この世界に来ての目標
その後俺は魔王城へと帰ってきて、少し疲れてしまったので仮眠を取ることにした。
夢を見た、あの二人に拉致暴行される夢だ。
あの二人に会ってしまったから思い出されてしまったのだろう。
今思い返しても酷く辛かった、痛いし誰も助けてくれない孤独感、このまま飼い殺しにされるのかと思った時にリリは来てくれた。
「セイヤ!起きて!セイヤ!」
リリにそう言われて俺は目が覚める。
「セイヤ大丈夫?うなされてたけど、やっぱりあの二人のこと?」
「うん…」
そういい頷くとリリが抱きしめながら背中をポンポンとしてくれた。
「大丈夫、大丈夫だから」
その言葉に俺はまたもや泣いてしまった。
しばらく時間が経って落ち着いてから急に恥ずかしくなってきた。リリには下心などないだろうが、男の俺としては冷静になってあの胸に埋まってたのだ。
「セイヤ?どうしたの?」
「いや!なんでもない!なんでもないから!」
「なんか怪しい…さてはなにか隠し事でもあるのかな?」
そういいながらリリはくすくす笑っていた。
冗談かなにかかと思ってくれたのだろうか。
「さて、ご飯の時間だよ!いこう!」
そうリリに言われて俺はリリの横に並んで歩き始めた。
リリ的にはそれが嬉しかったのかご機嫌だ。
食堂に入り、グレイさんが用意してくれた料理を食べる。
今日の夕飯のメニューは白いパンにスープに魚だった。
この魚は見たことがない、異世界特有の魚なのだろうか。
「セイヤは今日なにしてたの?」
リリに聞かれて俺は魔王城の厨房でなにか発見がないかを見て、なにもなく、その後街にくりだして魔法具屋に入ってなにかアイデアがないかを探してた事を伝えた。
「なるほど〜それで、なにか発見とかあった?」
「いや特には無かったんだ、調理周りは全部地球と変わらないし、みんなの服装を見てもそれほど違いも見当たらないし、ここの文化って進んでるなぁと思ったくらいだよ、このマジックボックスだって地球には存在しないし」
そういいながら俺はマジックボックスを取りだした。
「むむむっ!」
するとリリはうなりだした、どうした?
「私が用意するつもりだったのに!」
「いやいや、誰が作っても同じなんだろ?なんか魔石の純度で容量が変わるみたいな事を聞いたし」
「それでも、私が用意したかった!」
なぜかリリはご機嫌ななめになってしまった。
ご機嫌ななめになってしまったのでみんなでなだめると落ち着いたのかいつものリリに戻った。
「いや〜ごめんね、セイヤの事はなんかなんでもしてあげたくなるんだよね〜」
母性か?母性なのか?リリは今母性に目覚めてるのか?
そんな馬鹿なことを考えていた。
俺たちはご飯を食べ終わり、皆各自自分の行く場所に行った。俺は自分の部屋に戻った。
部屋の中で色々と考えている。
俺はこのままニート生活をしててもいいのだろうかと、まぁこの世界にいるだけで価値があるみたいな言い方をされてしまったので、なにもしなくてもいいんだろうけど、なにか目標がほしい。
それにはこの世界で生きて色んなことを確かめて見て学んで過ごしていくうちに見つかるだろうと。
ならば今はまだこの生活に甘んじよう。
やりたいことが見つかればそれをすればいいし、やりたくない事はやらなくていい、今いるのは日本じゃないんだ。
そう思うと俄然やる気が出てきた、今日は寝ることにして、また明日に備えよう。そうして俺は室内にある風呂に入り眠ることにした。
一方その頃リリは何をしているのかというと内政をしていた。
色々な書類を確認しつつそれに判子を押していく。
そんな事をしつつリリは考え事をしていた。
セイヤの事だ、なぜか今日の食事の時に自分が用意したかったマジックボックスを先に用意されてただけなのに、それに対してなぜか不機嫌になってしまった。
この気持ちはなんだろう、嫉妬?いや違う気がする、なぜか分からない気持ちに振り回されながらもリリは内政を行なっていった。




