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7話 信じる男

 

「お兄ちゃん、今日はなにするの?」


「依頼された写真の確認だ。」


「美羽ちゃん、ジュースなにがいい?

修二くんは、コーヒーでいいよね?」


「リンゴジュースがいい!」


「はーい。」


「なぁ由美子さん……」


「なに?修二くん」


「なんで、俺の冷蔵庫に勝手にジュースやお茶を入れてるんだ?」


「だって、いろんな人がここに来るだろうし、美羽ちゃんも来るようになるから、置いておいた方がいいかなって!」


「はぁ、もう勝手にしてくれ……」



――油断していた。


そう自覚するには、ずっと後のことになる……


ピンポーン!


「はーい」


ドアを開けるとそこには弱々しい男が立っていた。


「俺は浩一と言います……

今日はお願いがあってきました。」


「……とりあえず、話を聞きましょう。

さぁ席に着いてください。」


「……あのー……」

浩一は由美子と美羽に見をやる


「もしかして、話しづらいですか?


由美子さん、浩一さんが話しづらいそうだから、美羽ちゃんとしばらく席を外してくれ。」


「そう、わかった。

終わったら連絡して、行こう美羽ちゃん」


「えー私も聞きたい!」


「ダメだ、美羽ちゃん

申し訳ないけど、しばらく出ていってくれないか。」


「ぶー」


「はは、美羽ちゃん行こうか……」


部屋から出る2人を見送った……


「すみません、お騒がせしました。」


「いえ、こちらこそ、すみません。」


「それで、話とは?」


「はい、その…

娘を生き返らせて欲しいんです。


朝になると、毎日朝食を用意してくれて、

寝ている俺を必ず起こしに来た。


それが…ある日いなくなったんだ……


もう一度…一瞬でもいい!

声を…聞かせてほしい……


俺は!それだけなんです……」


「……」


「申し訳ないですが、俺には何もできません。

死んだ人は、生き返らない」


「……」


「なら、なんで心霊なんてものを研究しているんだ。

絶対に何か知っているはずだ……

この大量の資料とノートはなんなんだよ!」


あなたは何か知っている!いや、知ってるはずだ!

教えてくれるだけでいいんです!それだけで!俺は……」


「浩一さん……もう一度言います。

俺には何もできません……

すみませんが、お帰りください……」


「……わかり…ました。

すみませんでした。失礼します……」


浩一は部屋を後にした。

だが、その目には、何か確信めいたものが宿っているように見えた……


「はぁ、ああいったことを断るのは骨が折れる……

少し歩くか……」


ーー


「あれ?修二くん、終わったの?」


「ああ、今は散歩している。

2人とも一緒に来るか?」


「んーどうする?美羽ちゃん。」


「早く事務所に戻りたい!」


「……だって、修二くん

私たちは先に戻ってるよ。」


「そうか、そうだ

今カギを閉めてるから、はい。」


「修二くん……ありがとう!

2人で待ってるね!」


「お兄ちゃんまたねぇ!」


「ああ、」


この行動が、後の事件につながるとも知らずに。



ーー事務所


パリン!


「これ…犯罪だよな……

でも、あいつは何かを隠してるいるんだ。」


部屋にある資料を読み漁る……


「はぁはぁ、これで……娘が生き返る……」



「由美子お姉ちゃん、今度勉強を教えてよ!」


「うん、いいよ

でも、私にできるかなぁ?」


「出来るよ!だって大学生だもん!」


カチャ


「……

あの……いったい…なにしてるんですか……」


「……おじさん…」


「はぁ、なんでいるんだよ……

女達だけなら……」


「ちょっと、なにしてるんですか!

来ないで!キャー!!」


ーー数分後


「由美子さんにカギ渡してしまったな……

今度予備のカギを渡してやろうかな…」


ガチャ


「……おい……これ、どういう……」


浩一の目が……脳裏をよぎった。


「由美子さん、由美子さん起きろ!

なにがあった!教えろ!」


「うぅ……

!!

修二くん、おじさん……警察を呼んで!

美羽ちゃんが!」



――浩一宅


娘の灯が戻るならなんでもする……

いや、やるんだ!


「灯、聞いているんだろう?

聞いているなら答えてくれ……

早く、お父さんに姿を見せてくれ。頼むから……」


「んー!んー!」

なんでおじさんは壁に話してるの……

由美子お姉ちゃんは大丈夫なのかな……


助けて……お兄ちゃん……お母さん!



ーー数分後


「はぁはぁ、美羽ちゃん……」


俺の責任だ……

あの子に何かある前に見つけなくては!


「はぁはぁ、どこいるんだ、浩一さん……」


「可哀想よね…娘さんが亡くなるなんて……」


「親御さん……浩一さんでしたっけ?」


「すみません!その話詳しく!」


ーー浩一宅


「灯、聞こえてるんだろ……

戻ってきてくれよ、なぁ灯……」


「んー!んー……」

このおじさん……目が怖いし…なにいってるの?

怖い……怖い……怖い怖い……


パリーン!


「浩一さん!

美羽ちゃんから離れてくれ……」


「!!」


「大丈夫だったか、美羽ちゃん」


「うわーん!お兄ちゃん……」



「……お前らは……いつもいつも……

娘を奪うだけでは飽き足らず、再会の機会すら奪うのかーー!」


「ゔっ…!」


左腕が……熱い!


「……浩一さん!あなたは、おかしくなってる!

冷静になれ!」


「俺は冷静だ!

それに、お前はなぜ影を黙っていた!

使えば、娘は生き返るって知っていたんじゃないのか!?」


「あれは……そんなに万能なものじゃない!

人が踏み入れてはいけない領域なんだ!」


「そんなの、信じられるか!

邪魔するなら……死ねぇー!!」


左腕に突き刺さった、ガラスを引き抜き、再び振り下ろした!


バン!


「ゔっ!」


「午後2時14分犯人を取り押さえます。」

警察が浩一を取り押さえ、手錠をかける。


「おい、離せ!

娘のときはなにもしてくれなかったくせに!

なんで!俺の邪魔ばかりするんだ!」


「はぁはぁ、よか……た…」


バタ…


「まずい!救急車を呼んでください!」



ーー


どこか見覚えのある天井……


「どこだ……ここ……」


なんか…左腕が……


「……起きた!心配したんだよ…修二くん…」


「……心配かけて悪かったな。

由美子さん……美羽ちゃんは、大丈夫だったのか?」


「うん、キミのおかげで無傷だって……

あ!目が覚めたら呼んでって言われてたんだった。」


――診察室


「修二くん……落ち着いて聞いてほしい


キミの左手だが、神経を傷つけている……だけど……運が良かったね。

しばらくは不自由なるだろうけど、リハビリ次第で回復は見込める。


傷の位置的に動かなくなってもおかしくなかったんだよ。」


「……」


「そんな……修二くん……」


「由美子さん、大丈夫だよ…

それだけ聞けたら十分です。」


この傷だ。

何事もなくなんて、思わなかった……

だが、今はこの傷が、どこか誇らしかった。


診察が終わり、病室に戻る。


「由美子さん、すみません、今度ノートを持ってきてくれませんか?」


「はぁ……どうせ修二くんなら、そう言うと思って持ってきたよ。

はい、修二くん。」


「ありがとうございます……!?」


パタ…


「……これは確かに、しばらく不便だな…」


「はい、修二くん。

その…頑張ってね…」


「はい、ありがとうございます。

由美子さん、お願いあるんですけど、」


「ん?どうしたの?修二くんが珍しいね」


「由美子さんは助手って、興味ある?」


影は確かに恐ろしい。

だが、一番恐ろしいのは、人の思い込みなのかもしれない……


そう書き残し、

俺はノートを閉じた。


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