『ヒーロー・アゲイン』
「もし、この世界にヒーローがいたら、世界はもっと美しかった」
仲間がいる事に満足していた。
それまでずっと独りで、味方もいなくて、
誰にも愛されてないと思っていた。
あの日、彼らに逢って同じ領域に迎えてくれて、
「仲間だよ」って言ってくれた事、忘れない。
彼らは僕の夢を笑わなかった。
その夢を叶える為に色々な事を教えてくれた。
——嬉かった。
振り返れば仲間がいてくれる事。
みんなといる空間が大好きだった。
思いっきり笑えたし、前を向いて歩けるようになった。
変わっていく自分に自信が味方した。
彼女と同じラインの上に立ちたい。
手を伸ばせば届くのに、僕はその手を隠した。
目指すものは同じなのに、彼女はどんどん先へ行く。
格好良いと思った。
スゴいと思った。
抱いた憧れは大きくなっていく。
いつか一緒に同じ舞台に立って、
沢山の拍手を浴びて、
泣きながら抱き合いたい。
頑張ったって褒めて欲しい。
よくやったねって褒めて欲しい。
僕は、夢見る事が得意なんだ。
いつかって思ってる瞬間から、
その想いは叶わない。
どんなに理想主義だって、
現実を打ち負かさなきゃ意味がない。
本当は、見返したい気持ちがあったんだ。
多くの人は「ダメだ」って彼らを批判した。
何も知らないクセに。
彼らに会った事もないクセに。
世間の当たり前だけを肯定して、
何も知らないクセに批判した。
許せないと思った。
顔も知らないクセに、
小さな知識だけで除外するなんて。
だから、僕はそんな奴らを見返したいと思った。
誰だって自分の仲間を非難されたら嫌だろう?
僕は嫌だ。
こんな僕にも笑顔を向けてくれた。
「此処にいていいんだよ」って、
手を差し出してくれた。
一度感じた嬉しさはずっと忘れない。
たとえ、この身が朽ち果てようとも。
僕の為でもあるけれど、
一番は彼女に喜んで貰う為。
その為なら頑張れるんだ。
幾らかの犠牲が出ても惜しまない。
傷付かないって決めたんだ。
嫌われたっていい。
また前を向けば違う道が見えるから。
そんな事で嫌うような相手なら、要らない。
其までの関係だったんだって開き直るよ。
彼女はさ、僕にとってのヒーローなんだ。
死のうと思っていた僕に笑ってくれた。
楽しい世界に誘ってくれた。
僕は決して彼女を裏切らない。
最後の最後まで味方でいると誓ったから。
一緒に夢を叶えるんだ。
そして、君の物語を書かせてね。
彼女が見てきた世界を僕が皆に伝えたい。
同じものが見えた時、きっと世界は美しい。
だから——
立ち上がって剣を取ろう。
世界の不満を打ち砕こう。
肩を並べて君と戦えること、
僕は誇りに思うよ。