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1,私のともだち

●エリシアside●


 この時計はね。なんでも願いを叶えることのできる、魔法の時計。

 それは君にしか使えない。たった一つだけの。特別な時計。

 でも、これを使えば。叶った分のものが、君からなくなっちゃうんだ......。

 でも、そうするしかないんだ。貰うだけでは、君は人としての心を失っちゃうんだから。

 でも、君は強い子だから。きっと使いこなすことができるよ。

 え?僕の名前かい

 僕は。『プリエルクロック』......。



 ●●●



 私はそこで目覚めた。目の前にある見慣れた天井。自分のからだから感じるいつもの心地よさ。その感覚で少しだけ状況がわかった。

 どうやら夢だったらしい。

 眠気のある重い身体を起こした。


「そうだ......今日は最後の集まり......」


 そう言いながら机に置かれた時計を見る。

 10時を回っていた。


「わあああ!遅刻だあ!」


 私は急いでベッドから飛びおりた。

 お気に入りの、ティーシャツと短パン。そして緑色のポロシャツを着て、部屋から出る。


(あ、帽子!)


 私は部屋に急いで戻り。掛けられた緑色のキャスケット帽を取りかぶる。


「よし!完璧!」


 私はそのまま部屋を後にし。階段をかけ下りた。



 そのまま正面の玄関に向かって駆け抜ける。


「いってきまーす!」


 玄関の前でブーツを履きながら、居間に向かって言った。

 するとそこからエプロンを着た、焦げ茶色で後ろに結ばれた髪の綺麗な女の人が出てくる。お母さんだ。


「もう行くの?ごはんは?」

「大丈夫!」


 私はお母さんに向かい。親指を立てる。

 すると、お母さんが歩いてきた。


「それじゃあだらしないわ、女の子なら髪をしっかり整えないと......」


 お母さんは三日月型のくしをポケットから出すと。私の髪をとき始める。

そして手鏡を手にすると、顔を写した。

そこには、黒いロングヘアで肌の白く、碧色の瞳の私が写っている。

うん!寝ぐせは問題ない!


「ありがとう!へへっ、焦ったら忘れちゃうよ」


 と、思わず照れ笑い。


「おはよう、エリシア。そう言えば今日だったね」


 さっきお母さんが出てきたところから。若い男の声が聞こえてくる。


「おはよー、アンドリュー!」


 そこからは、涼しげな笑顔の、顔つきの整った若いお兄さんが歩いていてくる。

 あ、この人はお父さんじゃないよ。歳が離れているように見えるけど、私の立派なお兄ちゃん。名前はアンドリュー。


「最後だからしっかり、あいさつしてくるんだよ」

「うん!今日で皆とはお別れだからね!」


 そしてお母さんの髪ときがおわり、髪が崩れないように帽子をかぶると、そのまま玄関の扉を開く。そして笑顔で二人に手をふる。


「では改めて。いってきまーす!」


 そしてお家から街中へとかけだした。



 私の名前はエリシア。エリシア・クロイム。

 歳は12才になったばっかりで、成人になったばかりだ。

 あ、私たちの国では12才からすでに大人と認められ。お仕事や、お酒。ギャンブルなどは、この歳から許されているらしい。

 でも、私にはそんなことよりもやりたいことがある。

 そして、明日。そのやりたいことが実現する。




「いそげー!リィーを怒らせたら雷さまの来襲だあ!」


 私は今から友達とのお別れ会をやろうとしているのだが、思わず寝過ごして今は全力疾走だ。

 走っているついでに、私の住んでいる街も紹介しよう。



 この街はアルマティ市。

 石畳の道と、石造りの建物が並んだ、西洋風な街だ。

 ここの街の人は、よく自分の家の前などに屋根だけのテントを建ててお店を開いたり、楽器を弾いたり歌を歌ったりと、とても賑やかな街だ。

 私はこの街がとても好きだ。

 でも、明日にはこの街ともお別れしなければならない......。




「時計塔へ到着ぅー」


 さすがにずっと走るときつい......。

 私は息を整える。


「はあ......はあ......よしっ!」


 そして時計塔の脇にあるはしごをよじ登る。

 登り終えると仕切りの無い、小さな足場があり(高いところが苦手な人は来ないことをお勧めする)、その横に、塔に入る扉がある。

 ここが、私たちのアジト。秘密基地だ。



●●●



「やっほー!みなさん!今日は私のために集まってくれ......」


 言い終わる前に、誰かに掴まれた。その瞬間私の体が浮き上がる。


「うぇっ!?」


 突然のことに声を漏らすが、その瞬間背中に衝撃が走る。


「ぐはっ!?」


 まるで漫画に出てくる敵が主人公から攻撃を喰らった声を吐き出した。


「あんたね......最後の最後までマイペース過ぎるんだよ!」


 そう言ったのは、今私を投げ飛ばした、茶髪を二つに分けて結んだツインテールの女の子。リィーことリーナ、である。よく私たちを叱ってくれるお姉さん(?)みたいな女の子。


「いててて。今日はいつもより力が入っているね!」


 私はなぜかすっきりとした顔で言う。


「リィーはエリシアのことになると熱くなるからな。今日は最後の別れで寂しい分をぶつけたんだろ?」


 倒れた私の横からそう言いながら、さっぱりした薄い金色の髪の男の子が私に手を差し出す。

 この子はバン。お調子者だけどよく私たちを盛り上げてくれるムードメーカーの男の子だ。


「ありがとーバン。そうかー。リィーは私のことが大好きなんだねー」


 からかうようにリィーに言う。


「うっ...うるさい!さあ、さっさとはじめるよ!」


 リィーが仕切り直そうとする。


「話をごまかした」


 そう笑顔で呟いたのは、栗色のカールのかかった髪と、メガネをかけている女の子。私の大親友。アルプールだ。


「アル、うるさい......」


 リィーの怒り口調。

 アルプールは、私たちのなかでは静かな子なんだけど、時々リィーやバンをからかったりして楽しむ所がある。つまりは隠れエスだ。


「アルプールぅー、怒られたぁー」


 私はアルプールの膝に泣きつく。


「よしよし......リィーは怖いお姉さんだから、気をつけないとね」


 アルプールは私の頭を撫でて、たぶんリィーに何か挑発してる表情をしている。


「アールぅぅぅ!」


 リィーは怒りをあらわに、ずかずかと歩いてくるのがわかる。


「はいはい......エリシアの取り合いはそこまでにして早く送別会始めよう」


 その声で喧嘩は収まる。

 というかこういうのは日常茶飯事なんで喧嘩とは呼べないなー。

 ってどこからマルクの声が!?


 すると部屋の一ヶ所にある、のれんから身長が高めで黒い髪と整った顔の男の子(と呼ぶには大人の雰囲気を持つ)が出てくる。

 マルクだ......マルク。


「マルクぅぅぅ!」


 私は走ってマルクに近寄る。


「わたじっ!ぜっだいに忘れにゃいからあ!」


 私は顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながらマルクに言う。


「私たちとは対応がちがうな......」

「そうだ!マルク!お前だけエリシアに好かれるなんて卑怯だぞ!」


 とリィーとバンのやじが飛んでくるが、そんなことは関係ない。

 と、紹介が遅くなった。

 マルクは、クールでかっこよくて。大人っぽさのある男の子。皆からも頼りにされて、我らの大黒柱だ。


 マルクは一二歩だけ後ろに下がると、よく身に付けているネクタイを外した。


「じゃあエリシア、今日は俺の全ての姿を目に焼き付けてから帰っていきなよ」


 するとマルクが服を脱ぎ始めた。


「「「きゃあああああ!」」」


 その姿に私たち女子一同は悲鳴。

 まあ、アルプールは恥ずかしさで、リィーは焦り。そして私は喜びと、それぞれの感情が混ざった悲鳴だけどね。

 そして下を脱ぎ始めようとしていたが、バンに止められた。少し残念......。

 まあ、マルクの悪いところは変態ってところかな。


 以上が私のとても仲の良い仲間たちである。



 そして、私たちが今日この日に集まってきたのは、今日この日を期に大人になってそれぞれの道を歩むための送別会である。


 リィーはお家のパン屋さん。

 バンは大工さん。

 アルプールは大学(この国では12歳から入学できる)に行って、将来は考古学者を目指しているらしい。

 そしてマルクはなんと、父親が持っている大企業を受け継ぐらしい。つまりは社長になるってことだ。さすがだぞマルクぅ!と喜んじゃったり......。

 まあそんな感じで皆やりたいことが決まっている。



「でも、エリシアとはしばらくは会えないね......」

 アルプールが少し寂しさを込めた声で言う。


「そうだな。世界を回るんだろ?それじゃあしばらく会えないな」

 とバンも言う。




 そう。私はこの街から出て、世界各地を回る。つまり旅に出るのだ。そして様々な文化に触れる。

 一体世界にはどんなものがあるのか。それは楽しいことなのか、それとも危ないことなのか。そんなドキドキ感を感じることが旅の醍醐味だ。と私の兄のアンドリューが言った。

 それを聞いて私は行くことを決めたのだ。



「でも大丈夫!私たちはいつでも繋がっているよ!」


 私は部屋の隅に行き。そこに立ててある木の板をどかした。

 すると、そこには綺麗な白い花が咲いていた。


「アジュブランカ。白い天使の羽に似た、アルマティ市で一番美しいと呼ばれた花。」

 マルクが呟く。


「うん。そしてその花の花言葉は、絆。」


 私はその花を一輪だけ摘むと。テーブルにある花瓶に差した。


「また、会おうね......皆で」


 私は皆に呟いた。


「う、うん......」

「おう!」

「うん!」

 とマルク以外が言うと、花瓶の回りに立ち。それぞれ手を花の上に出す。


「ああ、皆で。また......」


 そしてマルクも最後に差し出した。

 その後にリィーが堪えていた寂しさが崩れて、大泣きしたことは、皆での内緒である。



 これが私たちの旅立ちの始まりである。



 ●アンドリューside●



 僕はアンドリュー・クロイム。

 僕は今日の用事を済ませる為に、町外れの道を歩いている。

 目の前に広がる草原。人一人もいない穏やかさ。そして人が歩けるように舗装された道。

 それは心を癒される光景だと思う。少なくとも僕の心は癒されています。

 そして歩く先に、石碑のようなものがたくさん並んでいるのが見える。

 あれはこの国のお墓だ。


「久しぶりですね。ここに来るのも」


 そういいながら僕はある石碑の前に着いた。

 その石碑には。エルダ・アルエ。シンシア・アルエ。と人の名前が彫られている、


「エルダおじさん。明日から旅立ちです。エリシアも無事、元気に育ち。今ではとても強い、立派な僕の妹です。どうか僕たちの旅を見守っててください」


 そして持っていた水筒を墓石の上で傾けて洗い始める。


●●●


 少しだけ僕の妹を紹介したいと思います。

 突然で驚くと思いますが。僕の妹のエリシアは、本当の妹ではない。血が繋がってない兄妹なのだ。

 今から十二年前くらいに、エリシアの両親は、エリシアが産まれた後にすぐ、飛行機事故にあい。還らぬ人になった......。

 それから、エリシアの父親の友人であった、僕の父がエリシアの育て親となった。

 今はもう、その事についてエリシアは知っている。

 それでも今のエリシアは元気に笑って過ごしている。



 しかし、そんなエリシアも最初両親の死を知ったときはすごく精神的に不安定だった。

 それもそうだ。親がいないことが平気でいられる子供なんてあまりいないのだから。

 それからエリシアは気づけばいつも泣いていた。あまりお喋りもしなくなった。今思えばこのときのエリシアは、僕たちに対して疑心暗鬼になっていたのかもかもしれない。

 そんな日々が続き、エリシアはとうとう家から出ていった。それから友達の家にしばらく居座っていたのだ。

 あの頃の僕たち家族は、まるで雲が常にかかったかのように、暗かった。

 だけど、何日か経って。エリシアは突然。いつも通りの穏やかな顔で帰ってきたのだった。

 その時のエリシアは、何があったのか語らなかった。

 それでも僕にはわかる。エリシアが誰よりも愛し。エリシアを誰よりも愛した少年。

 僕は彼のことを正直苦手だと感じた。なにかを見透かされているような賢さと、真実にまっすぐな心意気。それが僕の苦手な性格だと言える

 でも、そんな彼だから。エリシアを救えたのだと、僕は感じたのだ。




「そう言えばあの時からでしたね。僕の父と母がエリシアと真剣に向き合ったのは......それから僕もエリシアとよく話すようにもなった。本当に彼には感謝ですね」


 僕は墓石を洗いながら色々昔のことを思い出しては、思い出に浸っていた......。




 そして洗いおわり。帰る準備を始めた。

 その時、風がゆっくりと大地を撫でるように流れて、温かい風が草花を揺らしていく。


「おじさん。おばさん。今日もアジュブランカの花の香りがすばらしいですよ」


 僕は、今はもうこの世にいない二人に話しかけた。


「それではいってきます。今度来るときはエリシアも一緒に......」



 そして、僕はお墓を後にした。


●●●


 しばらく歩くと、商店街に着いた。

 この先に僕の自宅がある。


「お、アンドリュー君。明日から旅立つんだって?」

「はい、明日からです」


 よく使わせてもらっている肉屋の女房に声を掛けられる。


「エリシアちゃんに、前はお手伝いありがとうって言っといてね」

「はい、わかりました」

 そういいながら少し歩くと。


「よう!エリシアちゃんにもし帰ってきたら、また旨いの食わせるからなっていってくれ」

「エリシアちゃんによろしくね」

「お兄さん、エリシアをお願いよ」

 と、商店街の皆はエリシアへの伝言を任せてくる。


 それを僕は会釈で返していった。


(まったく、人気者な妹を持つと苦労しますね......)

 と思いつつ喜んでいたりする。



 エリシアはよく商店街の人達と話したり、手伝ったりと、コミュニケーションの幅が広い。

 おかげであまり目立ちたくない僕も目立ってしまうから困るのだが。まあ、慣れたら楽しいものです。



 すると突然。女性の悲鳴が聞こえた。

 そこに目を向けると、若い女性が倒れていた。


「ね、ねえ。どうしたの!?ど、どっか痛めたの?......あ、えっと......ど、どうしたら......」


 倒れている女性の横で、友達らしき女性が戸惑いながら、倒れている女性の背中を撫でる。

 僕はそのまま突き動かされるように、女性の所に走った。


「落ち着いて。貴女は医者を呼んできてください」


 と戸惑っている女性に言いながら、僕は倒れている女性の意識や体調を確かめる。


「どこかこの人の休めるところはありませんか?」


 と、街の人たちに声をかける。


「あ、ああこっちだ!」


 すると目の前にあった駄菓子屋の店主が屋内へ案内してくれた。



 僕は女性を、店主に案内されたところに寝かせて。さっき医者を呼びにいった女性を待つ。

 そしてすぐに、女性は店の前から歩いてきた。


「あ、あのー。今から十分ほどで来るみたいです」

「そうですか。彼女はどうやら貧血をおこして倒れたみたいですね。とりあえずお医者さんが来るまでは安静にさせてください。あと身体をしっかり暖めるようにしてください」


 そう言うとそのままお店から出ていく。

 すると民衆から拍手が送られた。


「さすが医者のせがれだ!」

「アンドリュー君カッコいいよ」

「旅する医者二号の誕生だ!」

 と、送られた歓声に戸惑いながら、僕は自宅に向かう。


(やっぱり慣れませんね......僕はなにもしてないのですが)

 と、ため息を着きながら歩く。その間も皆の僕への歓声は止まらない。


●●●


 ちなみになぜ、旅する医者やら医者のせがれなどと言われているのか。

 それは自分の父が医者であり、旅人だからだ。

 医者や医療施設の不足した地域や国への助っ人をやったり、各国の医療知識を学んだりと。父は世界各地で活躍している。

 僕もその憧れから、医療を主に、歴史や文化、宗教、科学など、あらゆる面の知識を学んでいるのだ。と同時に、旅のなかで危険なことに遭遇した場合の護身術(かなり本格的な)や、逃走するために使う体力なども鍛えている。

 明日からの旅で、それらの身に付けていったことが役にたってくれれば幸いですね。


●●●


「ふう、とりあえず静かになりました」

 商店街を抜けると、静かな雰囲気の、住宅と小さな屋台の続く道に出る。


(さて、早く帰って準備を整えなくては。いざ明日になると大変だ)

 そう思いながら僕は、家に続く道を歩いていった......。



 ●ハイネside●



 私はある男に連れられ。白い高級車に乗っている。


「いやあ、君の実力は聞いてるよ!君たちの中で二番目に強いんだって?いやあ私も君たちにはお世話になっているよー!」


 目の前で喋る男。金色のネックレスやらネクタイやらで着飾った。いかにも金にしか目にいかない、腐った男。

 でも、例えそんな男でも私は守らなければならない。それは、仕事として引き受けたからだ。



 私はハイネ・アルネック。

 今日から一週間、この男の護衛をする任務をしている。

 理由に関しては話が長くなるから、とにかく仕事。と言っておく。



「さて、話の本題だ」


 男は車のシートから、数枚の写真を取り出す。


「明日は要人と会う約束をしている。といってもまだ若いやつだがな。だいたい君と二つくらい上かな......」


(二つ上......だいたい十八才か)

 聞きながらふとそう思った。


「どうやら彼は、私の宝物である『プリエルクロック』に興味があるらしいのだが、これには何でも願いを叶える。特別な力があるんだ」


 私は一瞬表情が怯んだ。特別な力という馬鹿げたことを言われると思わなかったからだ。しかし、男は続ける。


「しかし、その力はある人間でしか使うことができない。しかも話では、その使うことのできる者が、幼い少女であると言われている......」



 そのあと色々と、そのプリなんとか......というものについて語られたが、私は興味なさげに聞く。ここまでは......。


「そしてその要人は、どうやら幼い妹がいて、その妹とここに来るらしい」


 嫌な予感を感じた。


「わざわざこの時計を求めに来た要人が連れた幼い少女。私は彼女こそ、時計を唯一扱える人物だと考えるよ」


 私は思わず呆れた。

 そんな迷信のような話をうのみにして、なおかつ。幼い少女を巻き込む。


(金持ちの奴はわからんな......)

 そう思っているときに、男が少女の写った写真を私に見せる。


「それで、私はどうしろと?」


 とりあえず男の言いたいことを聞き出す。


「彼女を捕まえてほしい。もちろん生け捕りでだ......」

「ちっ!」


 私はそれを聞いて思わず、持っている銃を男の顔面に向ける。


「ひぃっ!まっ待って!追加料金なら払う。金ならいくらでもやる!」


 男は恐怖を感じて、冷や汗を出しながら顔を青白くさせる。

 その男の焦りと怖じ気っぷりに私の殺意が消えた。

そしてため息をしながら深呼吸をついて落ち着く。


「わかった。しかし、追加任務の成功は保証しかねる。追加料金は成功後に頼む」

「あ、ああ。わかった......」


 男はそれっきりデカい態度はしなくなる。



 私は再び写真と一緒に付いているメモを確認した。


(歳は十二才......私よりも四つ下。もしもこの子が、その時計とやらの力を使えたら......私と同じように。彼女はきっと悲しい人生を贈るのかもしれない)


 私は端末を閉じる。


(でも、私には関係ない。ただ私は任務をこなしていくだけなのだから......だから、お気の毒だが、お前を捕まえる......)


 私は写真に写った少女の名前を頭に浮かべた。




「エリシア・クロイム......悪いが、お前を捕まえる......」





文章力が弱いなりに頑張りました。とりあえず更新続けられるように頑張ります!

ありがとうございました!

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