第4話 発明家と妹の楽しい一日
どうも見浦ロキです。
特にないのでどうぞ!
それは桜も全て散った位のある日の土曜日であった。
解はその日バイトがなかったため朝食を紗苗ととると、部屋でゆっくりしていた。
「発明品マーク32は役に立つなぁ~!」
そう言って解はベットでゴロゴロしながらマンガを読んでいた。
マーク32とは、通称全自動マンガトレールという解が三十二個目に作った発明品である。
解がのんきに『PoPoの不可思議な冒険』というマンガを読んでいると部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「お兄ちゃん・・・いる?」
それは紗苗の声だった。
「いるけど?何だ?」
解は読んでいたマンガを閉じて、ドアの方へ向かう。
「・・・今日・・・バイト・・・ないんでしょ?」
「まぁそうだけど・・・どうした?」
「え・・・えーとね・・・」
「一緒に・・・買い物行こう!」
紗苗がそう言うと解は「いいよ」と返事をした。
「うん!じゃあ午後になったらデパートアルカリに行こう!」
「了解!じゃあその時間になったら俺の部屋呼びに来て」
「分かった!」
そう言って紗苗はウキウキしながら部屋を出て行った。
「どんな服着て行こうかな?」
紗苗はまるで小学二年生のようなことを口にして部屋を後にした。
「・・・今まであまりかまってあげられていなかったからな」
そう、両親が死んでからはバイトやなんやらで忙しかったため、かまってあげられなかった。
「まぁ今日ぐらいは・・・いいか」
そう言って解はマーク32に別の巻を取らせた。
「やった!久しぶりのお兄ちゃんとの買い物だ!」
紗苗は子供みたいに(今でも一応は子供)はしゃいでいた。それは遊園地に行く子供みたいに。
「何着て行こうかな?」
紗苗はクローゼットを開けて、いろんな服を着ては脱いでを何十回も繰り返した。
「・・・これでもない・・・あれでもない」
そう言って紗苗は何度も何度も繰り返し、気が付くともう行く時間になっていた。
「ねぇお兄ちゃん?」
紗苗が突然質問をしてくる。
「ん?どうした?」
「私の服・・・似合ってる?」
紗苗は少し顔を赤くして解に質問をしてきた。
解は紗苗の服装を見た。
まず目立つのは髪である。普段は後ろをリボンで一つ結びにしているのだが、今日はゴムで二つ縛りにしている。
服装は、Tシャツに少し長めのスカート、そしてTシャツの上にはパーカーを羽織っていた。
この季節によくあっているのかはわからないがとても似合っていた。
「まぁ似合ってんじゃないの?」
解がそう言うと紗苗はとっても笑顔になり、「ありがとう」と解に行った。
それからいろいろな店を回った。
まずは、紗苗が行きたいと言っていた、服屋さんを三店舗ほど回った。
そのあとは、ペットショップ(二人とも興味はあまりない)や、解が行きたがっていた工具屋、そして地下のゲームセンターなどとっても充実していた。
そして食品売り場で、明日、明後日のご飯を買っていた。
「お兄ちゃんは今日の夜何が食べたい?」
紗苗がそう聞くと解は少し悩んでいた。
「うーん?・・・じゃあユッケなんていいんじゃない?」
「分かったわ!」
そう言ってお魚売り場に行くとそこには怜花がいた。
「・・・あ!解に紗苗ちゃん!」
こっちに気づいた怜花が二人に近づいてきた。
「・・・あ!怜花さん!こんばんわ!」
紗苗はいつものポーカーフェイスで何とかしのいだ。
「よぉ!怜花?どうしたんだ?」
「お使いよ!ちょっとサンマが足りなくてね」
怜花がそんな話をすると解は少し不自然に笑いながらあることを話した。
「そういえば紗苗っておばあちゃんとしか買い物行かなかったな?」
「え?・・・そういえばそうかも」
「おばあちゃんは優しかったから・・・」
紗苗は唐突に悲しくなってしまった。
今にも泣きそうなところに兄が彼女の頭をなで始める。
「おばあちゃんと父さん、母さんはいないが、俺がいるからいいだろ?」
解はそう言って紗苗を慰めようとする。それに水を差すように怜花がこう言った。
「おぉ!お兄ちゃんしている。いいねいいね!」
「うるせぇ!お前にはこいつの気持ちなんて一切わからないんだろ?」
「私にはどんな気持ちか分からなわよ!」
怜花はそう言っているが、実際は違った。
知っている。おばあちゃんが死んだときも、両親が死んだときも、絶対に部屋にこもってしまっていた。それだけつらいと言うことも知っている。
「・・・フフフ・・・二人って・・・仲がいいね」
紗苗は涙目で笑顔になり、その笑顔はとっても嬉しそうだった。そうそれは・・・嘘偽りのない、紗苗の本心であった。
いつもポーカーフェイスで怜花をごまかしていた時の笑顔ではなく、兄にもなかなか見せることのない、心からの笑顔で会った。
買い物が済んだ後、三人は並んで一緒に帰った。
少し買いすぎてしまった食材を発明品マーク25に乗せてそのまま帰った。
あまり兄に素直になれない紗苗もこの日だけはとっても生き生きとして、兄に接していたのに気づいたものは実際誰一人としていなかった。
「お兄ちゃん・・・大好き・・・ずっと一緒だよ!怜花さんになんか負けないんだから」
紗苗は今までの怜花の行動を忘れて、もっと仲良く接しようと心から思った。
いかがでしたか?
次回は今日の夜か、明日です!
ではでは・・・