この世界
3話目ですよろしくお願いします。
朝いつも通りの時間に起きてしまった。
「仕事行かなきゃ!」
辺りを見渡してあっとする。
「そういや勇者召喚されたんだった」
勇者召喚されて1日目やはりいつもの習慣というのはなかなか抜けなくていつも通りの時間に起きてしまったのだろう。
「もう一眠りするかぁ」
そう呟きながら毛布をかけ目をつぶった…
夢を見ていたそんな気がする。
仕事の夢だった、あれやって!これやって!と指示されながら淡々と仕事をこなす夢だった。
あの頃の自分は生きていても死んだような生活を送っていた。
趣味もなければ彼女もいない友達もいなければやることだってなかった。
そんな自分は果たして生きてると言えたのだろうか…
なにか引っかかった部分が残ったまま自分の目が開いた。
「はぁ…なんで仕事の夢なんて見るんだろう」
今はニートなのだ、ヒモなのだ、やりたいことは今は見つけられないが時間が解決してくれるか、あるいは誰かに会うことで解決できるものなのだろうか。
「にしてもこの世界のこと何も知らないなぁ」
言葉は普通に通じるし、文字だって読めるかもしれない、王宮だから図書館だってあるだろう。
俺はベルを鳴らした、するとすぐにメイド長らしき人が来た。
「如何なさいましたか?」
「この王宮に図書館ってありますか?あったらそこに案内してほしいんですが」
「かしこまりました」
メイド長の案内の元俺は図書館に来た。
来る途中廊下などですれ違う人に頭を下げられるのはむず痒い気持ちになる。
俺自体は凄いやつではないのに、勇者という肩書きだけで皆判断をする。
正直すごく悲しいとは思う、しかし肩書きがなければここには居られないのも事実だ。
色々な考えが頭に浮かび上がるが一旦忘れて図書館の本を手に取った。
「読めない…」
言葉は通じるのになぜ文字だけ読めないのか、勇者召喚の時の特権かなにかで言葉だけは翻訳されてるが、文字は読めないっていうやつなのか…
考えても仕方ない、文字が読めないなら聞けばいいのだ。
図書館の上にあるベルをならし、この世界について詳しく教えてほしいとお願いした。
するとメイド長は淡々とこの世界について教えてくれた。
「この世界ヤトラは人族、魔族、神族の3種がいます。神族は主に干渉はしてきませんが、魔族とは相互関係にあります。」
「魔族とは戦争はしてないってことですか?」
「はい、魔族には魔族全体を統治する魔王と呼ばれる存在がいますが、魔を極めし王という名称から魔王と呼ばれています。」
「神族は敵対関係ではないんですか?」
「神族は干渉すらしてきませんので敵対関係にも発展しないかと。今回神族側から魔力の枯渇で勇者召喚を行う事も今回が初となる干渉ですね。」
なるほど、魔族とは友好関係にあって、神族はそもそも干渉すらしてこないのか。そう考えると今回の勇者召喚は神族から見てもかなり一大事といえるのか。
「以上が大まかな説明です、他になにか聞きたいことなどはありますでしょうか?」
「いえ、今のところは大丈夫です。ありがとうございます。」
「いえ、私たちの勤めですので感謝は結構です」
やはりメイドの人との溝は深いみたいだ。
「では俺は部屋に戻ります」
「はい、お気を付けて」
そして俺は部屋へと戻った。