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第四話『出会い』

第四話『出会い』


俺の顔は真っ青になった。


ここは『ガイジ』=『外人』という俺の勝手な解釈を通すべきなのか・・・

いやいや、ここは株式会社ガイジだ。もし深く話して途中で食い違ったら・・・



俺は正直に話す事を選択した。


俺「すみません・・・分からないです。」


林田「エッゲッゲ(えっへっへ)」

林田「ぞうがい、じゃあばなじばびじょうだ(そうかい、じゃあ話は以上だ)」


俺「え・・・」

俺「待ってください!『ガイジ』って何ですか?」

俺「ずっと意味が分からなかったんです。教えて下さい!林田社長!」


林田「おでぐん、ばなじばびじょうだどいっだばずだ(俺くん、話は以上だと言ったはずだ)」


俺「俺はこの会社に入ってまだ間もないですが、何の経験もない俺を拾って下さった事、凄く感謝してます!」

俺「だから会社の事をもっと知っておかなければならないと思っているんです!」

俺「お願いします!教えて下さい林田社長!」


林田「ゲヒャ(げひゃ)」

林田「おでぐん・・・ぎみはげんじょうじゃのぐぜに、いいわげばべだだべ。(俺くん・・・君は健常者のくせに言い訳は下手だね。)」


俺「健常者・・・?」

俺「それが何の関係があるんですか?」


林田「ぎょうのばなじばびじょうだ。がえりだまえ(今日の話は以上だ。帰りたまえ)」


俺「・・・失礼しました。」



憤る不満の中、俺はそっと社長室を後にした。


分からない・・・ガイジって何なんだ。

そもそも何で正直に話したのに教えてもらえないんだ?

新人とは言え、俺は株式会社ガイジの社員だぞ・・・


きっとAさんに話しても同じような対応だろう

Aさんとは関係を悪くしたくないし、この話はするべきじゃないかもしれない。

でも、やっぱり気になる。



そうだ・・・!

会社を辞めていったαさんになら聞けるはずだ。


俺は次の日、以前修正した部分のプログラミングの動きについて直接聞きたいという理由で、会社を辞めたαさんの連絡先を聞き出す事に成功した。


αさんに連絡を入れると、快くOKをもらえた。

電話より直接顔を合わせた方が話しやすいだろうと言われ、静かなバーの席を用意してもらった。


そして当日。

俺はノートPCを所持し、予定より20分早くバーに着いた。

しばらくして現れたのはロン毛のイケメンだった。


イケメン「あ、君が俺くん?」

俺「はい、えっと・・αさんですか?」


αさん「ハハハ。そうだよ」

αさん「目が泳いでるけど大丈夫かい?」

αさん「もしかして俺の事カッコイイとか思ってる?ハハ、照れるなぁ・・・///」


なんて一方的なヤツだ・・と感じていた。

ふと、俺の持ってきたノートPCに目を向けた。


αさん「お、ノートじゃん!エロ動画見ようぜ!」

αさん「俺、風間ゆみが好みでさ~」


勝手にPCを弄り始めたαさん

仕方ない顔で画面を覗き込む俺




検索欄に『か』を入力した途端、二人が同時に声を発した。


俺:αさん「あっ・・・」


検索候補には


株式会社ガイジ

ガイジ wiki

ガイジ 意味

ガイジ カイジ 違い

ガイジ 健常者



やばい。


プログラミングの話をしながら酒を飲んで、自分の中で大丈夫だと確信した時この話をする計画だった

俺がαさんに接触しようとした本当の理由、その背景、全てがばれたかもしれない・・・

けどここで俺が『ガイジ』について知る事ができなきゃ、次にチャンスが来るのはいつになるか分からない。




一瞬の沈黙が永遠に思えた。



その静寂を破るかの如く、αさんが切り出してきた。


αさん「それで、聞きたい事ってなに?」


どう返すべきか悩んだ末、俺はもう考えるのをやめた。



俺「あの、プログラミングの話もしたいんですけど、それよりも聞きたい事があって・・・」

俺「『ガイジ』って何ですか?」



ため息をして下を向くαさん。


αさん「はぁ・・・やっぱりね・・・」

αさん「俺くんは何だと思ってるの?」


俺「えと・・・外人?」


αさん「ハハハハハ!」

αさん「俺くん、世の中には知らない方がいい事もあるんだよ」


俺「そんな・・・俺は株式会社ガイジの社員ですよ!」

俺「俺みたいなヤツを拾ってもらえた事、本当に感謝してるんです」

俺「だから会社の事はきちんと知っておきたい。」

俺「それに・・・どうしても気になって仕方ないんです!」


αさん「俺くん、会社に入ってどれくらい経つの?」

俺「1ヵ月目です。」

俺「お願いします。どんなに後悔してもいいんで、どうしても知っておきたいんです。」


αさん「そうか・・・それじゃあ教えてやる。」



αさん「『ガイジ』ってのはね、麻薬取引の隠語なんだ・・」


俺「え!?」


αさん「ハハハハ!嘘だよ!」

俺「茶化さないでください!」


αさん「分かった分かった。ちゃんと話すよ」

αさん「でもその前に1つだけ聞いてほしいんだ。」




αさん「実はね・・俺が会社を辞めた理由も、その『ガイジ』が原因なんだ・・・」



俺「え・・・?」


続く。

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