学園での日常②
俺は日課のランニングをしていた。
最近ではランニングだけでは物足りなくて、魔法を操作しながら走っている。
街中を魔法を出しながら走っているので、周りからは不審人物と思われてないかと心配していた。
しかし朝早いこともあって、人に会うこと自体なかったから安心だ。
ランニングが終わり、俺は寮の朝ごはんをたべることにした。寮の朝ごはんは質素なもので、スープとパンのみが多い。
そもそもこの世界の食文化自体が日本と比べるとだいぶ劣っている。
なので俺は寮の食事はあまり美味しくないと思っている。魔王都では俺の異世界知識で食事改善する気にはなったが、王都では食事改善をする気にはなれなかった。
俺はご飯を食べ終わり、今日は朝から学園に行くことにした。
学園に着いた俺は闘技場に行き、朝から闘技場で魔法の練習をしているのを2階席で見ていた。
無詠唱の技術を取り入れたためかみんなぎこちない感じで無詠唱を放っている。
俺はそんな様子を見ながら人の魔法を盗み取ろうとしていた。
しかしそんな俺を見つけた教師が居て、俺は闘技場に上がることになった。
「無詠唱を広めたのは彼だ、みんなよろしくしてやってくれ」
そう教師が言ったので俺はぺこりと頭を下げ、自己紹介することにした。
「セイヤと言います、よろしくお願いします」
自己紹介が終わり、俺はみんなの魔法を見ることにした。
一部の生徒は詠唱を短縮して、技の名前だけを言うだけで発動させる人がいた。
確かにそのやり方もあっただろうと思うが、対人においては相手の魔法が分かるのはよろしくないと思う。
かといって、俺はその人にアドバイスなどはしなかった。
魔法はイメージだけでできる人とそうでない人の差はなんだろうと思いながら俺は想像力だろうなと思っていた。
俺の居た日本では色んなものがあったからこそ、想像力が養われていったが、この世界には便利な物はあるにはあるが、それは確実にそれとして認識されてしまっているからそこからの発想が無いのだろうと思った。
例えばの話だが、俺は槍の魔法に回転を付け加えることで、なんとかドリルみたいに改良することができるが、この世界にはドリルなんて無いので、槍を回転させるという発想が無いと言った感じだ。
俺はそんな中一人の生徒に模擬戦を申し込まれた。
俺はそれを了承し、模擬戦をすることになった。
模擬戦のルールはどちらかが降参するか身代わりのネックレスが破壊されるまでだ。
今思えば身代わりのネックレスなんてすごい技術だなと思っている。
俺はお先にどうぞといった感じでシールドを出す。
相手はそれに対してムカッと来たのかかなりの魔力を込めて魔法を放ってきた。
「ファイアランス!」
先程言った詠唱破棄だ、俺はそれをシールドで受け流す。
シールドはある程度操作できるので、火の槍みたいな直線的な攻撃は少し傾けるだけで受け流すことが出来る。
それを見たみんなは唖然としている。
シールドを操作したことに対してか、それとも受け流したことに対してか、まぁそんなことはどうでもいい。
俺は目の前の相手に集中する。
俺は無詠唱で水の槍を10本出し、1本ずつ攻撃を仕掛ける。
相手はそれを見て、シールドと唱え1本ずつ対処する。
1本目は防いだが、2本目を放つとシールドは粉々に砕け散った。
3本目は打たずにシールドを待っていると、相手は降参と言い出した。
それを見ていたみんなは拍手をしたが、俺にとってはもっと粘ってほしかったと思った。
俺はそのまま闘技場を後にして、学園の屋上に行くことにした。何故学園の屋上かと言うと、ロマンがあるからだ。
日本の学校の屋上なんてラノベでしか入れないような所なので行ってみたかった。
俺が屋上に行ったら誰もいなかったので、俺は寝そべり少し寝ることにした。寝そべるとセラが召喚陣からやってきて、俺の横で丸くなった。
可愛いヤツめと思いながら寝ることにした。
2時間ほど寝てただろうか、俺は鐘の鳴る音で起きた。
もう昼かと思いながら俺とセラは食堂に向かった。
俺は歩きながらだが、セラは俺の頭の上に乗りながら移動している。前足を頭に引っ掛けながらだらーんと引っかかってる感じだ。疲れないのか?と思いながらも俺は気にせず食堂に行く。
食堂に着くとミレニア達がいたので、俺は肉を2人前注文して、焼きあがった肉を持ってミレニア達のとこに行く。
「おはようみんな」
そう言うとみんなからおはようと返ってきた。
やはり、挨拶が返ってくるのは気持ちいなと思いながら俺は肉を食べる。セラも肉をガツガツ食べている。
召喚獣には魔力を供給するだけでいいみたいだが、俺の魔力は無尽蔵なので、セラをずっと呼びっぱなしにもできる。
俺とセラは肉を食べてるとミレニアが話しかけてきた。
「セイヤのこと噂になってたわよ」
「ん?どんな噂なんだ?」
「3年生の優等生と模擬戦をして快勝したっていう」
あー、あの人3年生の優等生なのかと思いながら俺はそうなんだとしか反応しなかった。
「そうなんだって…凄いことなのよ」
そう言われてもあの人そんなに強くなかったし、すぐ降参したし…と思いながら昼食は終わった。
午後になり、俺たちは闘技場に行き魔法の練習をすることになった。
「今回は合同の練習になります」
そうサリュ先生が言った。いつもよりひとの人数が多いと思ったらそういう事だったのかと納得する。
最初に始まったのは合同の先生と、サリュ先生の模擬戦だった。サリュ先生は風魔法が得意なのかよく見えない風を使っているイメージだ。
そして模擬戦は始まった。
サリュ先生が風の魔法で相手の眉間を狙う。
だが相手の先生はそれを避ける、次に攻撃したのは相手の先生だった。
相手の先生は土魔法を使うみたいで、土の玉を飛ばした。
サリュ先生はそれを避けるが避けた先には土で作った壁があった。この先生中々やるなと思いながら見ていたら、土地の壁からトゲが大量に生えた。
「っ!」
サリュ先生の小さな声が聞こえた、相当なダメージ量だったのだろう。
サリュ先生は壁から離れて風の魔法で応戦したが、相手には見えているかのような動きで避けられる。
そしてついにはサリュ先生のネックレスが砕け散った。
「そこまで!ガンツ先生の勝利!」
そこでようやく相手方の先生の名前が分かった。
「ガンツ先生ありがとうございました」
「サリュ先生もなかなかでしたよ」
そういい2人は握手して模擬戦が終了した。
「ガンツ先生に相手してほしい方がいるんですよ」
「ほう、俺とやりたい人がいると」
なんか嫌な予感がすると思ったら案の定俺を指名された。
「彼が無詠唱を広めようとしてる方です」
「なるほど、彼が無詠唱を…いいでしょう」
そう言い、俺とガンツ先生の模擬戦が始まった。
俺は面倒になり氷の槍を20本出して牽制しつつ一気に放つ。
ガンツ先生は最初こそ驚いていたが、岩の壁を出して20本の槍を防ぐ。
ガンツ先生は相当な魔力を込めただろうと思い俺はもう一度同じことをしようとしたら目の前に壁が作られた。
ガンツ先生の壁はかなり硬いので、俺は全力で身体強化をし、殴る。
すると壁は崩れ去りガンツ先生との間には何も無くなった。
俺は一気に近づいて高速のパンチを繰り出す。
するとその一発でガンツ先生のペンダントは砕け散り、ガンツ先生は壁にめり込む。
やべ、やりすぎたと思ったらガンツ先生はガハハと笑いだし壁から抜け出していた。
「強いな!参った参った!」
「いえ、ガンツ先生もなかなかでしたよ」
俺はそう返しみんなに拍手をもらい模擬戦は終了となった。
その後は魔法の練習をして、身体強化をしながら魔法を20個以上維持することを目標に練習した。
そしたらみんなワラワラと集まってきて、やり方を教えてくれというので、やり方を教えたりしていたら午後の部は終わってしまった。
授業が終わり寮に帰ると俺はマジックボックスに入っているご飯を食べて寝ることにした。




