒す。
危なくなったら少しの援護をして10体倒すことに成功したので、もう一度この場で魔力を流す。
この日は魔力を流し続けるだけで終わったので、俺達は冒険者ギルドに帰ることにした。
朝は冒険者ギルドで待ち合わせをして、広場に行き、魔力を流し、昼くらいにゴブリンを討伐し、そして余った時間で魔力を流すという日々を過ごしていたら3日後にリナの魔力が覚醒した。
「やった!ありました!魔力!」
「やっとか、おめでとうリナ」
こうして魔力が芽生えた彼女に、魔法を教える。
魔法はイメージだ。イメージさえしっかり持てばどんな形だろうと魔法は発動する。
それをしっかり教えて、リナは魔法を発動する。
彼女が最初に発動させた魔法は身体強化だったみたいで、ジャンプが俺の身長を超えるくらいだった。
しかし鍛えてない体でそれをしようものなら。
「イタタタタ!身体が!身体が痛いです!」
そう、身体強化の反動で身体が痛いのだ。
俺は回復魔法をかけてやり、リナは動けるくらいまで回復した。
「身体強化は身体を鍛えてないと反動がやばいから毎日ランニングとか筋トレをして身体を鍛えること」
「はい!」
そしてリナは広場で他の魔法も練習し始めた。
魔法はイメージで発動するので、イメージさえ持てれば発動するはずなのだが5分経ってもリナはむぐぐと唸っている。
「リナ、ちょっといいか?」
「あ、はい!」
そうやり取りをしながら俺は氷の槍を出す。
「これ見ながらイメージしてみて」
「はい!わかりました!」
そしてリナは氷の槍を見ながら魔力を消費し見事氷の槍を出すことに成功した。
後は見本を見ずにやるだけだ。
そう思い、俺はリナにそう告げた。
「とりあえず今日は氷の槍を使ってゴブリン討伐に行こうか」
「はい!」
そう返事が返ってきたので俺は探査魔法を発動させながらゴブリンを探していく。
ゴブリンを見つけ、俺達は木陰に隠れている。
「よしリナ、氷の槍で倒してみて」
「はい!」
そして氷の槍を出してゴブリンに放つ。
ゴブリンは胸あたりに槍が命中し絶命した。
「やった!やりました!」
「よくやったな」
「はい!」
そして討伐の証の耳を切り取り、残りの9体も同じようにして倒していく。
俺達はギルドに帰り、リナはゴブリンの耳を渡して銀貨1枚貰っていた。
俺は特に受けた依頼もないので俺はリナに別れを告げ魔王城に帰ることにした。
その前に、身体強化の魔法は身体を鍛えてからだぞ、と告げる事も忘れずに行った。
魔王城に帰り、俺は夕食を摂ることにした。
最近では俺が米を食べたいという要望があったので、俺だけ米を食べている。
米にステーキはやはり合うと思いながら今日のご飯を食べていた。
みんなはパン派なので、米は俺だけだ。
夕食も終わり、俺は風呂に入って寝るだけだと思いながら風呂に入り、眠りについた。
後日あんなことが待ち受けているとは俺には想像もしていなかった。
朝はやはり米だろうと思いながら朝ごはんを食べている。
俺は今日何故か冒険者ギルドに呼び出されていた、俺が何かしただろうか?と思いながらも俺は何かをした記憶がないので困っている。
まぁ行ってみれば分かると気軽な気持ちで俺は朝食を食べ終えて、冒険者ギルドに向かうことにした。
少し朝から遅れて来たので今は冒険者達が居ない中俺は受付嬢のメルルさんの所に向かう。
「おはようございますメルルさん」
「おはようございますセイヤさん!」
今日のメルルさんは元気いっぱいだ。
そんなことを考えながら俺は呼び出しを食らったことについて聞いてみた。
「なんか呼び出しくらったんですけど、なんかしましたかね?」
「いえいえ、そんなことはないと思いますよ」
そうやり取りをしていると奥の方からギルド長が出てきた。
「セイヤさんちょっと上まで来てもらってもいいですか?」
「はい」
そうギルド長とやり取りをして俺はギルド長について行く。
ギルドの一室に連れて来られて、俺とギルド長はソファーに座った。
「この前1人の人を育成したそうですね」
「えぇ、しました」
「その育成をうちの後進達にしてあげられませんか?」
「それは依頼としてですか?個人のお願いですか?」
俺はそう聞くとギルド長は個人のお願いであると言った。
個人のお願いなら聞いてあげようと思い、俺はいいですよと返事をした。
その後ギルド長が駆け出しだけの為の育成という名の訓練期間を設けることを発表した。
こういうことには普通お金を取るのだが、なんとギルド長は参加しただけでも銀貨1枚払うという。
希望者は殺到したが、俺はできるだけ少なめの人数でお願いした。
それでも30人はいるだろうと思い、まずは魔力を流すことから始めるつもりだ。
場所はギルド内の施設である訓練所で行われた。
「俺は魔法使いなんだが、この中で魔法を覚えたいって人はいるか?」
そう言うとみんなが手を上げた。
剣士目指してる人でも身体強化とかあるもんなと思いながら俺はみんなに輪になるように手を繋いで貰った。
一人一人魔力を流すのは面倒なので、一気に魔力を流すことにしたのがこの輪になる作戦だ。
俺の右手から魔力を流し、人を返して俺の左手に戻ってくる仕組みだ。
そして魔力を流し続けること5時間経っても誰も魔力を感じ取れないまま今日の訓練は終わった。
みんな銀貨1枚をもらい、今日は帰宅する。
3日目にしてようやく1人が感じられるようになって、みんなが感じられるようになったのは5日目だった。
その後剣士の子が身体強化をして痛みに打ちひしがれてる光景を見たり、魔法の発動に手こずっている子には魔法を見せイメージを具現化させてあげたりもした。
そうしてみんなが独り立ちできるまで面倒を見て、俺はギルド長からのお願いを達成したのだった。
「今回はありがとうございました」
そうギルド長に言われて俺はいえいえと返事を返すばかりだった。
俺は今日も一日充実した日々を送り、魔王城に帰ってきた。
「ただいま」
と言えば。
「おかえり」
と返事が返ってくる。
俺の今の家はここなんだなと実感しつつ俺は帰ってきたという気持ちで魔王城の中に入っていった。




