ニート生活1日目
4話目ですよろしくお願いします。
部屋に戻ることにはちょうど昼時だったので、ベルをならし昼食を持ってきてもらうようにした。
さすがに、王様と同じ席で食べるのは恐れ多いというか、緊張で味がわからなくなってしまうだろう。
数分もしたら食事が部屋に運ばれてきた。
今日の食事は白パンと野菜のスープにローストビーフのような肉だ。
驚いたのが白パンを出された事と割と質素なものだったというところだろうか、こういった話には白パンは珍しく黒パンが支流で、スープに浸して食べるのが定番だと思っていた。
質素なところに驚いたのは王宮とはいえ普通の日本で食べるようなものだったというのが大きいだろう。
俺はお腹も空いてたこともあり、ガツガツと流し込むように食べてしまい味を楽しむ余裕はなかった。
だが美味しかったといえるような味だった。
その後特にすることもなくベットの上でボーッとしてるとドアがノックされた。
「はい、どうぞ」
そう返事を返したら入ってきたのはメイドだった。
「食後のお茶をどうぞ」
そう言われ出されたお茶を飲みまたベットの上でボーッとしていた。
「暇だ…」
仕事三昧だった俺にとってはこうしてなにもしてない時間というのはなかなかに暇なものである。
本を読もうにも文字が読めないし、かといって見渡す範囲でなにか暇が潰せそうなものはない。
「あの…」
「如何なさいましたか?」
「外を見て回りたいのですがダメですかね?」
「王に確認を取ってまいります。少々お待ちください」
そう言い残しメイドは部屋を出ていった。
そして数分後何名かの騎士を連れて戻ってきた。
「確認致しましたところ護衛を連れてなら大丈夫そうです」
「分かりました、護衛の皆さんよろしくお願いします」
そういいながらぺこりと会釈をした。
「勇者様が頭を下げるなんて恐れ多いです、こちらこそよろしくお願いします」
護衛の方たちもぺこぺことしながら話す。
「いえいえこちらこそ」
俺もぺこぺこしながら話してしまってお互い様だろう。
護衛から3mは離れないことや、急に走り出したりしないなど色々な注意をされてからいざ外出することになった。
王宮から出て真っ直ぐ行くとまずはデカい門があった。
これを開けて進むのかと思ったが、横に人2人は通れそうな簡易ドアがあったのでそちらに案内された。
ドアを抜けるとこれまた周りには凄い豪華な屋敷が立っていた。これ全て各貴族様の屋敷らしい。
「はぇーすっげぇ」
豪華な屋敷が並んでいる所に驚いていると横から騎士が教えてくれた。
「王宮から近い方に向かって公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵家となってます」
なるほどと感じながら返事をし、そのまま下町まで向かうことにした。
下町まではこのまま1本の道で行けるみたいで道に迷いやすい俺としてはありがたかった。
なにせ日本にはスマホで地図がみれるが、こちらではそのようなものがあるとは限らないからこそ、ありがたい。
そのまま1本の道をずっと進んで行くと遠くに岩壁みたいなのが見えてきた。あれはいったいなんだろうと思い聞いてみると。
「魔物が攻めてきた時の防壁になります、あれのおかげで魔物の足止めをし、上から魔法などを使って撃退するのです」
「てことは、防壁がある所までが安全圏ってことなんですかね?」
「まぁそうなりますね」
なるほど、あそこまでが安全圏ならできるだけ外側には近づかないでおこうと考えつつ、俺は下町の散策を始めた。
ただかなり目立っている。
一般人のような見た目をした人が護衛を連れて歩いているのだ、周りからの目線が少し、いやかなり痛い。
「あの、護衛の方々って魔法とかで姿が消せたりとかしないんですか?」
「それは、難しいですね、姿を消す魔法も確かにあるにはあるのですが魔族のごく一部の実力者でないと使えないですね」
「なるほど、分かりました」
姿を消す魔法自体はあるとしても、魔族のってことは人族には無理ということだろう。ならばこの痛い視線は我慢するしかないと思い散策を再開した。
散策などしなければよかったと後悔するのはこの先の事件が起きてからだろう。
だが今の俺は浮かれててここが地球の日本ではないことをもっと考えるべきだった。