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王たちに挨拶をしよう

リリから言われた王たちに挨拶という名の各所巡りだが、俺は少しワクワクしていた。


それはリリと2人きりで出かけられるというものだったからだ。


俺は朝早くにご飯を食べ、リリと一緒に転移魔法で各所の王に会いに行くことにした。


最初に着いたのは俺の嫌な思い出の多い王都だった。


王都に着くや否や門番に止められたが、リリが顔パスとして通してくれた。


俺たちはそのまま通り、玉座に来ていた。

俺もリリも立ちっぱなしで話をすることにした。


リリは王だが、俺の事を勇者として知っているのは王くらいだから騎士にこんなことを言われた。


「貴様!不敬であるぞ!」

俺はそういった騎士に向かって魔力で威圧した。


「うっ、ががが」

それを見ていた王が止めに入る。


「すまない、セイヤ殿そこまでにしてやってくれんかね」


俺は王に言われたので、そこで魔力を解放するのを辞めた。


「此度は御足労いただきありがたい」

王が敬語を使うほどの人物ということが周りに広まって、周りではざわついていた。


「いえ、それでなんの用ですか?」


「あの時のことを謝りたかったんだ、すまなかった」

俺はもう気にしていないと思いリリと会えたし俺はその謝罪を受け入れることにした。


そして話も終わり俺達はまた別の王に会いに行くことになった。


次に向かったのは、港町でも王が住んでいるサザマルクという街に来た。


「ここにはどんな王がいる?」


「ここは人魚の王がいるんだ、上を見てごらん、膜が貼ってあるでしょ?この中なら人間でも息が出来る作りになってるの」

そう言われて俺は上を見上げた、確かに膜が貼ってあり、太陽も海の波に揺れて朧気になっている。


俺達はそのまま王城に向かっていって、またリリの顔パスで入ることが出来た。


玉座の間に入ると下半身が魚で上半身が人魚の男性がいた。

「この度は御足労ありがとう」


「いえ、こちらはセイヤ、勇者です」

そうリリに説明してもらい、俺はどうもと返した。


「勇者殿、この度は呼んですまなかったな」


「いえいえ、大丈夫です」

そんなやり取りをしながら、俺は暇を持て余していた。


「用事が無いようでしたら帰らせていただきます」


「いや、待ってくれ、君に1晩こちらの宿で泊まって欲しいんだ」


「それは勇者が1晩泊まった街ということにしたいってことですか?」


「うむ、そういうことだ」


「まぁいいですけど」

俺はそう了承をして、一晩だけ泊まることにした。


俺とリリは今晩泊まることになったけど、宿に行く前に、俺は色んな海鮮を買っていた。


リリは真珠出できたブレスレットを眺めていた。

「欲しいの?」


「ひゃぁ!もう!セイヤ驚かさないでよ!」


「ごめんごめん」

リリのあんな声を聞けたのは正直大収穫だと思いながら、俺はそのブレスレットを買った。


「はい、リリにプレゼント」


「ありがとう!」

そう言いリリは真珠のブレスレットを腕につけていた。


今思えば、俺がリリにプレゼントするのは初めてではなかろうか、と思いながら俺達は色んな海鮮を買って、宿の庭に戻った。


俺は土魔法で七輪を作り、網を貼って海鮮を焼いていく。


醤油があればもっと美味しいんだけどなと思いながらも途中で売っていた魚醤をかけて食べる。


うん、美味い!

ホタテっぽい物は噛めば噛むほど旨みが出て美味しい。


リリも隣に並んで食べている。

「美味しい!」


そんな反応をしてしてくれたリリに俺は嬉しく思いながら次々と焼いていく。


もうお互いおなかいっぱいになって宿の受け付けに行き、俺はリリと別室で頼もうとしたら。


「すみません、今ダブルベッドが1箇所しか空いてないんですよ」


なん…だと…!?

俺とリリはその部屋でダブルベットで寝るのかと思いながらも鍵をもらった。


場所は四階の奥の方だった。四階はそもそもダブルベット用なのか部屋の数が極端に少なかった。


俺とリリは部屋に入り、どうするか考えた。


「俺はソファーで寝るからリリはベッド使って」


「え!私は魔族だし、丈夫だからセイヤがベッド使って!」


「いやいや!俺は男だし、リリは女性なんだからここはリリがベッドを使うべきだ」


「じゃぁ一緒に寝る?」

リリからそんなことを言われて、俺は雷が落ちたかのように沈黙する。

正直、今までは部屋が違うが、リリとは同じ屋根の下で寝てたわけだし、これはセーフなのではないか?と思ってしまった自分がいた。


お互い譲れないので、結局は二人ともベッドで寝るという形になった。


うーんドキドキして寝れない!俺はやはりソファーで寝るかと思ったが、リリがそれを察して腕を掴んできた。


「え?リリさん?え?」


「一緒に寝なさい!」


「はい…」


そう言われてもリリのいい匂いがしてどうも興奮状態から寝られない。

夜風を浴びることも出来ないこんな状態になってしまった。

俺は睡魔が来たのは朝方になってからだった。


俺は朝に少し眠り、リリと一緒に寝たという興奮で目が覚醒していた。


俺達は鍵を返して、次の王の元に向かうことにしたが、俺がほとんどボーッとしていたので、そこからの記憶は曖昧だった。


確かラミア族の所に行ったり、エルフ族の所に行ったり、天使族の所に行ったり、した記憶しか残っていない。


その後王との面会は終了し、俺は魔王城の自室に帰り眠りについた。

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