学園での日常
俺は今日から学園に戻らないといけない時期になってしまった。
この長期間の休みの時間は俺に有意義な物を与えてくれた。
「それじゃ行ってくる」
「うん、いってらっしゃい」
リリにそう告げて俺は魔王城を後にした。
行く時は転移魔法があるので、俺は転移魔法を発動して、学園の校門前までいく。
周りの人は突如俺が現れたものだからびっくりしていたが、俺はそんなことは気にせずに学園に入る。
俺は久しぶりに午前の授業から受けようと考えていた。
この長期休暇は実は授業の見直しをするための時間だったみたいで、俺という無詠唱の使い手が現れた為の処置だった。
俺は久しぶりなみんなに挨拶をする。
「みんなおはよう」
そう挨拶をするとミレニア、ソルト、ソニアから挨拶が返ってきた。
「今日は朝から授業を受けるのね」
そう言われたので、俺は今回から授業の見直しがどういったものなのかを確かめるために来たと言った。
そしてチャイムが鳴り、俺達の授業が始まったのである。
「皆さんおはようございます」
そう言って入ってきたのはサリュ先生だ。
俺たちみんなはその挨拶に返事をして、サリュ先生の授業が始まった。
「今回は無詠唱魔法が発動出来ない人のために、編み出された方法として、詠唱破棄といったものに重点を起きたいと思います」
ほう、1ヶ月そこらで詠唱破棄という所まできたか。
俺はよくライトノベルを読んでいたので、俺の知っている詠唱破棄なら詠唱をせずに、魔法の名前だけ言うだけで使えるというものだ。
サリュ先生の続けて言ったことも俺の予想してた通りの内容だった。
「こちらの詠唱破棄は魔法名を唱えるだけで発動できるので、実技の時に試してみましょう」
そういい、そこからは魔法理論について話していたが、俺はさっぱり分からないので、聞いているフリをして理解していなかった。
そしてチャイムが鳴り授業が終わった。
途中休みになり、俺はミレニア達と集まって話をしていた。
「ミレニアは休日なにかあったか?」
「特にはなかったけど、婚約とかお披露目パーティーとかで大忙しだったわ」
「ミレニアん家は貴族なのか」
「えぇ、そうよ、家の家名はフォード家って言うの」
「ふーん、そっか」
「あまり興味なさそうね…」
まぁ実際ミレニアはミレニアだし、貴族と言われてもそっかという対応しかない。
「ソルトとソニアは冒険者ギルドに行ってたんだよな」
「おう、この間Dランクに上がったとこだぜ」
「私もそう」
ソニアもDランクに上がったみたいで、俺としては2人がうまくやれているようでよかった。
「セイヤはこの休日なにしてたの?」
「俺?俺は娯楽を提供したり、冒険者ギルドに行ったりまぁ色々としてたな」
「忙しそうな毎日ね」
まぁ確かに忙しい日々だったとは思ったが、俺はその日々はあっという間だったと思う。
「何ランクなんだ?」
ソルトにそう聞かれたので俺はAランクと普通に答えた。
「まじか…」
まじかと言われてもまじなもので、俺はカードを見せた。
「ほんとにAランク…すごい」
ソニアからそう言われ俺は鼻が高くなったが、それではダメだと思い直した。
授業のチャイムが鳴り、俺達は椅子に座ることにした。
次の授業は王都の家系や家名についての授業だった。
俺は特に興味が無かったのと、勇者という肩書きがあるので、座りながらボーッとしていた。
50分程ボーッとして、チャイムが鳴り俺は授業の終了とともに、みんなでお昼を食べに行くことにした。
「さて、今日はなににしようかな」
そう独り言を呟きながら俺はステーキを2つ頼んだ。
俺とセラの分だ。俺はステーキをテーブルまで持ってきて、セラが召喚された。
セラはご飯の時間になると自分から出てくる。
俺とセラはガッツリ肉を食べてから、そのままみんなと闘技場に来ていた。
クラスメイト全員が集まって、それを確認したサリュ先生が授業の開始を告げた。
今回の授業は詠唱破棄の練習だった。
俺は無詠唱でやっていくつもりなので参加はしなかったが、周りは詠唱破棄の練習をしている。
色んな所からファイアボールや、サンダーバレット、アイススピアと技名が聞こえてくる。
ファイアボールは火の玉を出して相手に当てる技で、サンダーバレットは雷の弾を相手に当てる技で、アイススピアは氷の棘を相手に当てる技だ。
俺はそれらの技を全てコピーして、無詠唱で自分の後ろに待機させていた。
他に盗み出せる技は無いかな〜と考えながら歩いているとフィオさんが俺を見つけてやってきた。
「あの!」
「ん?どしたの?」
「模擬戦しませんか?」
俺はそれに対してOKを出して、サリュ先生の所に行った。
「フィオさんと模擬戦するのでネックレスの準備お願いします」
そう告げて俺とフィオさんはネックレスをして、模擬戦に入った。
模擬戦をやることになったので、みんなは一時中断して、俺とフィオさんの模擬戦を見ている。
俺はシールドを出して待ち構える。
フィオさんは炎の槍を出して、俺に投げつける。
俺はシールドで受け止めたが、炎が邪魔をしてフィオさんを見失った。
すると横から魔力の反応があったので、横か!と思いながら俺はシールドを横に出す。
シールドになにかが当たった反応を示し、俺は反撃をする。
雷を降らせる魔法なんてどうだろうかと思い、雷を沢山降らせた。
「あぐっ!」
そのうちの一発がフィオさんに当たったみたいで一発だけかと思いながら俺は魔力の反応がある所に向かって各属性の槍を出して当てる。
数発は避けられたが、何発かは当たったので、フィオさんのネックレスは砕けた。
「そこまで!勝者セイヤ!」
サリュ先生の審判で進められた模擬戦も終わり、俺はネックレスを返してまたみんなの魔法の見回りをした。
盗み出せる魔法はないと判断して、俺はチャイムが鳴るのを確認し、寮に移動することになった。
寮の門限は午後9時となっているが、俺はそんなに出歩かないので、そのまま晩御飯の時間までゴロゴロして、晩御飯を食べ、眠りにつくという自堕落な一日を過ごした。




