慕情
空へ
この冬空へ向かう宇宙船を作る
ゴミ捨て場から拾い集めた
プラスティック
組み立て組み立て
空き地から飛び立つ計画
目的地など
あるはずもなく
組み立てるプラモデル
ただ造形と創造を夢見て
架空の現実に
色を塗った
剥がれ落ちないように
染み込ませる
大気圏の突入には
耐えられない振動と重力
生まれ変わる僕らの
命の記憶を
連綿とつづく呼吸と孤独の中に
削ぎ落とす
これが宇宙なのかと
星空にひとり震える
心配症なあの子がくれた毛布が
絶対零度に固まる
変革を熱望されたウィルスは今日も胎内で眠る
沈まない太陽など知らない僕らの
決して昇らない太陽を追いかける僕らの
日常の暗転と繰り返される明滅気まぐれな優しさ
ひとえに何が愛かと知らないうちに気づかされることもなく過ぎてゆく虚数時間
運命から大量に採取した血液
すべて飲み干しても変わらない身体に求める高揚感
それでも吐き出せない最後の譜面の一音は
イルカでさえ認識できない Counter tenor 『A!』
流星群の衝突に
戸惑う恋心
見失った座標軸に光がさす夜明け
それほどまでに
鮮烈に
舞い上がる塵芥
先史時代の黎明より遥か遠く奥深くに眠りつづけるドラゴンさえも打ち滅ぼし
真皮の上にはる柔らかな薄皮に口づけ
生命の営みに優しく抱きしめる無常の悦び
空っぽの辞書片手に調べる
唐突な衝動はいつも明け方
ニワトリよりも早く鳴く
生み落とされた卵をもう一度体内に入れてあたため直す
それに命が宿っていようとなかろうと
わが子はかわいい
僕を呼ぶ歌声が遙かなその先から暗闇に宇宙に木霊する
薄暗い洗面台で目を凝らしながら手を洗う僕の使命は
扉を開けること
生きることにも死ぬことにも慣れ果て行き交い探し求める
出会う先に求める悦びはいつだって堕胎しては味わえぬ
生きる為に穢れる穢れる為に生きる生きて穢れることをやめない
不浄の生命を洗ってはいけない死ぬことよりも重い大罪
愛することの何が悪いのか
恋も愛も消え果ててやがて死ぬ
墓標に戒名酒池肉林
どの世界でも逢瀬を重ねる
ひとりだけじゃない人
身動き出来ずによじる躰
生命の噴火は
明日への希望
地球生命体はマントルより奥深く輝く地の底を知る由もなくただうわべだけ取り繕う
のは飽きたから裏返しに肉を着て骨身をさらけ出す
愛して……
悲しき肉
悲しき骨
直に触れられない愛した君……
今日も手紙を書いて
透明のカプセルに入れて
宇宙葬
どの道成仏できないのなら
早く肉体を手に入れる
眠るひとりの人に幾万の人
眠る消された記憶の中に幾万の人
男でも女でも
終わりなく続く果てなき連結車両
寝台特急に乗り込み急ぎ会いにゆく
重ねた口唇の数だけ
記憶と呼ぶ
純情な愛情を重ねる
君を求める




