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3,新たな世界へ

●エリシアside●


 私エリシアが、旅を始めてから今までの出来事を話したいと思います。


●●●


 約一時間前くらいに、私とアンドリューは、この港町に着いた。

 波の音や、海鳥の鳴き声。そんな音がよく聞こえて、私たちの町と比べると、とてものどかで、静かな町だった。

 そして、その町の少し山道に入った所に、とても大きなお屋敷がある。

 そこがお父さんの友達のビンドラさんという人の家みたい。


 中に入るとそこには、赤いじゅうたんや、高そうな置物などがある。何もかもがピカピカで、すごく感動した。


 それからしばらく、アンドリューとビンドラさんのお話しが続くが、すごく退屈だったので、部屋中を見て回った。

 すると急におしっこしたくなり、近くのメイドさんにトイレを聞いて、そのままかけ入る。


 そして、用も終わりトイレから出ようとすると、アンドリューがいる部屋から変な空気を感じた。

 すき間からその部屋を見ると、サングラスの男達がアンドリューに黒い長い銃を向けていた。

 私は怖くなって、とにかくその部屋の隠れる場所を探して隠れた。


 しばらくすると、部屋のなかに誰かが入ってきた。

 いつばれるかわからない。そんな怖さが強くて、とにかく逃げ出そうとした。

 しかし、その人はすぐに私に気づいて、簡単に捕まってしまった。

 それから私は訳もわからず暴れていると、突然目の前に拳銃の口が、私の顔に向けられていた。

(殺される......)本気でそう考えた。

 もうどうしようもなくて、あきらめかけたときに、襲ってきた人が「お前の旅は終わりだ」と言った。

 その瞬間、私はどうしてこの旅をしたいのか。あらためて考えた。

 そして、そのすべての思いをその人に告げると、その人は涙を流していた。

 それを見たとき、(このお姉ちゃんはすごく優しい人なんだ)と思った。


 それからの出来事は本当によく分からなった。

 ビンドラさんが突然部屋にやって来ると、何かをお姉ちゃんに投げたのはわかったが、それからお姉ちゃんはたぶん、ビンドラさんを銃で撃ったんだと思う。

 そしてお姉ちゃんに言われたこと。


「お前の旅に私を連れていってくれないか?」


 あまりにも突然のことに私の頭はパニックしている。

 それでもわかったことは、お姉ちゃんは私と仲間になりたい。てことだった。


 そして、私の旅に、一人の仲間が入った。名前はハイネ。

 きれいな銀髪と輝いた青い瞳。まるで人形のような冷たい雰囲気を持っていたが、その中に優しさがある。そんな感じのお姉さんだ。


「よろしくね!ハイネ!」


 すごく嬉しい!これこそ冒険だね!

 と、ここまでが旅のあらすじです。



 ●●●



「とりあえずここから出よう。外側の警備の奴らがここに来るぞ」


 ハイネは部屋にある窓を開けて、外を確認している。


「あ、待って!アンドリューがまだ......」


 私がそう言うと、ハイネの表情が暗くなる。


「すまんな、お前の兄は撃たれた。もしかしたら生きているかもしれないが、かなり重傷かもしれない。とりあえず私が急いで助けに......」

「勝手に人を殺さないでください」


 私たちのいる部屋のどこからか、アンドリューの声が聞こえる。

 そして部屋のすみに積まれた段ボール箱の裏から現れる。

 それを見て私は(やっぱりね!)と思った。

 うちの兄ちゃんはそう簡単にやられるほど甘くないのだ!


「なっ!?お、お前!なんで?」

(お、ハイネが驚いてる。さっきまで暗殺者のような顔が、普通の女の子だあ)


 と、私たち兄妹は楽しむのだった。


「まあ、なぜかと言われますと......撃たれなかったから。と言っておきます」


 アンドリューの発言にさすがの私も首をかしげる。


「じゃあ警備の連中はなにに向かって撃ったんだ?さすがにあいつらもプロだから、そんなむやみに撃つとは思わんぞ?」

「うーん、そうですね。まずは説明する前にここから離れましょう。警備の方々がここに来るんですよね?」


 アンドリューはさっきハイネがのぞいていた窓に近づく。

 と、その時......。


『エリシア。ここだよ......』

「えっ!?」


 突然、私の中から声が聞こえてくる。ような感じがした。


「どうかしました?」


 アンドリューが声をかけてくるが、私はその声に耳をかたむけず、導かれるままに歩いた。


「おい!そこは行き止まりだ!」


 それでも私は奥の部屋へと歩く。

 そこにはとても広いシャワー室と、洗面所とトイレがある。

 私はその部屋のクローゼットっぽい扉の前に立つ。


「エリシア!そこに隠れてもすぐに見つかる...」

「ここに行けってプリエルクロックが言うんだ......」


 私の言葉にハイネとアンドリューが驚く。


「その時計がエリシアに声をかけてくるのですか?」


 アンドリューの質問に私はうなずいた。


「プリエル君がね、ここが旅の道筋だって。ねえ!行ってみようよ!」


 ハイネはすごくためらっていたが、アンドリューはなんだか楽しそうに、にやけていた。


「行きましょう!それがエリシアの道なのであれば」

「えっ!?あ、ああ......」


 アンドリューはかなり乗る気らしいが、ハイネはかなり困っている。まあ普通はそうなんだけどね。


「よし!開けるよ!」


 私はクローゼットの扉を開ける。


 そしてそこには、洋服も布きれ一つもなく。そこには青白く光っている、光の階段があった。


「な、なんだよ......これ?」

「わあ、すごい......」


 ハイネが真っ先に声を発していた。私も思わず口から声がでちゃった......。


「これがプリエルクロックと、エリシアの二人が交わった時の力なのでしょう。ですが、まさかこんな力があったとは......」


 アンドリューは冷静すぎ!もうちょっと驚きなさいよ!と言いたいね。

 そして私は導かれるまま、階段をかけ上る。


「行こう!プリエル君が待っている」


 私は手を振って二人を呼ぶ。

 そして二人も階段をゆっくり登りはじめる。



 そしてさっき私たちが入ってきた扉も、ゆっくり閉まっていった。

 まるで、帰り道は無いと言っているように......。



 ●●●



「こんにちわー」

 私の声は広い空間に響いて聞こえる。


 私たちが通った階段の先には、まるで遺跡を思わせるような、見たことのない文字が彫られたり。不思議な像が立っていたりする。少し薄暗くてとても広い部屋だった。


「ここがどこかわかりませんが、とりあえずここは安全でしょう。ひとまずはここに隠れておきましょう」


 アンドリューはそう言いながら、持っている手持ちのカバンを床に置く。

 私も続けてカバンを置くと、すぐに走り回った。


「遺跡探検!レッツ、ゴー!......とその前に」


 私は一旦止まると、ふたたびアンドリューの元へ戻る。


「今日のあれ。タネあかししてよ!」


 あれというのは、どうやってアンドリューが、たくさんの向けられた銃から脱出できたのか。ということだ。


「ああ、あれですか......まずは何から話しましょう......」

「お前がビンドラ氏を挑発したときの、指の動き。あれはどういう意味だ」


 ハイネが突然言い出した。


(指の動き!なにそれ?というかハイネはそんな動きもみえるの!?)と思わず驚く。


「やはりわかりましたか?さすが優秀な用心棒さんだ。美人で運動神経もよくて、男をしっかり見ている。スゴく良い女性になれます......」

「話をはぐらかすな!撃つぞ!」


 アンドリューのほめ言葉(?)が頭にきたのか、ハイネはアンドリューに顔を赤くして銃を向ける。



「お、落ち着いてください!僕は別に貴女がすごい方だと言いたいわけで」

「いいから説明しろ!」


 アンドリューは少し焦りながらも、一回咳払いをすると、余裕そうな顔に戻り、説明を続ける。


「あの右手の動きは、外にあった花びんを壊すための仕掛けです」

「花びん?じゃあつまり、あのとき仲間はいなかったってことか?」

「はい。まあフェイクみたいなものです」


 仲間?フェイク?私にはわからないが、花びんには心当たりがある。

 それは、ビンドラさんの家にある置物について、アンドリューが私にこういったのだ。


『実はエリシア。僕達が通される部屋の前に綺麗な白い花びんがあるのですが、それはよく見ると天使の羽根が書かれているという噂らしい。もし良かったら見てみるといいですよ。あ、でもビンドラさんには内緒にしておいてください』


 そして私はあのとき、ちゃんと花びんを見てみたが、なにも書かれていなかった。

 そしてアンドリューは私に近づき、優しくだけど「あまり触ってはいけませんよ」としかられた。

 それに意味がわからなくて悩んでいたが、今の話で少し納得した。

 そう。私をしかっている間にその花びんに罠を仕掛けていたのだ。

 そうやって妹を利用する。なんともサイテーなお兄ちゃんである!まあ、それでも許すのが、妹としての役目だね!

 と話は進んで。


「じゃあお前の指と花びんが?繋がっていた?」

「はい。そういうことです」


 するとアンドリューは、着ているスーツの袖から、透明な見えにくい糸を引っ張り出す。

 それをハイネは興味津々に見る。


「この糸で花びんと繋げました。とても便利で、頑丈なんですよ」

 そう言いながら糸を指で弾く。


「あ、ついでにもう一つの仕掛けも、この時につけました」

「もう一つ?」


 アンドリューは糸をしまうと、人差し指を上に向ける。


「花びんの上には、丁度通気口があります。そこに仕掛けていた罠の、仕上げをしました」

「「仕上げ?」」


 きれいにハイネと私の声がハモった。


「ある協力者にお願いして。通気口を通して、食堂への道に睡眠ガスの罠を仕掛けてもらいました。内容については僕もわかりませんが、その罠のスイッチのようなものを、あのビンの近くにお願いしておきました」

「それって、花ビンの上にあったくもの糸!」


 私はその時のことを思い出して、言い当てる。


「くもの糸?」


 ハイネは頭をかしげる。


「花ビンの上から、糸が垂らされていたんだよ。それをアンドリューが、くもの糸ですねえ。って言いながら触っていたんだよ。たぶん、その時に仕上げたんじゃないかな。とんだ演技派だ!」


 私がそう言うと、ハイネも少し納得した。


「じゃああの睡眠ガスはお前が放ったってことか。だが、それだけの仕掛けでは、お前が生き残った理由がわからんな」

(うーん、確かに。アンドリューは運動神経は並み程度だから、それだけではね......)


 そんなことを思っている間に、アンドリューがカバンの中から白い箱を取り出す。


「それは......ブラッディルビーとやらが入っていた箱だな」

「はい。よく覚えてましたね。実は、カギはこの箱にあります」


 私とハイネが、首をかしげると同時にアンドリューは箱を開ける。

 そこには赤色の宝石だった。


「まさか!持ってきたのか......あれ?」


 ハイネは最初に中身を見て驚いたが、ちょっとしてからおかしいことに気づいた。


「これは偽物か?」

「正解!よくわかりましたね、これは偽物のブラッディールビーです。まあ、一度本物を見ると一目瞭然(いちもくりょうぜん)なんですけどね」


(えっ?なんのはなし!?ぶらってぃ...なに?これ偽物なの?)

 と私だけ、なんだか置いていかれた感じになった。

 まあ、つまりはこれが偽物だと思って話を進めればいいかな......。


「実はですね。これは『デコイ』なんですよ」

「デコイ!」

「デコイ?」


 どうやらハイネは知っていたみたい。

 不思議だな。同じ言葉でも、思いが違うだけでこんなにも聞こえが違うよぅ。

 と、とりあえずここは質問をしなきゃ!


「なんなの!そのデコイとやらは!?」


 思わず怒り口調。


「あ、えとそれはな......」

「敵に自分の居場所を勘違いさせるための道具ですよ」


 ハイネが説明しようとしたが、ハイネでは説明できないと思い、アンドリューが変わりに説明を始めた。


「実際に使って見せたいのですが、何せ数が限られていますので、ここでは使えませんが......」


 アンドリューは箱の中にある宝石を取り出すと、そのまま箱の底を見せる。


「ここに、そのデコイというのが入っていまして、スイッチを押すことによって、ここから風船が飛び出します」

「風船?」

「はい。そしてその風船は膨らむと人の形になり。遠くから、もしくは視界が悪いときには、これが本物の人に見えてしまうんです」


 アンドリューは箱をカバンにしまった。


「すごーい!じゃあガスが部屋にいっぱいになって。その間にそれを膨らませたんだ!そしてその風船がアンドリューだと相手は勘違いして敵が撃っている間に逃げる!......なんてズル賢い!」

「それ、嫌味ですか?」


 さっきからわからない単語ばっか使うから、お返しだ!

 と、話は置いといて。


「じゃあ私に逃げてと言ったのは?」

「はい。あのデコイですね。膨らませると音声が流れて、音からも騙すことができます」


 私はとりあえず納得して。「へぇー」と言いながらうなずいていると、ハイネが口を開く。


「なあ、そんなものはどこから手に入れるんだ?こんな代物。軍隊でなければ手に入らんぞ?」


(えっ!?軍隊!そんなものをアンドリューが持ってるの!?)

 とりあえず話を聞いておこう。


「ある協力者ですよ」


 その一言にハイネは不満な表情だ。


「協力者ってなんだよ。お前、一体何者なんだ?」


 ここは、私がフォローしなければ!


「うーんとね、アンドリューも意外と友達作るの得意だよ。まあ、ビジネスパートナーみたいなものだけど」

「意外とは余計ですよ」


 私が言い終えると、ハイネはアンドリューを不思議なものを見るように、凝視する。

 どうやらハイネは、アンドリューを不審な奴だと思っているみたいだ。


「まあ、別に友達作りは得意じゃないですよ。ただ、ビンドラ氏に一矢報いるチャンスだと思っている人たちに協力しただけです」

「うん?いっし?ビンドラ氏は、前から悪いことをしていたのか?」

「そうですね......」


 ハイネの質問にアンドリューが答えようとしたとき......。


「ビンドラさんは自分の儲けのために、ライバル企業を裏から壊していった人だよ。そんなの誰からも恨まれて当然だよ......」


 突然、幼い声が遺跡に響いた。


「誰だ!」


 ハイネは私たちが反応できないほどの早い動きで銃を抜き、その声が聞こえる建物の影に向ける。


「落ち着いて。別に君たちを邪魔しようとしたわけではないんだ」


 影の中に誰かがいる。そしてそれがゆっくり歩くと段々とその姿が見えてくる

 そして完全に現れるとそこには、黒髪で背は私と同じくらいの男の子がいた。

 ちなみに上半身が裸で、下もパンツしかはいていない。

 それを見て私とハイネの顔が赤くなる。


 まあ、相手は幼くても男は男だからね!


「おっと!失礼!」


 その子はそう言うと、指をパチンと鳴らす。すると、金の粉が男の子の全身を包み。そしてタキシード姿になる。


「やあ、僕はこの場所の案内人の......」

「プリエル、クロック......でしょ?」


 私は思わずその名前を口にした。


「そう!当たり!と、あらためまして、プリエルクロックです。アンドリュー。ハイネ。はじめまして!エリシアは夢で何回か会ってるね」


 男の子の言葉にハイネとアンドリューも言葉を失う。


「うん!でもこうやって会えるとは思わなかったよ!」


 私は単純に嬉しかった。なぜなら、あの夢の男の子とたくさんお話ししたかったからだ。


「一体どういうことだ?」


 ハイネが半開きの口をやっと動かし、男の子に質問する。同時に構えた銃をしまう。


「うん?ああ、ビンドラさんの話だね。それは、ずっと一緒にいたからね。すごくわかるんだよ」

「違う!お前が『時計』と同じ名前なのは、偶然か?それともこの『時計』と関係があるのか?」


 すると、プリエルは笑顔を見せる。


「というより、僕がエリシアの持っている『時計』の正体。つまり、僕自身が願いをかなえる魔法の時計。プリエルクロックなのさ!」

「えっ!?」


 ハイネはどうやら信じられないらしい。アンドリューに関しては、なにか考え事をしてるように、唇に親指をあてて黙っている(いつも考え事をしてるときのクセだ)。


「まあ、まずは僕の正体よりも、ここがどこか。を知ることだね」


 すると、アンドリューが考え事が終わったのか、いつものクセを解いて、話を始める。


「ここは僕達の住んでいた世界ではなく。それよりも次元を超えた場所。つまり『異次元』もしくは『四次元』と呼ぶべきでしょうか?」

「おー!さすがアンドリュー!よくわかったね!」


 プリエル君は目を輝かしながら驚いた。


「そう、ここは異次元!まあ、軽く説明すると。形や時間。物理的な概念などが存在しない世界。だから形も存在も『思い』だけで自由自在!こうやって人間の形になって君たちの前に立てることもできるんだ。

ちなみに僕は、三次元世界。つまり君たちが住んでいる世界では、『時計』として姿を表し、エリシアのために魔法の力を与える。それが僕の役目さ」


 話がイマイチついていけないが、とりあえず頭のなかにまとめてみる。


「えっと......よくわからないけど、とりあえずここでしかプリエル君とこうやって話すことができないってことでいいかな?」

「まあ、そういうこと!詳しいことはこれからゆっくり話すよ。旅はまだまだ長いしね」


 すると、プリエル君はゆっくり歩き出す。


「それよりも、君たちには決めてほしいことがあるんだ......」


 そして丁度部屋の真ん中に立つと。そのまま奥のほうへ指をさす。

 その先には、巨大な扉のようなものがあった。その扉には髪の長い女性の形をした模様が描かれている。


「あれが君たちの旅路。あそこの扉から、君たちがいまだ見たことのない。違う世界が広がっている。常識も文化も。世界観も。全然違う世界」


 その言葉に私の胸が突然響いた。


「そして君たちには選んでほしい。このまま自分達の住んでいた世界に戻って、普通の冒険を続けるか。それとも、人間としての代償を払い。未知なる世界に挑戦するか」

「人間としての代償?」


 アンドリューが質問する


「異世界に行くには、それなりの代償が必要なんだ。その代償というのは、異世界に行く時に『時空』を渡らないと行けない。そして、その対価は『時間』......」

「時間......」


 一体時間が失うとはどういうことなのか?もしかして......。


「寿命が縮むのか?」


 私が答えを出す前にハイネが言い出す。


「さあ、それはどうかな?正直に言うと僕にもわからない。でも、エリシアは感じているはずだよ?」


 プリエル君の言葉を聞くと、ハイネとアンドリューは私を見た。

 この時の私には、迷いがなかった。


「うん。冒険は何がおこるかわからないからこその冒険だ。例え時間が失って、それがどんなヤバイことでも、私は行ってみたい!私たちが見たことのない世界を......感じてみたい!出会ってみたい!だから、私は......」


 あ、しまった。思わず話を勝手に進めちゃった......。

 アンドリューとハイネ。大丈夫かな?

 と恐る恐る二人を見ると。


「そうですね。行きましょう」

「そうだな。私もお前について行くぞ」


 二人は笑顔で私に賛成してくれた。


「意外と早く決まっちゃったね!......本当はゆっくり悩んでもいいんだよって言いたかったけど、その必要はなかったみたい」


 すると、プリエル君は扉へ近づいていく。私たちもその後を追う。


「じゃあエリシア、時計をワンクリックして!」

「ワンクリック?」


 私は、いつの間にか首にさげている、時計を手に取った。


「その時計の頭の方に、スイッチがあるよ。それを一回押すんだ。そしたら君の願いが成立する」


 私はスイッチを確認すると、それをゆっくりと押す。

 そして、カチッ。という音と一緒に、巨大な扉がゆっくり開きだした。


 その扉の先は、まぶしい光が広がっていてなにも見えない。それを見た瞬間、ワクワク感が上がるように感じた。


 そして、私はその扉の向こう側へと歩き出す。

 この時、私には一つの思いがあった。


 この先には何があるかわからない。それは危ないことだったり、恐いことだったりするかもしれない。

 でも、どんな出来事にも意味がある。

 だから私は、その新しい出逢いを受け入れよう。そして、誰かの助けになるように強くなりたい。

 そんな思いを込めて、この言葉を言うね。



「みんな......さあ!行こう!新たな世界へ!」





ここまで読んでいただきありがとうございます。

エリシア達の世界での話はひとまず終わりで、次回から別の世界の話になります。

良かったら次回もよろしくですー。

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