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新たな甘味?ホットケーキを作ろう

あと2日間俺は休暇を言い渡されている。

何もしないという訳にもいかずにいるので、俺はまずは朝食をとることにした。


「おはようみんな」

朝の挨拶をみんなにして、それから朝食を食べ始めることにした。


「セイヤは休暇を楽しんでる?」

リリがそう聞いてきたので、まぁそれなりにはと返した。

正直やることがあると時間ってのは早く進むものだが、やることが無いと時間の進みは遅いものだ。

特に娯楽がないこの世界ではインターネットでゲームなんて夢のまた夢だろう。


「ご馳走様でした」

そう言って俺は今日も朝から出かけることにした。


今日も孤児院に行こうかと考えてると、孤児院には一体何が足りないのかってことを考え始めた。


厨房は薪を使ったものだったので、魔道具ではなかった。

魔道具は魔道具で魔石代がかかるが、薪と魔石代ではどちらが安いのか分からない。


少し調べてみることにした。

まずは薪を売っている店からだ。

薪自体は雑貨屋にも売ってるくらいなものもで、一巻30本近くで大銅貨3枚する値段だった。

一方魔石はと言うと、物の品質と大きさによって値段がまちまちだったが、こちらは安くて銀貨1枚、高くて大金貨1枚する値段だった。


さすがに孤児院には魔道具に手は出せるほどの経済力はなく、薪の竈を使っていたのだろうと考えた。


それなら今回は材料を買うことにしようと決めた。

いつも串焼きを買うのも味気ない気がするし、材料の方が料理の幅も増えて良いだろうと考えて、俺は材料を買うことにした。


まずはパンに使う小麦粉をkg単位で買う。

それをマジックボックスに入れて、あとは卵も100個単位で買う。

砂糖もあったので、割高だが買うことにした。

砂糖はあるのになぜ甘味が流行ってないのだろうと思ったが、10gで大銅貨1枚、1000円は高すぎる。


これでは甘味が流行らない理由も分かる気がする。

もしかしてこの世界では砂糖を取るのにサトウキビからしか取れないみたいな感じなのだろうか。

暑い地域ではサトウキビができるが、普通の地域でも甜菜から作る砂糖だってあるはずだ。

甜菜自体がないのか、はたまた甜菜を砂糖として加工する技術がないのかそれはリリに聞いてみないと分からない。


小麦粉と卵と砂糖と牛乳を買って、俺はマジックボックスにしまい孤児院に向かうことにした。


ここで俺は考えが至らなかったと思った。

冷蔵庫などもないこの世界では牛乳も卵も日持ちしないじゃないかと…

マジックボックスは時間停止機能もついてるのでそれを冷蔵庫代わりとして使えるが、孤児院にはそんなものはなかった。


俺はやらかしたなと思いながらも小麦粉と残りのものは少しだけ渡すことにした。


孤児院に着くと、朝からみんな外で遊んでるではないか。

子供は元気だなぁと考えてると、お兄ちゃん!お兄さん!と言う声でハッとなった。


俺は手を振り孤児院の門の中に入っていく。


「今日はどうしたの?」


「またご飯!?」

子供たちにワイワイと囲まれながらも、今日は魔法の練習と、材料だけ渡しに来たと伝えた。


するとシスターさんも聞いてたみたいで。

「またまたありがとうございます」

そうお礼を言われた。


俺は一つだけ気になっていた事があった。

孤児院の裏に生えている木だ。あれは楓の木では無いだろうかと思って近づいて見てみる。


葉の形が天狗が持ってそうな特徴的な楓の木はわかりやすい。


「あのシスターさん」


「はい、なんでしょう」


「ちょっと実験したいことがあるのでしてみてもいいですか?」


「実験?えぇ、お世話になってますしいいですよ」


そう言ってもらい、俺はシスターさんに20リットルは入りそうな樽と筒を用意してもらった。


魔法はイメージだ、イメージすればなんにだってなる。

俺はドリルの形をイメージする。そうして現れたドリルで木に穴を開けた。


「え!?」

シスターさんはビックリしているが、俺は構わず少しずつ穴を開けていく。

開けた穴の中に筒を差し込み、その下に樽を置いた。

するとぽたぽたと樹液が垂れてきた。


「あの、これはいったい」

シスターさんは垂れてきたものを見て何かと聞いてくる。


「上手く行けば甘味になるやつです」

俺はそういうとシスターさんはまぁ、と驚いていた。

子供たちも甘味と聞いて賑やかになっている。


しかし樹液が垂れる速度が遅い、日本で使っているメープルシロップは1リットルを取るためには40リットル必要で、今回はそんなに煮詰めるつもりはないから20リットルにした。


俺は木に手を当てて、木から樹液を絞り出すイメージをする。感覚としては雑巾を絞るみたいにイメージした、すると。


ザバァっと音を立てながら樹液が溢れ出てきた。


よしよし、と思いながら俺は樽いっぱいになるまで待った。


樹液でいっぱいになった樽を俺は身体強化魔法をかけながら運び出す。


厨房に運び出した俺は殺菌しながら煮詰めていく。

殺菌も魔法でイメージだ。目に見えない菌を殺していくイメージで殺菌しながら煮詰める。


20リットルあった樹液が5リットルくらいまで減ってきた所で味見をしてみる。

ほんのちょっぴり甘いって感じだ、子供たちにも味見させてみる。


「あまーい!」


「おいしい!」

甘味が少ないからこの甘さでも美味しそうにしてくれている。日本人としては甘さが足りない気もするが、まぁ及第点だろう。


俺はそのまま子供たちにホットケーキを作ることにした。


「美味しいおやつが食べれるからみんな待っててね」

そういうとみんな大喜びだ、いつ?とか早く食べたい!とか急かしてくるものだから俺は15人分をすぐ作ることにした。


「シスターさん手伝ってください!」


「はい!分かりました!」

シスターさんもやる気だ、甘味と聞いてやる気が出たのだろう。


作り方は簡単だ。

まずは小麦粉に砂糖と牛乳卵を人数分入れて混ぜて焼くだけで完成である。


ただ今回は数が数だ。

15人分、いや、シスターさんの分も含めて16人分作らなければならない。

しかし竈は1つしかない、なら魔法だ。

俺は火の玉を出す魔法を5個出し、その上に土で生成したフライパンを出す。


「シスターさん、俺は集中しなきゃなので、そのフライパンにお玉1杯ずつ入れてください」


「はい!」


そうしてフライパンにお玉1杯ずつ入れられたホットケーキの元を焼いていく。


「シスターさん、ホットケーキの中がブツブツしてきたらひっくり返してください」


「はい!」


俺は中火をイメージしながら火力調整していくそれを4回に分けて行った。


最後は1個だけだったので自分で調整しながら焼いていく。

同時に10個も魔法を出せるなんて相変わらずチートな体質だなと思いながらも完成したホットケーキに、メープルシロップを注いでみんなに出す。


みんな美味しいと喜びながら食べてくれたので、作ったかいがあったというものだ。


しかし、これって魔法の練習にもなってるんだよな、リリにバレたらなんて言おう…

そんなことを考えながらも俺は今を楽しむのだった。


魔法の練習をする時間になったが、みんな遊びたい盛りで、俺の前にいるのはマルシェラちゃんただ1人だった。


悲しい、魔法ってあんなに便利なのに…そう思いながらもマルシェラちゃんに魔力を流している。


「どうかな?」


「やっぱり難しい」

マルシェラちゃんの反応はあまり良くない。

魔力を感じ取るだけでも1ヶ月はかかると言われているし俺はずるいだけなのですぐ分かったが、普通の人にとっては難しいことなのだろう。


そのまま3時間程流しているとあっ!と声がした。

えっ!?なにか問題が発生したのかと思っていると。


「魔力感じる!」

マルシェラちゃんがそう言った。


「温かいの感じた?」


「うん!」


どうやらほんとに魔力を感じたらしい。

まさかこの子は天才なのではと思ってしまった。


「あとはその魔力を身体中に回して、魔力がどこにあるかを確認するだけだ」


「うん!」

そう言ってマルシェラちゃんは目を閉じ集中しだして魔力の流れを追っていった。


3時間くらい経っただろうかマルシェラちゃんはここに感じると言ってへその下辺りを触った。


「おぉ!すごい!マルシェラちゃんは天才だな」

俺はそう褒めた。


「お兄さんの教え方が上手だからだよ」

おっと、まさか褒め返されるとは思わなかった。


「あとは魔法はイメージだからどんな魔法が使いたいかとか考えて物にするんだよ」


「うん!ありがとう!お兄さん!」


そうしてマルシェラちゃんは一生懸命考えている。

子供の発想力はどんなものなのかと思ってワクワクすることにしようと思いながら。


そうして俺は孤児院を後にするのだった。

みんな手を振って見送ってくれた。




俺は魔王城に帰ると正座させられていた。

理由は大量に魔法を使ったからである、なぜバレたといっても俺の近くには影王さんがいて、影王さんから伝わってバレたのだろうと。


影王さんを買収するべきだった!ホットケーキの甘い香りだけ嗅がせて放置なんてそりゃ怒ったに決まっている。


「セイヤ聞いてる!?」


「あっはい、すみませんでした」


「聞いてないね!まったくもうセイヤってば」

そう言われながらリリに俺はギュッとされた。

え?俺は今なにをされてるんだ?たわわな胸の中に入り込んで?連れられ?めっちゃいい匂いするんだけど!?


そんなことを考えている中でリリは魔法をいっぺんに10個も使えて偉いね、凄いねとなでなでしながら褒めてくれた。


嬉しさと恥ずかしさで赤面である。

まぁ今はこの温もりを感受しようじゃないか…そう思いながら俺はリリの母性にやられていった。




そして夕飯の時間になり夕食を取っている時にリリから、新しい甘味が見つかったことを言われた。

楓の木みたいな木から出る樹液のことだろうと思い、俺はそれを孤児院の事業に出来ないか聞いてみた。


「確かに孤児院の敷地に生えてるから孤児院の事業になるだろうね、そこら辺は私が調整しておくよ」


「ありがとうリリ」


メープルシロップは作るのに40リットル必要な事や、殺菌もしなければならないことを伝えた。


「新しい甘味も割高になっちゃうのか、殺菌は魔道具で何とかしてもらうとして、ロビンできる?」


「カカカッお任せを」

頼もしい2人が今後の相談をしていくうちに夕食が終わった。今日のデザートはホットケーキだった。

これも影王さんがグレイさんに伝えて出来たのだろう。

メープルシロップもかかっている、まさかくすねてきたのかと。


「美味しい、確かにこれは新しい甘味になるね」

リリも絶賛である。


そのままデザートも終わり、俺は部屋に戻り風呂に入って寝ることにした。

魔法を集中して使うのってあんなに疲れるんだなと思いながら寝た。

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