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長期休暇

不良のレッテルを貼られた俺は今日も朝から冒険者ギルドにいた。


やはり朝イチは混み合うようで、俺は混雑が終わるまで待っていた。


混雑が終わり、俺はギルドの受付に挨拶をする。


「おはようございます」


「はい、おはようございます」

これも何日もやっている日課だ。その受付嬢の所にしか行かなかったのには訳がある。

その受付嬢は可愛くて優しい人なのだ。

身長は座ってるので分からないが、ナイスバディのお姉さんって感じだ。

俺にコミュ力があればご飯でも行きませんか?って言えるのに!そこは仕方なく彼女も受付嬢と冒険者程度にしか思ってないだろうし。

そう考えてご飯の話は無しにした。


「なにかおすすめの依頼ってありますか?」


「セイヤさんなら午前中で終わる仕事がありますよ、例えば畑を荒らしているビッグボアの討伐とかどうでしょう?」


「じゃぁそれで」

そう言いながら俺はカードを渡す。


「はい、受け付けました」

そう言われカードを返される。


そして俺はビッグボアの討伐に向かったのであった。


まずはビッグボアの被害を受けた村に行こうと思い、王都を出て身体強化をして駆け出した。


30分ほど走り村に到着した。

その間一際大きな反応があったが無視して村を目指した。


村の前にいる人に話しかける。

「すみません、依頼で来たのですが」


「なんの依頼だい?」


「ビッグボアの討伐依頼です」


「おぉ!あんたがしてくれるのか!」

そう言われ俺は村長の所に連れてかれた。


「どうも村長さん、ビッグボアの討伐で来ました」


「おぉあなたが!」


「えぇ、討伐させていただきます」


そう言葉を返して俺は一際大きな反応があった所を目指した。

森を進むこと数十分、そこに居たのは全長20mの大きなイノシシだった。

俺は午後の授業があるので、最短で倒そうと思いデカい槍を出し眉間に放つ。


するとボアは魔力を感知したのか見事に避けられた。


俺は姿を見せて挑発する。


「ブモオオオオオオ!!!」

と威嚇声をだしながら突進してきた。

今だ!と思いかなりの魔力を込めたシールドを貼って突進を防ぐ。

止まったボアの足に土魔法で足を固定させて、俺は氷の槍を出し今度こそ眉間に槍を放った。


「ブモオオオオオオ…」

と鳴き声を上げてボアは倒れた。


俺はボアをマジックボックスにしまい、村に戻って証明書をもらうことにした。


村に帰りみんなの前でボアの死体を見せる。


「おぉ!こやつです、ありがとうございます」

そう村長が言ったので依頼完了の判子をもらい、ボアも回収し、王都に帰ることにした。


王都に帰り、俺は冒険者ギルドに行く。

冒険者ギルドに着き、俺は受付嬢に依頼の完了と、ビッグボアを買い取りしてもらうことにした。


「依頼完了お疲れ様でした」


「ありがとうございます、ボアが大きいので解体所に向かいたいんですがよろしいですか?」


「はい、どうぞ」

俺は許可をもらいカウンターの横から解体所に向かう。


「おう、解体か?」


「はい、こいつなんですけど」

そう言い20m程のボアをマジックボックスから取り出す。


「はーこいつはまた、デカイな」

そう言いながら腕が鳴るぜと言い解体に入っていった。


俺はボアが解体されていく所を見ていく。


腹から切り取り、内蔵を取り出して、皮を剥いだら次に肉の部位ごとに分けていく。


素早い作業だなと思いながら見ていると話しかけられた。


「こいつは、全部買い取りでいいのか?」


「はい、全部買い取りでお願いします」


「んじゃこいつ一体で大金貨3枚って言ったとこだな」

日本円で3000万であるそんなにするのかと思っていると。


「こんだけでかいんだ、そのくらいするさ」


そんなことを言われ俺は解体所を後にした。


「セイヤさん全部買い取りという事だったので、依頼金で銀貨3枚と買い取りで大金貨3枚になります」

そう言われ麻袋を渡されたので俺は受け取り、マジックボックスにしまった。


何故Cランクの依頼でボアがあんな値段だったのかは綺麗に倒されていた事と、普通はパーティーを組んで倒す魔物を1人で倒したから、消耗品が無いからであろう。

消耗品があるとそれだけ差し引かれるからだ。

俺がそれを知るのは後になってからの話だったが。


そして俺は学園へ戻り、昼食を取ることにした。

まだ授業が終わってない中きてるので、どこでも空いてる状態だった。

なのでいつも座っている所にした。


肉を2つ頼みセラと食べていると、ぞろぞろと人が入ってきた。


俺はそれを、横目に見ながら食べる。

すると、ミレニアたちがやってきた。


「おう、おはよう」


「ええ、おはよう」


そう言ってご飯を食べ始める。


ソルトに今日はなんの依頼してきたんだ?と聞かれたので、ビッグボアと答えた。


「今回のはビッグすぎたけどなぁ…」

そう言い体長20m程と答えると驚かれた。


「そういやセイヤ、朝いなかったから聞いてないと思うけど、明日から長期休暇に入るんだって」


「長期休暇か〜みんなはなにするんだ?」


「私は実家に帰ろうと思ってるの」

そうミレニアが言い、ソルトとソニアは冒険者ギルドに通うらしい。


「セイヤはどうするの?」


「ん〜俺も実家?に帰ろうかな」


「なんで疑問形なの?」


「ホントの実家じゃないからな」


「あっ…ごめん」


「いいよ、そんな深い理由ないから」

そう言いながらもミレニアは気にしてしまったのか会話がぎこちなくなっている。


「そんなに気にするなって」


「でも…」

はぁ、これはもう明かすべきだろうか、そう思い俺は自分が勇者で召喚された者だと教えた。


「え!勇者ってあの!?」


「シー!声がでかい」


「ご、ごめん」


「だからこっちでの実家って意味」


「なるほど、そうだったんだね」

そうして話は纏まり、ソルトとソニアにも勇者であることを明かした。

そしたらなんとなく規格外であることも納得されたし、朝いなくても何も言われないことに関しても説明がついたみたいだった。


そして昼食も食べ終わり、俺達は闘技場に来ていた。


「はい、今日はセイヤ対みんなでやりたいと思います!」

急にサリュ先生がそう言い出して、みんな対俺の構図が出来上がってしまった。


正直面倒だ、なので俺は魔力を解放して威圧した。

各自で呻き声が聞こえたが、立っていられる者はいなかった。サリュ先生でさえもだ。


「俺に本気を出させるのはこの威圧に耐えてからですかね」

そう言い俺は魔力を抑えた。


「これが勇者の力なの…」

そう、ミレニアたちが言うが確かにこれも勇者の力だ。

午後の授業がみんなダウンして潰れてしまい、続けられない状態になってしまったので俺はサリュ先生に言った。


「この状態で続けるのは無理そうですね」


「えぇ…」


「そう言えば明日から長期休暇らしいですね」


「そ、そうね…」


「じゃあ俺はこのまま失礼させていただきますね」

俺はそう言いみんな倒れている中、魔王都に帰る支度をすることにした。


持ち物は全てマジックボックスに入っているので、特にすることはないが、寮の人に挨拶をして魔王都に帰ることにした。


転移は何度もしているからできるだろうと思い、俺は自分が今の場所ではない想像した所に移動するイメージを持った。


するとどうだろうか、魔王都の前に着いてしまったでは無いか、俺は検問を通り、魔王城に帰ることにした。


久々の魔王城を目にして少し感涙してしまった。

俺はそのまま魔王城に入っていった。


魔王城の前ではリリが待ってたみたいで、おかえりと笑顔で出迎えてくれた。


「ただいま」

あぁ俺は帰ってきたんだなと思いここが自分の実家であると改めて思った。


それに笑顔のリリを見て胸がドキドキしてしまう。

これが好きという感覚なのかなと思いながらも帰ってきたことに安堵した。

終わりみたいな展開ですがまだ続きます。

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