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力試し

王たちとの謁見後、俺はいつもの生活をしていた。


朝にランニングをして、遅い朝食を食べてからギルドに行く日々だ。


俺はAランクになったことによって、担当の受付嬢がメルルさんになったことをつい最近知った。

いつもメルルさんの所に行っていたが、他の受付嬢のところに行かなくてよかったと思い、他の受付嬢のところに行っていたら醜態を晒すとこだった。


俺はメルルさんの所に行く。


「おはようございます」


「はい!おはようございます!」

今日のメルルさんは少し元気だった。

何かいい事でもあったのだろうかと思いながら俺は聞くことにした。


「何かいい事でもありました?」


「えぇ!ここだけの話私たちの賃金が上がったんです」

あらまたそれはなぜに?と思い気になるので聞いてみる。


「なぜ上がったんです?」


「配信魔道具を見れる場所が出来て、その場所に行くとお金を取られるんですけど、その一部がギルドにも提供されるみたいになったらしいです」


なるほど、配信魔道具で映画館のような場所ができて、それの一部金がギルドに振り込まれる形になったのか。


配信魔道具は、今の現状を配信するだけの魔道具のはずだが、ロビンさんが手を加えて記録保存も出来るようにしたのだろうか?

その辺はロビンさんに聞いてみる事にしようと思い俺はギルドの依頼を受けずにロビンさんの所に行くことにした。


「カカカッセイヤ殿どうされましたかな?」


「ロビンさんこんにちは、配信魔道具についてなんですが、もしかして記録保存できるようにしました?」


「おや、もしかしてご存知だったですかな?」


「いや、推測で聞きました」


「なるほど、セイヤ殿は凄い目をお持ちだ、えぇ保存出来るようにして、冒険者が劇場に売りに行くという形を取れるようにしましたな」

なるほど、つまりは冒険者が映像を保存して、それを劇場に持っていき、売ることによって冒険者にお金が入り、劇場は一般住民からお金を取りその何割かをギルドに支払っている形になっているのか。


俺は凄い経済を動かしてしまったのではないかと思ってしまった。しかし出来上がったのは劇場だったか、まだまだネットは難しそうだ。


「聞きたいことはそれだけでしたかな?」


「えぇ、聞きたいことはそれだけです、そういえば俺も配信魔道具欲しいです」


「セイヤ殿は目立つのが好きではないと思ってましたが、こういうのには興味があるのですな」

そう言われ、俺は別に目立ちたがり屋では無いはずなんだがなと思いながら配信魔道具をもらった。


俺は魔道具店を後にして、もう一度ギルドに行くことにした。


「あっ、セイヤさん!」


「こんにちは、今日は近くのダンジョンを行きたいので、斥候ができる人っていますか?」


「斥候ですか、あちらの席に座ってる方がソロでCランクの実力持ちで斥候も可能ですよ」

そう言われて俺はそちらを見る、フードを被ってて顔がよく分からなかったが、斥候ができるならと思い近くに行き話しかけた。


「すみません、斥候ができると聞いたのですが」


「あぁ?あっ!首狩りのドラゴンスレイヤー!」


「その異名は誠に遺憾なんだけど、まぁいいや、斥候を募集してるんだけど、君できる?」


「あぁ、できる、報酬は?」


「報酬は五分五分でいいよ」


「それは貰いすぎだ、ってなんで斥候側が言わなきゃなんだよ」

そうツッコミを入れられたが、報酬にも満足してもらったので、俺は彼を連れて近くのダンジョンに行くことにした。


歩いて30分程だろうか、ダンジョンの前には衛兵がいて、高ランクのみしか入れないようになっている。


俺は近付き、衛兵達は構えたが、俺は懐から冒険者カードを出しながら衛兵に近付いていった。


「は!Aランクの確認が出来ました!どうぞお入りください」


そう言われて俺達はダンジョンに入っていく。

ここからは彼の仕事だ。


今回雇った斥候は腕がいいのかモンスターと出会わずに四階層まで来れた。


「ここからは俺の出番だから自分の身は自分で守ってね」


「マジか」

そうやり取りをしながら俺は配信魔道具のスイッチを入れながら扉を開ける。


みんなが見慣れた広い部屋に付き、俺はワイバーンと戦闘をする。

俺の目標はリリみたいな強さを手に入れることだ。

リリの隣に立って自覚した、俺とリリでは実力に差がありすぎると。


だからすまない、ワイバーン君キミは俺の糧になってくれ、そんなことを考えながら俺は転移魔法でワイバーンの首の後ろに転移する。


魔剣を抜いて俺は首を一刀両断する。

スパッと首を切り落とし、そのままワイバーンの遺体と一緒に俺も自由落下する。


俺は既に剣を納刀して、地面に降りる。

ワイバーンをマジックボックスに仕舞い、俺達は次の階層にいく。






一方その頃俺の配信を見ていた人達はざわついていた。

「今の見えたか?」

「いや全く見えなかった」

あのワイバーンが一太刀で倒される姿を見てみんなざわついている。

そしてそのままドラゴンのいる所まで歩く姿が見えた。





俺はドラゴンのいる階層に着き、俺はドラゴンと1対1の形を取った。

俺は最初から全力で行くと決め、ドラゴンが咆哮を上げたところで首を狙う。

俺の中では仕留めたと思ったが、ドラゴンは危険を察知して首の皮一枚切れただけで終わってしまった。


俺は全力を出してもドラゴンの首の皮一枚しか切れないのかと落胆しながら身体強化魔法を更にかける。


前に1度どれだけ身体強化魔法をかけれるか実験をしたことがある。

俺の今の肉体では3回が限界だった。


最初から全力だったということは3回かけた状態だったということだ。

つまり俺は3回以上かけなければドラゴンの咄嗟の反応に対応出来ないということだ。


ドラゴンは俺を脅威と感じて俺しか向いてない。

つまりは奇襲なんてのは無理だということ。


ならば正面から俺は挑もうではないか!俺は身体強化魔法を更に重ねがけする。10回はかけただろうか、身体中のあちこちから悲鳴の声が聞こえるがそんなのは無視だ。


俺が目指す先はもっと上だ!こんなことで悲鳴をあげるなと己に言い聞かせる。


ドラゴンの首の前に転移し、俺は抜刀する。

先程の比ではない速度で抜刀し、ドラゴンの首を刎ねる。


ドラゴンの死体がズシンと倒れ、俺はそのままドラゴンの死体の上に転がる。

身体が痛い!俺は痛む手でマジックボックスから回復薬を取り出して飲み干す。

切れた腱が治る感覚がする。

ちぎれた物がくっつく用な異様な感覚が俺を襲い、数分後には動けるくらいまで治っていた。


ドラゴンの死体をマジックボックスに仕舞い俺達はダンジョンを後にした。


ダンジョンから帰ってきてギルドに行くと俺は色んな人に囲まれた。


「さっきのすげー!」


「かっこよかったよ!」

そんな声援がかかってきて俺は鼻が高い気持ちだった。

だが、慢心してはダメだ、俺が目指すのはもっと強くリリの隣に立てるくらい強くなきゃいけない。


俺はみんなの声援に応えながら裏の解体所にいく。


「またドラゴンを狩ってきたみたいだな」


「えぇ、査定お願いします」

マジックボックスからワイバーンとドラゴンを出して俺は査定してもらった。


「今日も首狩りだな」


「その方が高く売れるでしょ?」


「間違いねぇ」

そう言われて俺はそう返し大金貨303枚になった。3枚はワイバーンの分だ。


俺はさっきの斥候の人と分け合った。俺は大金貨150枚でいいので、斥候の人に153枚渡した。


「こんなにもらっていいんですか?」


「あぁ受け取ってくれ」

俺はそう言い彼に大金貨153枚渡したのだった。


普通はパーティーで挑むドラゴンをソロで倒したらこんだけもらえるという旨みしか俺には感じなかった。


俺はもうすぐ学園が始まる時期になってしまうと思い、魔王都でできることはないか探す事にしよう。


そう思いながら俺は魔王城に帰っていくのだった。

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