ニート生活1日目事件発生!?
5話目ですよろしくお願いします。
1日目は散策終えた後はすぐに王宮に戻された。
あまり外を長居はされたくないのだろうと思い指示に従って客間へと戻った。
「ふぅ…」
息が出たのはため息からなのだろうか、途中で王宮に戻された不満からだろうか、それとも慣れない土地で疲れてるからなのだろうか、実際にはその両方なのかもしれない。
俺はベルをならし夕食を呼ぼうとした、しかしメイドはすぐには来なかった。
「あれ?おかしいなぁ…まぁそのうち来るか」
お気楽に考えながらメイドを待っているがやはり来ない、もう一度鳴らしてみるかと思いベットから机に向かおうとした所でドアが開かれた。
なんだもう来てたのかと思ったがどうも違うみたいだ、メイドの人はノックをしたはずである、しかし今回はノックもなしにドアが開いた。
誰だと思いそちらを見ると真っ黒な黒装飾の人物がいた。
俺の本能が告げるマズイ!ヤバい!逃げろ!としかし足を1歩動かす前に俺は
「ガッ!!」
腹に拳を受け、顎に蹴りをくらいそのまま意識を失った。
「んっ…ここは?」
なんだか召喚された時と同じようなセリフが出てきたが、状況は最悪だった。
俺は椅子に縛られ手足が動かせない状態だった。
周りを見るとどこかの地下室なのだろうか、石壁でできた場所に所々赤黒い模様がある…もしかして血!?
「やめっ!やめてくれ!解放してくれ!」
咄嗟にそんな言葉が出てきた、その瞬間自分の個室のドアが開いた。
「おーやっと起きたか」
そう言ったのは身長は180cmくらいで結構細めだが筋肉はついてるといった男だった。
「ここはどこだ!?一体なんで俺が!?」
「ごちゃごちゃうるせぇ!」
「ガッ!!」
不安な状況にテンパっていると、またもや腹に拳を食らった。痛い!ほんとに痛い!どうしようもなく痛くて腹部を抑えて蹲りたいが、手足が拘束されて動けない。
俺は涙目になるしかなかった。
「あらあら、派手にやってますねぇ、しかし殺してはいけませんよ一応勇者なんですから」
そこにいたのは狐の耳の生えた170cmはありそうなつり目でロングな金髪が綺麗な女性だった。
「分かってますよキャトル姉さん」
その人はキャトルいうらしい、しかし自分が勇者だって知ってるのはなぜなのだろうか。
「なぜ…俺が勇者だって知ってるんですか?」
「あらぁ魔族ってのは魔力に敏感なの、あなたが下町に行った時にはもう既に目をつけておりましたの」
あの時下町に行ったのが間違いだったのか…ここは安全な日本とは違うんだ、誘拐なんて普通にあるものなのか。
「なぜ勇者である自分を誘拐したんですか?」
疑問に思ったことを聞こうと思いながら、今頃王宮が騒いでいるだろうと思い時間稼ぎをすることにした。
「なぜってねぇ勇者には無尽蔵な魔力が感じ取れるし、なにより異世界の知識とやらを使って私は上位に駆け上がるのよ!あと王宮の人達はみーんなよく眠ってるから助けなんか来ないわよ」
「なっ!」
王宮のみんなを眠らせる程の力を持った相手じゃ助けに来てくれてもやられるのがオチ、助けなど無いに等しいだろう。
それに無尽蔵の魔力?とやらと異世界の知識を使われるのは癪だ。だからこそ反抗してしまった。
「誰が異世界の知識を言うものか!」
「あらぁそう?言わせる方法なんていくらでもあるってのにねぇ、ドズ、殺さない程度にやってしまいなさい」
「ヘイ!キャトル姉さん!」
そう言いながらドズと呼ばれた男は関節を鳴らしながら近づいてくる。
「やめっ!やめてくれ!助け!ガッ!!」
またも腹に拳を受け、その後は顔面に数発殴られた。
痛い!嫌だ!助けてくれ!誰でもいいから助けてくれ!
そう願いながらも未だ助けは来ずに殴られ続けた。
歯は2〜3本抜け落ち、顔中パンパンに腫れ上がり、体には痣ができるほどだった。
どれくらい時間が経ったのだろう、あれから殴られ続け言葉もまともに喋れないくらいだ。
「異世界の知識とやらを喋る気になったかい?」
自分の体はクラクラフラフラしてて首すら振れない状態だった。それを見かねたキャトルはノーととったのだろう、またもやドズに命令する所である声が聞こえた。
「これは酷いね、勇者召喚されて出掛けた日には誘拐され、ボコボコにされたなんて、神も言ってたよね?死守せよとね?それがこんな有様なんて」
急にこの場に現れたの人物は俺の痛いところを付きまた啓示にもあったことを告げた。身長は160cm程で黒いロングの髪しか俺には見えなかった。
しかしキャトルとドズは信じられないような顔をして顔が真っ青になっている。
「初めましてかな?高木聖也君私は魔王と呼ばれている者だよ」
そう言いながら彼女は振り返った優しげな目に高い鼻整った顔立ちをしており、体型もボンキュッボンだった。
「さて君達には拘束させてもらって、神からの審判を受けてもらうよ」
そういい彼女は手から魔力でできた糸を放つ、誘拐犯の2人は必死に逃げようとするがさすがは魔王そうはいかないとばかりに魔力の糸を追尾させた。
そうして犯人は捕まり俺は治療魔法を魔王から受け事件は幕を閉じた。
「ありがとう魔王様助かりました…」
「いいよ、気にしないで本当はもっと早く助けに行ければよかったんだけど事情があってね、それより魔王様は堅苦しいなぁ私の名前はリリ・アルカディア、リリって呼んで欲しいな」
「分かりましたリリさん、しかしなぜ助けてくれたのですか?」
「それは神からの啓示だからね、いやそんなことを言っても君は信用出来ないだろう実際神様も助けてくれたわけではないからね」
「そうですよ!知らない土地で知らない人に誘拐されてこっちは懲り懲りなんです!」
つい苛立ちをリリさんに当ててしまった、申し訳なさはあるが早く助けてくれたら良かったのにとは思わなくもない。
「じゃぁこうしよう、私は君の魔力と異世界の知識を貸してほしい、その代わり衣食住ついでに君を守ると約束しよう」
これは取り引きだ完全に信用したわけではないが、使えるものは使ってやろう。
「分かりましたその条件を受け入れましょう」
こうして俺と魔王リリさんが出会い物語が動き出す。