野外学習
今日この日は朝から冒険者ギルドに行かずに、学園に来ていた。
それは野外学習があるからだ。
「全員集まったわね、ではこれから野外学習を始めます!」
そう言い2泊3日の野外学習が開催された。
行く場所は近くの森の中で、今回はみんなの実戦も兼ねているので、結構奥深くまで進むことになっている。
俺達はサリュ先生について行き、森を進んでいく。
季節は初夏だから少し蒸し暑く汗をかいている人が結構いる。俺は魔法で涼しくしているので全然大丈夫だ。
森のかなり奥まで進んだ俺たちクラスメイトはここでテントを張ることになった。
俺はテントの張り方を知らないので、試行錯誤しながらテントを張っていく。
長いポールをテントの真ん中に立てて、ダランとなったテントの端をペグで止めていく。
まぁなんとか形にはなったなといった感じだ。
俺は一応出来たテントの中に入り、虫除けのイメージをする。すると身体から散布され、虫がみんな逃げていく。
俺はテントから出て、みんながテントを張っているのを見ている。
みんなテントを張り終わり、俺達は食事の材料集めに行くことにした。
正直俺は常にマジックボックスの中に食料を入れているが、今回はそれは無しでと言われたので、材料集めに行くことになってしまった。
チームを組み、俺とミレニアとソルトとソニアのチームで活動を開始することになった。
探査魔法を使い、俺はみんなを連れてそっちに向かう。
その場にいたのはオークだった。
集落は潰したのでただの野生のオークだろうと思い、今回はみんなに狩らせることにした。
オーク自体はDランクの魔物で、みんななら大丈夫だろうと思いながら各自魔法を打ってオークを倒していた。
俺は魔剣を使い首を刎ねて、血抜きをする。
血抜きしないと血なまぐさいので食べにくいのだ。
血が抜けたところで俺達はオークを持って帰ることにした。
解体は俺は解体所に任せていたので、やり方が分からなかったが、サリュ先生ができるみたいなので教えてもらいながら解体をしていった。
解体しているとオークの中からなにか小さな石ころが出てきた。これが魔石というものかと思い、俺は魔石を集めてないな思った。
「よし、こんな感じでいいだろう」
ある程度の部位に切り分け、俺達はオークを焼いて食べることにした。オークは豚の魔物なので食用に向いている。
そのまま焼いただけなので、俺はオークの味しかしなかったので、調味料として持ってきていた塩を振るう。
うん!美味い!
そう思いながら食べているとみんなも塩を欲しがったので、みんなにも振るってあげた。
そして夜になり、夜番をすることになった。
ここは男女関係なく、寝る時間は半分ずつで夜番をする。
俺は先に眠らせてもらいながら探査魔法をしながら寝た。
「おい、起きろ」
そう言われて俺は起きて夜番を開始した。
これは確か護衛依頼の時にやったかなと懐かしい気持ちになりながら俺は時間を過ごす。
探査魔法には何も掛からないし、平和だと思いながら俺は暇を弄んでいた。
そのまま朝になり、一日目が終了し、二日目に突入した。
二日目は森の先にある一本道を渡り、そこにいる別の先生からスタンプをもらい帰ってくるという実技だった。
俺は身体強化魔法をかけて、よーいドンの合図で高速で向かっていった。
普通だったら片道3時間はかかる距離を俺は10分で移動した。
「スタンプください」
「早いな…」
そう呆れられ、俺はスタンプをもらって下山した。
6時間かかる実習がわずか20分で終わってしまったので、俺はやることがなくなってしまった。
「早いわね」
「いえ、まだまだです」
そうサリュ先生に言われたので俺はまだまだだと本当に思っていたので、そう返した。
「あなたがこの合宿後に退学することは聞いたわ」
「…」
俺は何も反応せずにいると、サリュ先生は言った。
「確かにあなたの腕は凄いわ、ただ人をもっと大事にしないと」
そう言われたが俺には目標がある、その目標のためならどんなことでもしようという気持ちなだけだ。
そしてみんなが帰ってくるまで待ちぼうけをして、みんなが帰ってきた頃には夕方になっていた。
「さぁこの疲れた身体の中で獲物を取ってきなさい」
そう言われてみんなはクタクタの中獲物を取りに行くことになった。
俺達はオークの肉が余っていたので、狩りをせずにいた。
そのまま晩御飯となり、俺はオークの肉を食べていた。
夜の時間は嫌いじゃない。
夜番をしながらそう思った。焚き火をじっと眺めているだけの時間を悪くないと思ってしまう。
そのまま交代の時間になり、俺は寝ることにした。
三日目に入り各々帰る支度をしてそのまま下山していった。
俺達は王都に着き、今日は休みということもあり、みんな各々自室に向かっていったが、俺だけは学園長室に居た。
「では本日限りで退学します」
「分かった、では退学を認めよう、また何時でも来てくれていいのだよ」
そう話をして俺は退学し、魔王都に帰る。
転移魔法を発動して、魔王都の前に着き、検問を通って、魔王城まで歩いていく。
朝早くということもあり、道すがら誰も通りはなかったが、リリが出迎えてくれた。
「ただいま」
「おかえり」
俺は学園を退学したことを伝え、リリには迷惑をかけたと思ったが、俺にとってはこれが最良だと思ったのだ。
「お疲れ様頑張ったね」
そう言われながら俺は頭を撫でられていた。
今だけはリリに甘えようと思った。




