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第一章 第八話 複数の敵とこれから

階段の向こう、第三層はやけに静かだった。


壁面の色合いはこれまでと似ていたが、そこかしこに粘性の高い水が滴っており、床の滑りやすさに不安を覚える。


「……足元、悪いね。滑らないように注意しよっか」


愛華が光の球を放ち、周囲を照らす。新は魔眼を起動し、目を細めて前方の動きに意識を集中した。


すぐ先の分岐。その先に、またあの“鼓動”があった。


「前にスライム。さっきまでと同じ……いや、少し、速い?」





“それ”は、見えた瞬間に天井へ跳び上がった。


「上っ!?」


新の叫びとともに、跳躍スライムが真上から奇襲を仕掛けてくる。


「フラッシュ!」


愛華の目くらましが間に合い、スライムは硬直したが、それでも真下に落ちてくる重量は予想以上だった。


「ぐっ……!」


腕で受けた衝撃に新がよろめき、ナイフを取りこぼす。慌てて体を転がしながら回収すると、愛華がスライムにホーミングドットを数発連射。


「今っ、新!」


「うおおおっ!」


新は体勢を立て直し、スライムの腹部にナイフを突き刺す。ぶよぶよとした体がびくりと痙攣し、そのまま崩れ落ちた。



---


> 【跳躍スライム討伐】 【ポイント +11】





---


「……今の、やばかったね」


「うん……上も見ないと、危ないな……」


言葉を交わす余裕が戻ったものの、二人の顔はいつになく真剣だった。







休息を挟まず次の部屋へ踏み込んだ瞬間、二人の視界に飛び込んできたのは──


「二体! ゴブリン!」


片方が前衛、もう片方が後衛に位置取り、互いにタイミングを合わせたように攻撃を仕掛けてくる。


「前、俺が行く! 愛華、援護!」


「任せて!」


新は前方のゴブリンと剣戟を交えながら、後衛の動きを魔眼で確認。

愛華のホーミングドットがタイミングよく飛び、後方のゴブリンが体勢を崩したその隙を逃さず、新が一気に踏み込む。


「二対一なんて……数で押されると、こんなにきついのか……!」


「フラッシュ!」


再びの閃光でゴブリンの視界を奪い、二人はすぐさま詰めにかかる。連携のタイミングは完璧だった。



---


> 【ゴブリン×2 討伐】 【合計ポイント +16】





---


ゼェ、ゼェと息をつきながら、二人は壁に背を預けて腰を下ろす。


「俺、まだ全然、動きが甘いな……ナイフの持ち方すら怪しい」


「わたしも……ただ撃ってるだけじゃ、間に合わない時あるって思った」


今までは、なんとなくの連携とタイミングだけで乗り越えてきた。

けれど、ここから先は、それだけじゃ生き残れない。


「……ちゃんと戦い方、考えよう」


新の言葉に、愛華がコクンと頷いた。

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