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デートをすることにした

今日も今日とて俺は冒険者ギルドに来ていた。


「こんにちは」


「はい、こんにちは」


このやり取りはいつものである。

俺は受付嬢になにか実入りの良い依頼がないか聞いてみた。


「Aランクとなると逆に仕事がないんですよね」


「そうなんですか」


「はい、Aランクが出る場面というとドラゴンが出たりとか、魔物の集落が発見されたとかでない限り出番は少ないんです」


「そうですか、んーそうなると暇だなぁ」


俺が呟いた言葉に受付嬢はチャンスと思ったのかいきなりこんな事を言い出した。


「それでしたら私とデートしませんか?」


「え?デート?」

デートって言うとあのデートだよな?男と女が一緒に歩いてなにか食べたり、なにかしたりするあのデート…。


「セイヤさんさえ良ければなんですけど…ダメですか?」

そんな言い方されたら断れないじゃないか。


「デートしましょうか」

俺はそう返し受付嬢はやった、と喜んでいる。


そして今からするのかと言わんばかりの勢いで制服から私服に着替えるために、裏に行った。

仕事ほっぽり出して大丈夫なのか?と思っていると、受付嬢が来た。


「仕事大丈夫なんですか?」


「はい!午後休をしたので大丈夫ですよ!」

こちらの世界にもその制度があるのかと思いながら俺は私服の彼女を見てワンピースかと思いながらデートをすることになった。


「そう言えば名前聞いてませんでした、俺はセイヤって言います」


「私はメルルって言います!」

メルルさんか、よし覚えたぞと思い俺達はデートを始めることにした。


デートをすると言っても、俺は魔王都に詳しくはないので、メルルさんに任せる形になってしまうのが少しかっこ悪い形になってしまう。


「さて、どこに行きます?」


「私見たい劇団があるんです!」

そう言われて俺達は劇団がある所に向かっていった。


到着したのは映画館のような場所で、入口で見たい劇団のチケットを購入し、入る時にチケットを確認するタイプのようだ。


「メルルさんはどんな劇団が見たいんですか?」


「ドラゴンスレイヤーの英雄譚が見たいんです!」

そう力説されて俺はドラゴンスレイヤーの英雄譚のチケットを2枚買う。

2枚買ったうちの1枚をメルルさんに渡して、メルルさんはお金払いますと言ったが、ここは男らしく奢らせてもらうことにした。


「ありがとうございます!」


「いえいえ」


1枚銀貨2枚程度だったので、そんな対した出費にはならなかった。


そして劇場の中に入り、俺達は劇を見ることにした。


その物語はある少年の村がドラゴンに焼き払われ、一人生き残った少年がドラゴンに復讐するまでの過程を描いた話だった。

俺はその話を真剣に見て、復讐もひとつの目標として少年は生きていたのは、芯があったからだろうと思った。

俺とは違う芯のある人間と無い人間、その境界線は大きなものだろうと思い、俺は最後には拍手していた。


「面白かったですね!」

そうメルルさんが言って俺は面白かったと素直に応えた。


「そうだメルルさん、ご飯にしませんか?」


「はい!ちょうど小腹も空いてますしご飯にしましょう!」

そう彼女は元気よく応えてくれた。


俺は知ってる店をピックアップして、できるだけ値段が高い所を選んだ。


「いらっしゃいませー」

そう言われて俺達はテーブル席に案内された。


「なんでも好きなの頼んでください」

そう言い、俺は厚切りステーキを頼み、メルルさんは定食セットを頼んでた。


厚切りステーキはかなりのボリュームで、俺はお腹いっぱいになるまで食べた。


メルルさんの方は定食セットということもあり、パンとスープに野菜とほんのちょっぴりの肉が着いていた。


それほどボリュームはなく、メルルさんも完食したので、俺は会計に行くことにした。


「銀貨3枚になります」

そう言われて俺は銀貨3枚をポンと支払った。


「まいどありがとうございます」

そう言われて俺達は店を後にした。


「ご馳走様でした」

メルルさんはそう言って俺に奢られてた。


「いえいえ、そうだ甘いもの食べたくないですか?」


「甘いもの食べたいです!」

そう反応が帰ってきたので、俺はマジックボックスからクレープを出して渡した。


「これってあのクレープですか!?」


「ん?あのクレープってどういうこと?」


「祭りのあった屋台で一度だけしか出なかったあの有名なクレープですよ!」

そうなのか、あれからクレープはどこも出してないみたいで、俺だけのものになっていた。

クレープの作り方も教えたはずなんだけどな…。

そう思いながらもメルルさんはクレープに齧り付く。


「んん〜美味しい!」

そう言ってもらえて俺としては嬉しい気持ちだ。


「クレープを作ってたのはセイヤさんだったんですね」


「うん、そうだよ」

そう応えてメルルさんはクレープに夢中だったので会話はほとんどしなかった。

数分経って食べ終わり、メルルさんは満足気だった。


「もう夕暮れ時ですね」

そう俺が言うと、宿まで送ってほしいとの事だったので、俺はメルルさんを宿まで送ることにした。


「ここです」

そう言われて着いた宿は立派な建物だった。


「それじゃ俺はここで失礼しますね」


「はい、ありがとうございました!今日は楽しかったです!」

そう会話をし、俺は魔王城に帰ることにした。


その後の魔王城では俺がデートしてたことがバレみんなにからかわれながらも楽しげに話をしてたが、リリだけが少し不機嫌な様子だった。


「リリ?どうした?」


「なんでもない!」

やはり不機嫌そうだ。俺がなにかをしてしまったのだろうか、そう思いながらも何がいけなかったのか分からないのでどうしようもなかった。


リリはリリで今自分が不機嫌なのは少しも理解出来ていなかった。

セイヤが誰かとデートしていたことにモヤモヤしてしまったのが原因なのだろうが、何故そこにモヤモヤするのかが分からなかった。


俺は食事を終えて、そそくさと自室に帰ることにした。

また明日はなにがあるかなと思いながら俺は風呂に入り寝ることにした。




その後の魔王城では珍しくリリの姉であるリリアが来ていた。リリは今日起こった事を話し、自分が何故モヤモヤしているのかが分からない事を伝えた。


「んーそれってセイヤのことが気になってるからでしょ?つまり好きってことよ」

姉からそんなことを言われて、リリは自分がそんな感情に囚われていた事を自覚した。

だが、リリがセイヤのことを好きであっても、セイヤがリリの事を好きとは限らないので、困っていると。


「色々とアタックしてみなさい!」

そう姉に言われてしまったので、勇気を出してアタックすることにした。それはまた後日の話である。

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