第7話 お茶会③
しばらく帽子屋たちの会話を聞いていたが、肝心の『アリス』について聞かなければいけないことを思い出した。
が、騒がしい彼らは別の話題を持ち出してきたのだ。
「それにしても、今回の『白ウサギ』は随分と静かな方ですね」
「ほんと!この前の『白ウサギ』は変なお茶会って怒ってたもんね」
……ん?今回?この前?
この不思議の国には『白ウサギ』が自分以外にも存在していたのか…?
チェシャ猫は『白ウサギ』は外の世界からやってきたと言った。
それなのに不思議の国の住人が『白ウサギ』を知っていたのは、前にも外の世界から誰かが『白ウサギ』として来てたから…?
「じゃあ一体、何番目の『白ウサギ』なんだ…?」
ぼそっと呟いたその言葉は、お茶会に参加していた全員の耳に届いていたようで、一斉に黙り『白ウサギ』に視線が集まっていた。
「ええと、1番目はとても優秀な方で、2番目は諦めが早くて、3番目は…」
「最初から数えてたら紅茶が冷めちまうよ、適当に7番目とか言っときゃいいのさ」
帽子屋と三月ウサギが話している中、突然、さっきまでぐっすり眠っていた眠りネズミが立ち上がった。
「11番目の『白ウサギ』!」