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『white letter』

決してキミに届かない手紙を


あたしは今でも書き続けている・・・






大人になったあたしの隣に


キミだけいないと痛感する日々


あの日から月日は随分流れた


其でも記憶はキミで満ちてる




いつもあたしの側にいたキミ


二人で星を見に行った帰り


「ずっと一緒にいれたらいいね」


キミは照れたように微笑んだ




あたしを守ると誓った夜空


手に取るように掴んだ星々


二人の時間がいつまでも


そんな想いが溢れていたんだ




桜の季節にキミと出逢った


「こんにちは」って声を掛けたら


慌てて笑顔を見せたキミ


その表情(かお)今でも憶えてる




強くて優しいキミに惹かれた


想いを重ねていく内に


全てが優しい時間になった


あたしの一番好きなモノ




何でも与えてくれたキミ


「まるでヒーローみたいだね」


「ずっとあなたの側にいますよ」


二人の誓いは永遠(とわ)なるものに




全てがあたしの我儘だった


勝手な都合で困らせて


悪に染めたのはあたしの所為


キミの想いを頼ってしまった




「ごめんね」としか言えなくて


泣いて崩れるあたしの肩を


キミは優しく支えてくれて


「ボクの所為にすればいい」




囁きながらナイフを取った――




紅い世界の真ん中で


キミは静かに笑ってた


落ちてるガラクタ踏み潰しながら


「もう心配いらないよ」って


優しい表情(かお)であたしを見てた




世界に穴が開いたみたいに


空虚な気持ちが浮遊していた


これで良かったはずなのに


沸き出た違和感止まらない




全て終ったはずだったのに


ラストのピースがはまらない


形はピッタリ合っているのに


どうして上手く出来ないの――?




悪に染まった正義者(ヒーロー)なんて


何の種にもなりはしない


所詮は全部戯れ言だった


キミは自分にも罰を与えた




二度と飛べない そんな脚では


もう掴めない紅い両腕


あたしの事さえ見えなくなった


其がキミの描いた夢




全部あたしの為だと言った


約束したから守るんだって


嬉しかったよそれはとっても


なのに素直に喜べない




結果的にはキミを利用した


自分の手では何にも出来ない


「二人で一緒に逃げようよ・・・」


最後の時まで頼ってばかり




キミは笑ってこう言った


「少しは役に立てたかな?」






こんなラストは望んじゃいない


キミまでいなくなるなんて


そんなつもりで言ったんじゃない


今度こそは大丈夫って信じてた




だから全てを託してしまった


これはあたしが撒いた毒


キミとの想い出大切だった


あたしも大好きだったよ・・・




いつかこの手紙をキミに出すよ


伝えきれない想いを記して






そしてあたしがキミの元に辿り着けたら


ぎゅって抱きしめてまた囁いて




「大好きだよ」って。




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