強制休暇
12話が色々と変わっています、すみません。
今日も朝からランニングを始めようとしたところ、リリからドクターストップがかかった。
「セイヤは最近根を詰めすぎじゃない?」
確かに言われてみれば毎日のようにランニングをして、それが終われば魔法の練習をする。
この前なんかは冒険者ギルドに登録をして初依頼までこなした所だった。
それをリリは知っていたのか、ストップがかかってしまった。
「セイヤは3日くらい休むこと!」
3日間休むと言っても、ほんとにベッドで寝るだけではなく、根を詰めすぎないくらいにしてほしいということだった。
「んー3日もなにしようか…」
するとそこにロビンさんがやってきた。
「カカカッセイヤ殿、貴族用のラジコンの売り上げを持ってきましたぞ」
そう言われロビンさんの方を向くと大きな麻袋を持っていた。もしかしてそれ全部…
「カカカッこちらになりますぞ」
そう言われ持ってた麻袋を渡された。
ずっしりとした重さがある。これ一体いくら入ってるんだ?
「ロビンさんこれいくらくらい入ってるんですか?」
「そうですな、大体金貨で50枚ほどですぞ」
金貨で50枚って5000万円!?なぜそんなに!3割のはずつまりはいくらだ?全く計算できない。額が額すぎてこんな大金持ったことすら初めてだ。
「相手は貴族ですからな、それなりの見栄を張りたがるでしょうしその値段が妥当だと思いますぞ」
「これ好きに使っていいんですよね?」
「カカカッええもちろん」
ならいくらかを孤児院に寄付しよう、そう思い俺は麻袋をマジックボックスに入れ、ロビンさんとの会話を終えてから孤児院に向かいだした。
孤児院に向かう前に俺は串屋に行き、串焼きを50本頼んだ。
「またかいあんちゃん…」
そう言いながらもおっちゃんは串焼きを50本焼いてくれた。
俺はその後パンと野菜と干し肉を大量に買い、孤児院に向かった。
孤児院に行くと子供たちが外で遊んでて、俺に気づいたのか誰だろうと見てくる。
「あっ!セイヤ!」
その中で俺の事を知っているアイリスちゃんが声をかけてくれた。
すると子供たちからは安堵したような雰囲気を感じ取った。
なんだアイリスの知り合いかといった感じだ。
「セイヤ今日はどうしたの?」
「また色々と買ってきたからみんなにおすそ分けしようと思ってね」
「やった!みんなー!セイヤがご飯くれるって!」
そういうと子供たちは全力ダッシュで俺を囲ってきた。
「お兄ちゃんご飯くれるの!?」
「お兄さんご飯!ご飯!」
その騒ぎを聞きつけてシスターさんが出てきた。
俺はシスターさんに会釈する。するとシスターさんからも会釈が帰ってきて。
「はーい!みんな!このお兄さんがご飯くれるそうだから手洗いしておいで!」
するとみんながはーい!と大きな返事をして孤児院の中に入っていく。
「こんにちはシスターさん、また来ちゃいました」
「いえいえ、こちらとしてもありがたいかぎりです」
そう話をして、今回は外で済ませずに、俺も孤児院の中に入っていく。
孤児院の中は元々教会だったこともあり、入ると大きな部屋があった。そこが今は食堂として使われている。
奥の部屋と、横に続く部屋の2つがあり、俺は手洗いをするために奥の部屋に通された。
その部屋は厨房になっており、水道が1つしか無いため子供たちの行列が出来ていた。
俺は魔法で水を出して手を洗っていると、それを凝視する子供たち、俺は一人一人に魔法で作った水で手を洗わせた。
「すごいですね、魔法が使えるんですか」
そんな中1人の少女が話しかけてきた。
「そうだね、でもみんなも練習すれば使えるんじゃないかな?」
そういうとその少女はキラキラとした目で俺の方を見た。
「あの!魔法教えてくれませんか!?」
その一言に子供たちが僕も私も!と群がってきた。
「こら!お客様を困らせちゃいけません!」
シスターのその一言で子供たちは大人しくなり、シュンと項垂れている子もいた。
「あの、適度なものでしたら大丈夫ですよ」
俺はシスターにそう言ったら、シスターはお兄さんがみんなに魔法を教えてくれるってといった。
するとまたみんな群がり始めたが、誰かのお腹の音でみんなご飯を思い出し、食堂に戻って行った。
「げ、元気ですねみんな」
「えぇ、でも元気がないよりはいいと思いませんか?」
「確かにそうですね」
子供は元気が1番とは確かに言ったものだ。
俺とシスターさんも食堂に戻って早速買ってきた串焼きとパンと野菜と干し肉を出した。
「今は串焼きとパンだけにして、あとの野菜と干し肉は随時使ってください」
「ありがとうございます、感謝致します」
そうしてシスターさんに野菜と干し肉を渡し、俺はアイリスちゃんにこっち!と呼ばれて隣に座った。
「セイヤ!ありがとう!美味しい!」
そう言いながらアイリスちゃんは口にタレをつけながら美味しそうに食べている。
それを見ている俺、日本なら完全に事案だが、この世界ではそんなことはない、良かった日本じゃなくて。
串焼きを食べながらパンを食べているのを眺めながらみんなのことを見る。
やはり太っている子がいなくて、みんな痩せ細っている、それだけひもじい生活を強いられているのだろうと思い、俺はシスターさんを呼び出し、寄付をした。
今回は前回と違い金貨10枚渡したら金額に驚かれた。
「もしかしてあなたは凄腕の冒険者かなにかですか?」
「いや、違います、ただの一般人です」
「ただの一般人が稼げる金額ではないですよこれ」
まぁ確かにそうだ、金貨10枚なんて一般家庭で10年は過ごせる金額だ。
「まぁ事業が上手く行きましてそれでって感じです」
「分かりました、あまり詮索はしません、ですがありがとうございます」
そう言ってシスターさんは今度は受け取ってくれた。
「セイヤとシスターなにしてるの?」
そこにアイリスちゃんが現れて、2人での談笑はやめた。
「寄付をしてたんだよ、だから美味しいものが今度も食べられるんだよ」
「ほんとに!?やったー!」
アイリスちゃんは元気にそう言ったら、みんな集まってきて、これからも美味しいものが食べられるとみんなそれにもちきりだった。
そんな姿を眺めていると、裾をクイクイと引っ張られる感覚がした。
そこには痩せ細った少女が居たが、金の髪を腰まで下げ、茶色い目をした少女が居た。
「あの、私マルシェラっていうの」
「マルシェラちゃんか、俺はセイヤって言うんだよろしくね」
握手をして、どうしたのか聞くと。
「魔法を教えて欲しいの!」
「いいよ、じゃあまずは魔力を感じるところから始めようか」
「うん!」
そう言いながら俺はマルシェラちゃんに魔力を流した。
「今流してるけど分かる?」
「うーん…ちょっとだけ」
魔力はまず誰かに流してもらいそれを感じるところから始めないといけない。
1時間程やったが、あまり魔力を感じることが出来ずに落ち込んでいたが、これからも流すから大丈夫と慰めた。
そうしてその日は子供たちと少し遊んでから帰ることにした。子供たちは仲良くなれたのかみんなまたねーと言って送り出してくれる。
俺はそのまま魔王城に帰り夕飯を食べてから、小説を読み寝る時間になったので眠りについた。
あと2日間は孤児院に通うだろうと考えながら。




