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第2話 チェシャ猫②
芋虫が水タバコを吸い、猫が空中を動き回る不思議の国。
本当に名前の通りだと納得したが、同時に疑問が浮かび上がる。
なぜ『白ウサギ』がこの世界を知らないのか。
『白ウサギ』も不思議の国の一員のではないのか。
考えてもズキンと頭痛がするだけで何もわからなかった。
「どうしたんだい『白ウサギ』、この世界と自分との関わりについてでも悩んでるの?」
……チェシャ猫は心が読めるのだろうか。
「自分は『白ウサギ』と呼ばれているけど、不思議の国のことがわからないんだ。知っているはずなのに…」
「そんなに頭を抱えないで、ちゃんと説明してあげるよ」
とりあえずこの森を抜けよう、というチェシャ猫の言葉に重い腰をあげ、再び森を歩き始める。
「結論からいうと、君は『白ウサギ』だけど不思議の国の住人ではないんだ」
にやにやしながらもチェシャ猫は真面目なトーンで話し出した。