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『灰色ウィング』

少女が夢見た世界は孤独で

全てが壊れた後だった

無音に囲まれた箱庭で

少女は独り、謌を奏でる



此処には他にヒトは居ない

少女は永い時間を過ごした

変わらぬ容姿とその歌声は

孤高の空へと響いていた


明日には誰かが来るかと

見えない世界に期待を持った

きっと見つけてくれるだろう

まだ来ぬヒトへ想いを馳せて…



生まれた時から空は灰色

鳥も蝶も見たことない

独りは寂しいものだなんて

一度も感じた事は無い



時の旅人は足を踏み入れた

微かに聴こえる哀しい歌声

綺麗な声に惹かれて進んだ

出逢ってしまった二人の奇蹟


音が止んで君は振り向いた

驚いた表情で僕を見てたね

君に危害は加えない

此処で休んでもいいですか?



初めて出来たお友だち

これから仲良くして下さい

仰せのままに、お嬢様

時間が止まればいいと願った



二人はすぐに意気投合

互いを知って笑い合った

こんなに話したのは初めてで

素直な感情が溢れでてくる


時折見せる哀しげな微笑

少女は彼に寄り添った

彼は優しく少女を抱きしめ

二人同じ月を眺めてた



誰にも干渉されない世界

ずっと二人で此処に居ようよ…

少女は小さく囁いた

彼の答え聞けずに終わった



少女と過ごしてどれくらい

時が経つのは早いものだ

彼は1つの疑問に気付いた

どうして君は変わらないんだ?


ヒトと言うものを知らない少女

彼の問いに首を傾げる

何でそんな事を言うのです?

少女の声は震えてた



生まれた意味さえ持たない命

存在理由を探す事さえ出来ず

少女は頭を抱えて拒み始めた

目覚めた意識は彼へと向けられ…




「君は一体何者なんだ?」

怯える旅人、剣を取り出す

黒煙放つ少女の躯

その手にもう触れられない




彼の叫びが世界に響いた

銀に輝く剣は彼女を

滴る紅の雫に染まる腕

世界に亀裂が入ってしまった




崩壊し終えた小さな世界

絶えた少年を抱える少女

悪意なんて無かったのに…

謝る事さえ叶わない




こんな世界で独りぼっち

希望も夢も見なかった

ただ、彼が教えてくれた

「好き」になる優しい想い



其れだけを糧に生きていくから…


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