勇者(ニート)の一日②
朝起きて俺は朝食をみんなと食べて早々に出かけることにした。
目的地なんてなく、ただひたすら歩くだけのいわゆる散歩というやつだ。
何も考えず歩いていると、いつもの串焼き屋に来ていた。
「おう、あんちゃん」
「おはようおっちゃん」
そうやり取りをして俺は串焼きを2本頼んで食べた。
素朴な味付けだが美味い。
肉がいいのか塩がいいのかはわからないが、男には肉をガッツリいきたい時もある。
俺は串焼きを食べ終わり、串を返す。
そしてまた意味もなく色んな所に散歩に出かけた。
次に着いた場所は孤児院だった。
俺は正門から孤児院に入っていくと、お兄ちゃん!やお兄さん!という声がかかってきて、子供が俺の周りを囲む。
「ちゃんとご飯食べれてるか?」
「うん!お兄さんのおかげでたくさん食べれてる!」
そういった子を見るとみんなガリガリに痩せていた頃と比べると今は肉も着いてきていて、健康そのものである。
「あら、おはようございますセイヤさん」
「おはようございますシスターさん」
シスターさんから挨拶が来たので、俺は会釈をしながら挨拶を返す。
「メープルシロップって余ってたりします?」
「えぇ、余ってますよ」
「でしたらみんなにホットケーキを作ってあげたいんですけどどうですか?」
「まぁ、それはいいですね」
シスターの了承も得て、子供たちはホットケーキ!と喜んでくれているので良かった。
俺はまた一度に30個の魔法を維持しながらホットケーキを焼いていく。
ホットケーキのタネとひっくり返すのはシスターさんの仕事だ。
俺は魔法の維持に集中する。
そして出来上がったのを皿に乗せ、メープルシロップをかければ完成である。
俺はみんなが食べているのを見ながら孤児院を後にすることにした。
次はどこに行こうかなと考えて、今はちょうど昼時だからご飯も兼ねて冒険者ギルドに行くことにした。
冒険者ギルドの飲食が出来るスペースで、俺は米とステーキを頼んだ。
ここにも米が出始めた事に感動しながらも俺は米とステーキが来るのを待った。
数分後にはやってきて、ステーキを切り分けながら俺は米を食べる。
美味い!美味しくて語彙力が無くなるくらいには美味しいステーキと米であった。
ものの数分で完食し、俺はご馳走様でしたと心の中で唱えて食器を返却した。
暇つぶしに依頼でも受けようかなと考えているとちょうど他の冒険者の声が聞こえた。
「今日大物でも狩りにいかないか?」
「いやいや、俺達のランクじゃ受けれないよ」
「だがなぁ、高ランクの奴らが狩ってる所見てみたいよな」
「確かにそうだな、見てみたいな」
俺はこの発言を聞いてあることを思いついた。
この世界にはネットもテレビも存在しない、ネットもテレビも存在する世界から来た俺だからこそ思いついたことだろう。
俺は急いで魔道具店に行き、ロビンさんに話した。
「俺の世界には配信サイトという知らない人が今起きてる現状を映す道具があるんですけど、ロビンさん作れますか?」
「ふむ、今のいる場所の映像を他の場所に映すってことですな」
「そうです、そうです」
「多分可能かと、ただそうなると大事業になると思いますな、一朝一夕では難しいかと」
そう言われて、俺は急ぎじゃないのでロビンさんのペースで進めてくださいと言い、俺は必要なことだけ言って後にした。
俺が出たあとロビンさんは。
「カカカッセイヤ殿も面白いことを考えますな」
そう笑っていた。
魔道具店を後にした俺は依頼を受けずに森に入ることにした。
今回は大物狙いでいこうと思い、探査魔法をしながら俺は歩いていた。
途中出てくるゴブリンなどは身体強化魔法をかけた状態で抜刀し、すぐに首を刎ねる。
一応討伐証明の耳を切り取り、そのまま進んでいく。
一通り開けた道に出たが、大きな反応もなく俺は帰路につくことにした。
こういう時に限って大物ってのは出てこないもので、俺はそのまま魔王城に帰ることにした。
魔王城に帰り、俺は晩御飯を食べている。
最近では米を主食とした晩御飯が出てくるので、俺としてはグレイさん様々である。
俺は晩御飯が終わり、そのまま待つように言われ、自室に戻らずに食卓で待つことにした。
するとリリが話し出す。
「セイヤが今日提案した映像を別のところで映すって考えだけど、実は王の間ではその魔法が存在してるんだよね」
そうだったのかと思い俺はそれを冒険者用、つまりは配信者を作って娯楽として提供出来ないか聞いてみた。
「確かに冒険者用で作れば、娯楽にはなるだろうけど、王たちが使っている魔法だから私がなんとか説得してみせるよ」
そうリリに言われてリリ様々である、思いながら俺は配信を始め、ゆくゆくは擬似ネットもできるのではないかと考えていた。
「とりあえず話は終わり!セイヤは自室に戻ってもいいよ」
そう言われて俺は自室に戻り、ここからネットが発展するかもと思いながらウキウキしながら寝ることにした。




