第三話『再開』
第三話『再開』
俺「お・・終わった~・・・」
上司のAさんに聞いたり調べたりで、どうにか1週間後の会議までに仕事を終えることができた。
次の会議には参加させてもらえる事になった
そして会議の時間が来た。
会議室に入ると、遅れて社長らしき人が車椅子に押されながら現れた
車椅子か・・・と思ったその時!
俺「あ!!!!!!!!」
思わず声がこぼれた。
周囲の目は一斉に俺に注がれた。
社長らしき人も、ゆっくりと俺の方を向いた。
間違いない・・・
中学生の頃、同じクラスだったヤツだ。
名前は林田君。
みんなによくからかわれていた人だ・・・
林田「あ!おでぐん(あ!俺くん)!!!!」
俺「林田・・・!林田じゃないか!」
喋りは昔と何も変わっていなかった。
林田は脊髄を骨折していて、もうまともに歩く事は出来ないと言われていたそうだ。
俗に言う障がい者だ。
なぜかいつも鼻血が固まっていて、鼻声になっている。
授業中も小便を漏らしたり、学校中の笑いものにされていた。
俺は一度だけ話をした事がある。
だがそれがキッカケで一時的にからかわれるようになり、キッパリ関わるのをやめた。
俺「お前・・・社長になったのか!?」
林田「うん・・」
俺「凄いじゃないか!」
俺「俺、ここの社員になったんで宜しくお願いします!林田社長!」
林田「エッゲッゲ(えっへっへ)・・・」
女社員「社長・・・そろそろミーティングの方を・・」
そう切り出して、ミーティングが始まった。
林田が主に喋っているが、中学校同期の俺でも時々何を言ってるのか分からない。
俺が修正した箇所については、Aさんがきちんと説明してくれた。
とりあえず、この会社での俺の株は1つ上がったかのように思っていた。
全ての話が終わり、最後に林田から一言
林田「おでぐんは、ごのあどぎなざい(俺くんは、この後来なさい)」
昔話でもするんだろうと思っていた俺は、少し覚悟していた。
今の自分が置かれている立場と、過去に犯した林田への過ち。
なんとなく想像は付いていた・・・
社長室のドアの前に立った俺は、恐る恐るノックした
俺「失礼します!」
林田「おでぐん、まっでだよ(俺くん、待ってたよ)」
林田「だいじなはなじがあるんば(大事な話があるんだ)」
林田「おでぐんは、ガイジっでなにがじっでる?(俺くんはガイジって何か知ってる?)」
俺「!!!」
続く。