『ヒーローのいない世界』
どんな言葉で支えたら良いのか
それさえ解らなくて、遠い空を想う
今、彼らは何をその目に映しているのか
その残像さえ、想像も出来なくて……
無責任な言葉で励ますのはお門違い
流した涙は声にならずに消えていく
伸ばそうとした手の先に掴めたものは……
何も出来ない無力さだけが支配した
誰も予期しなかった悪夢の末に
灰にまみれた静かな世界
小さな瞳に宿したものは……
嗚呼…儚くも掴めなくて…
「頑張って」
そんな言葉が欲しいんじゃない
失われた生命に失礼だ
もう何も、この耳には届かない…
テレビの中でお偉いさんが述べている
紙に書かれた事項を淡々と
動くのは自分達ではないクセに
「ご無事を祈ります」とか戯れ言だ
何も知ろうとしないくせに
ただ人々を動かすだけの情報機関
欲しいのはそんな難しい言葉じゃない
たった一匙の温かいスープ
早く過ぎよと時間を見つめる
寒く冷たい夜空の下で
明日が来るのを願ってる
その一秒がとても長い
「頑張れ」なんて他人任せの言葉
言われた方より言った自分が満足してる
本当はどこかで思ってるんだ
「自分じゃなくて良かった」と……
遠く離れた僕たちが
直接その肩を支える事は出来ないけれど
目を背ける事だけはしたくない
これは他人事ではなく、これからの事だから
忘れてはいけない
あの日のことも今日のことも
この悪夢を忘れてはならない
それが生きる為に必要なこと
今もずっと誰かの安否を祈ってる
どうか、生きていて欲しいと……
その願いは変わらずに今もずっと……
最後に取り戻したいのは誰だって……
「出来る何かをこの手にちゃんと……」




