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配信魔道具のお披露目

あれから数日後、リリはなんとか各所の王に許可をもらい、配信魔道具を作る許可を頂いた。


だが、今回色々と無理をしたそうで、リリからこんなことを言われた。


「とりあえずは許可はもらえたけど、色んな所の王からセイヤを勇者の肩書きとして貸してくれってのがたくさんあって、私はセイヤを政治の道具にしたくないと思ったんだけど、ごめんね、セイヤには色んな街に行ってもらわないといけなくなってしまって…」


「いいよいいよ、俺が作ってもらいたかったものだし、政治の道具として使えるものなら使ってみろと思ってるし」


「ふふっセイヤにそんなこと言われたら落ち込んでばっかりじゃ居られないね!よーし頑張るぞ!」

リリも元気が出たみたいで俺は嬉しく思った。


配信魔道具のお披露目会は後日となり、それまでの準備をする。

準備といってもすることは各所にモニターのような物を作り、そこに配信した画面が出るという形だ。


今回配信に協力してくれたのはAランクパーティーの竜の鉤爪団というパーティーに協力してもらうことになった。


配信用の魔道具は自立型で、パーティーの後ろを自動追尾してくれる形になっている。

戦闘開始時に四角い配信用の魔道具の上にあるスイッチを押してから戦闘を始めてもらう形になる。


今回はあの近くにできた高ランクのみが入れるダンジョンを利用させてもらうことにした。


一階層、二階層、三階層は難なく終わり、竜の鉤爪団は四階層にたどり着いた。今のところ敵の強さが合ってないので、出番は少なく盛り上がりにかけるところだが、四階層ではワイバーンが出るので、そこからが本番だと思った。


四階層はボス部屋のみとなっており、ワイバーンが必ず出る。その様子を配信魔道具で配信するのだ。


竜の鉤爪団にとってもワイバーンとのやり合いは始めてでは無いのが、誰かに見られていると思いながらの戦闘は始めてだった。


竜の鉤爪団がドアを開け、ボス部屋に入っていく。

竜の鉤爪団がボス部屋に入ると自動的に部屋が閉まり、ワイバーンとの戦闘が始まった。


一般住民達はワイバーンを見ることがあっても、戦いなんてしないので、みんな目を輝かせながら見ている。


竜の鉤爪団はタンク一人に剣士一人魔法使いが二人の理想的なパーティーだった。


「ギャアアアアアアア」

そう威嚇するワイバーンを見てタンクが前に出て、みんなに攻撃がいかないようにする。

魔法使い二人が魔法を放ち、ワイバーンの羽を狙うが避けられる。

ワイバーンはもう攻撃が来ない事を確信したのか、タンクに向かって急降下した。

ワイバーンの爪をタンクが盾で受け、その隙に剣士が羽を攻撃する。

高速の振りだったこともあり、ワイバーンの羽に傷を付けた。これで、ワイバーンは飛ぶことが不可能になった。


飛ぶことが不可能になったワイバーンは自身の鉤爪でタンクを攻撃し、そのまま押し潰そうとしたが、タンクはその鉤爪を跳ね返す。

跳ね返されてよろめいたワイバーンはただの的となり、魔法二人の攻撃と、剣士の攻撃でじわじわ体力が無くなっていく。

その様子が10分程流れ、みんなのボルテージが上がっていた。

中には声を出して応援する人も出てきた程だ。


そしてワイバーンは倒れ、配信も終了した。


みんなは一斉に拍手をして、盛り上がっている。

この企画を作った側としてもここまでの盛り上がりを見せられ良かったと内心安堵していると、竜の鉤爪団は五階層に進んで行った。


五階層に進み、全員の気力が回復したところで五階層のボスのドラゴンを倒すことになった。


ドラゴンは竜の鉤爪団を見て咆哮を放った。

だがさすがはAランクパーティー、咆哮程度じゃすくまない。

タンクの後ろに魔法使いが隠れ、魔法をバンバン放っていく。今回は見世物としての依頼のためか色んな魔法を放っている。


さすがAランクパーティーといえるだろうそこまでの余裕があるみたいだ。

竜に傷を負わせて、竜が自身の爪で魔法使いを攻撃しようとするが、タンクがそれを全て受け止める。


その隙に剣士がドラゴンに対して傷を負わせる。

剣士は素早いようで、ドラゴンの攻撃も避けながら攻撃している。





長い激闘の末勝利したのは竜の鉤爪団だった。

その激闘を見ていたみんなは大興奮でウォーやすげぇ!との声が飛び交っている。


今回の配信魔道具のお披露目は終了し、俺はここからネットが発展するようにならないかなと考えながら今回のお披露目は大成功といえるだろう。


さて、俺達実行委員はこの後も仕事がある。

まずは冒険者ギルドに行き、ギルド長との話し合いをする。

俺は着いていくだけだが、リリはギルド長と話し合いをしていた。


「今回の件ありがとうございました」


「いや、こちらこそありがとうございます」

そう挨拶から始まり、魔道具を買える人間には必ず持たせるかなどの話し合いをした。


結果的に言えば、冒険者は自由が資本なので、配信魔道具は各自が欲しければ買うといった形になった。


俺達はその方針でいくことになり、配信魔道具の値段も決めることになった。

魔道具自体は金貨200枚に収まり、中に入れる用の魔石が銀貨5枚という形になった。


竜の鉤爪団にはお礼として魔道具をそのまま渡し、依頼料として白金貨という王族御用達の金貨を渡した。

白金貨は1枚でなんと1億すると言われ、俺も持ってない物をもらってて羨ましいという気持ちになった。


その後竜の鉤爪団は街のみんなに顔を覚えられて人気になったそうな。

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