置き去りの想い出 ~捨て去り探偵事務所記録~
あそこを出てから、それが見えるようになった士郎。それは、ただ、そこにあるだけで、まるで置き去りにされているようだった。それが何なのかは、士郎にはまったく分からなかった。けど、それが他人には見えていない事を知ると、士郎も他人と同じように、それが見えない振りを続けた。だが、士郎はある時に見つけてしまう。それが……赤よりも赤い……紅のそれを。過去の記憶を蘇らせながら、それに近づく士郎。そんな時だった。凛とした声が士郎を止める。これが士郎と福寿の出会いであり、士郎が人生に大きな決断をさせる切っ掛けとなった。過去に紅の想い出を持つ士郎と捨て去り探偵事務所を営み、本名を捨てた少女、福寿。そんな二人が他人には絶対に出来ない視点で依頼を遂行して行く。これは、そんな捨て去り探偵事務所の記録である。あなたは……人の醜態を目にし、人の醜言を耳にする覚悟はありますか?