妖精と仲良くなった
リリと付き合い始めてから1週間が経った。
リリは基本政務に勤しんでおり、丸一日休みというものが週に1回取れるかどうかなので、デートの無い週も存在する。
俺はその事実を知り、悲しんだが、毎日顔を合わせてはいるのでまだ平気だった。
これが日本の遠距離恋愛だったら耐えられたのかどうか分からなかった。
しかしここは異世界なので、同棲してるも同然の状況なので俺は安堵していた。
今日はリリが忙しくてデート出来ない日なので、俺は散歩に行くことにした。
強くなくてもリリの傍にいられるということから、俺は鍛錬を一旦辞めて、リフレッシュをすることにしている。
街中を歩いていると今日も声がかかってくる。
「おう、あんちゃん!」
「よう!おっちゃん!」
そんなやり取りをしてから俺は森の中に散歩しに行くことにした。
俺は転移魔法で帰れるので、時間も気にせず森の中を自由気ままに歩いていた。
途中見つけた果実を取っては鑑定して、食べれる物なら食べ、食べれないものはその辺に捨てていく。
そんなことをしていると、剣戟が聞こえた。
俺はその方向に行ってみると、冒険者がゴブリンとやり合いをしていた。
冒険者のルールとして獲物を横取りしないなどのことがあるので、俺は木陰に隠れて様子を見ていた。
「やぁ!」
そう掛け声をかけて剣を振るっている。
見た目は小柄な少女だが、なにか秘めた力がないか鑑定をかけて見てみる。
リナ
身長140cm
体重38kg
魔力量ややわずか
能力なし
なるほど、リナという人物なのかということと、今回は能力だけを見たかったので、バストウエストヒップは出てこなかった。
俺はその少女がゴブリンを倒すまで見ている。
なんとかやりあえているが、危うい感じだ。
長い攻防の中勝ったのはリナだった。俺はそのままそそくさと場所を離れる。
そのまま散歩を再開し、俺は探査魔法に引っかかった所に行くことにした。
木々をかき分けてたどり着いた先には地面に横たわっている小さな妖精だった。
体長は30cm程だろうか、俺はそのまま妖精の所に行った。
こういう時にこそ鑑定だろうと思い鑑定魔法をかけた。
リズリット
身長30cm
体重3kg
魔力枯渇状態
能力木々を操る
魔力枯渇状態とはなんぞやと思い魔力枯渇に注視して鑑定をしてみる。
魔力枯渇とは体内の魔力が著しく枯渇しており、最悪の場合死に至る。
俺は焦った。
このままではリズリットさんが死んでしまうと思い俺は手のひらに乗せて、自分の魔力を注ぐ。
すると先程よりも顔色が良くなったようで、俺は安堵した。
しばらく経ち、妖精さんが目覚める。
「あれ?ここは?」
「あの、大丈夫ですか?」
「わぁ!人間!」
そう言い妖精さんは木の後ろに隠れてしまった。
「あなたは悪い人間?善い人間?」
ふむ、悪い人間か善い人間かか、実際はどうだろう?
なにか悪事にも手を出した事は無いし、善い行いをしたこともない。そういう点では微妙なラインだ。
「悪いか善いかは分からないけど、君に危害を加えるつもりはないよ」
俺がそう応えたら妖精さんは近寄ってきて俺の魔力を目の当たりにした。
「凄い魔力量です!もしかして凄い人ですか?」
「一応これでも勇者をやってるからね」
「わぁ!勇者さん!勇者さん!名前を聞いてもいいですか?」
「セイヤって言うんだよろしくね」
「はい!よろしくです!私はリズリットっていいます!」
リズリットとそんなやり取りをしていると、リズリットはそうだ!といい、俺にあることを持ち掛けてきた。
「私たちの村に来てくれませんか?」
「いいけど、俺が行ってもいいの?」
「はい!私と同じ症状の子達が沢山いるんです!だから私を治してくれたセイヤさんに治してもらいたいんです!」
そう力説されてしまっては断れまいと思い俺は妖精の村へと案内されるのだった。




