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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

俺は詐欺師じゃない。魔技師だ


 深夜、俺の住む町に盗賊達が攻めてきたから盗賊退治のために略奪をしている盗賊達に俺の首なし騎士デュラハンで攻撃をしていくと盗賊達の纏め役みたいなのが出てきた


「おいおい、デュラハンがいるなんて聞いてねぇぞ。まぁいい。丁度聖職者くずれの司祭を仲間にしたんだ。ターンアンデッドで一発だろう。おい!司祭!あいつにターンアンデッドだ」


「はいはいっと。言われなくても、もう準備出来てますよ。いきます。『ターンアンデッド』」


「おい!デュラハンが消滅しないじゃないか!ターンアンデッドを失敗しやがって!もう一回だ!」


「そんな筈はない!こんなのはおかしい!ターンアンデッドは失敗なんてしない!あのデュラハンが異常種なんだ!」


「つべこべ言ってないでターンアンデッドだ!早くしないとあのデュラハンがここまで来ちまう」


「あぁくそ!今のが効かないなら何度やってもムダになりそうなんですがねぇ、ターンアンデッドの準備が必要なので、聖水を掛けて時間を稼いでください」


「あぁ!?めんどくせー!墓地ダンジョンの攻略じゃねえんだぞ!聖水なんてねぇぞ」


「私のこれを使え!」


「先に出しとけよ!おい!ヤロウ共!この聖水をヤツに掛けろ!」


「お頭!聖水掛けたが何も変わらねえ!」


「あぁ!?おい!司祭!変わらねえってよ!ただの水じゃねぇのか」


「そんな筈は…とりあえず準備は出来ました!…これで消滅しないアンデッドなんて聞いたことないんですが…いきます!『ターンアンデッド』」


「おい!なんでデュラハンがターンアンデッドの中を平然と動いてんだよ!」


「だから異常種なんですって!もう逃げないと!」


「しょうがねぇ退くぞ」


 俺のデュラハンの攻撃を見て諦めたのか、まだ元気な盗賊達は略奪をやめて逃げていく。


 倒した盗賊達は憲兵隊に任せるか。


 しばらくすると俺のデュラハンを整備していた所に憲兵隊の隊長がやってきた


「また世話になったな。しっかしターンアンデッドが効かないデュラハンがいるなんてさっきのやつらもビックリだよな」

   

「いつも言ってるじゃないですか

ゴーレムですよ?ターンアンデッドが効くわけないじゃないですか」


「コレだから。デュラハンの姿して動くゴーレムなんて詐欺師じゃないか。」


「俺は詐欺師じゃない。魔技師だ。」



 憲兵隊の皆さんと一応盗賊達の残りがいないか巡回ついでに町の外れにある俺の魔技師としての店まで来てもらった。店が荒されてないか心配だったのだ


 そしたら店の前で盗賊と思われる男達とガーゴイルが戦闘をしていた。


「すみません。あの盗賊達の捕縛をおねがいします。」


「了解だ」


 憲兵さん達が盗賊達を捕縛しようとしたら男達が


「いい所に来た!このガーゴイルを退治するのを手伝ってくれ!ガーゴイルのくせにやたらと硬いんだ」


   ・・

そりゃ俺の『ガーゴイル』は硬くしてるからね。


「おい!なんで俺らを捕まえるんだ!ガーゴイルがいるのが分からないのか」


「俺の店に無許可で入ろうとしたから捕縛してもらうんだよ」


「は?なんでお前にそんな事が分かるんだよ」


「俺の店に無許可で入ろうとしたらこの『ガーゴイル』が攻撃するようにしてあるからさ。実際に今は何もしてこないだろ?」


「何を言ってるんだ?ガーゴイルだろ?魔物だろ?」


「あ?俺の『ガーゴイル』はゴーレムだぞ?魔物じゃない」


「はぁ?ゴーレム?どう見ても魔物のガーゴイルだろ?これでゴーレムだなんて詐欺じゃないか」


「俺は詐欺師じゃねぇ。魔技師だ。」


「納得できないかもだが諦めろ。コイツはこんなんだ。んで、大人しく憲兵隊所まで来るんだ」


〜〜〜


「しっかしよぉゴーレムにしても、このガーゴイルはストーンゴーレムだろ?さっき見てたがなんで硬いんだ」


「あれ?言って無かったか?俺の『ガーゴイル』はタングステンカーバイドゴーレムだよ?」


「はぁ?タングス?…まぁいいか。どう見てもストーンゴーレムにしか見えないんだけどな」


「そのようにしたからな。バッチリだろ」


「この見た目でストーンゴーレムじゃないとか詐欺だろ」


「さっきから言ってるじゃないか。俺は詐欺師じゃない。魔技師だ。」


〜〜〜


 さてさて、逃げた盗賊達が報復しにまた来そう。略奪に来て失敗したから報復ってなんか違う気がするけど、まぁ関係ないか。


 来るならどうしても防衛が薄くなる深夜だよなぁ。ちょっと小細工でもしとくか。前回と同じ経路でくるかな?同じだと楽でいいんだけど。


◆◆◆


 数日後の深夜。


 ──やっぱり来たか。盗賊共。


 今回は前よりも人数を増やして、装備も明らかに強化されている。どうやら前回の失敗を、本気で取り返しに来たようだ。


 ……というか、報復の方が主目的っぽいのがまた面倒くさい。


 予想通り、月明かりのない夜。連中が闇に紛れて町に近づくのを確認した俺は、門の陰に移動しながら小さく笑った。


 ──ようこそおいでませ、罠の中へ。なんてな。


 


「おい! なんでバレてるんだよ!? ちゃんと賄賂で情報操作してたんじゃなかったのかよ!」


 盗賊の列の中から、焦った声が上がる。向こうもそれなりに準備してきたらしいが、残念だったな。


 こちらは数日前から、町の周囲に探知用の小型ゴーレムを網のように配置済み。あいつらが一歩でも踏み込めば、俺に全部通知されるようになってる。


 今回来なかったら無駄手間だったが……まぁ、これで元は取れた。


 


「バレてるなら仕方ねぇ! デュラハンがいようが構うもんか! 町に入っちまえばこっちのもんだ! 行くぞ、野郎共ッ!」


 ──よし、全機起動。


 俺はスイッチ一つで、待機中のゴーレム群を起動する。夜目が効く機種を優先的に展開し、町の門周辺へ配置。


 憲兵隊を巻き込まないよう、彼らの動線は避ける形にしてある。今回は、俺ひとりで片付けてみせる。


 


「お、おい……デュラハンだけじゃねぇ、スケルトンが大量にいるぞ!? ネクロマンサーか!?」


「へっ、雑魚スケルトンなんざターンアンデッドで一掃してやるよ! なあ、司祭! 前回はミスったんだ、今度こそ汚名挽回だ!」


「汚名を挽回してどうするんだよ。名誉を挽回するんでしょ。汚名は返上なんですよ。……いきます! 『ターンアンデッド』!」


 光が放たれ、スケルトン群へと聖なる力が降り注ぐ──


 ……しかし。


「お、おい司祭!? スケルトン、消えてねぇぞ!!」


「う、嘘だろ!? 昨日も一昨日も、アンデッドに効いたのに!?」


「じゃあなんで効かねぇんだよ! ……もういい! お前は役立たずだ! ここで死んでろ! 野郎共、直接攻撃だ! デュラハン狙え!」


「そ、そんな……いやだ……死にたく──」


 


 その時、別の盗賊が叫んだ。


「お頭! これ、違うぞ! こいつらゴーレムだ! 戦闘用ゴーレムに蛍光塗料でスケルトン柄を描いてあるだけだ!」


「なんだと!? ……うわ、よく見たら確かに! 石製の戦闘ゴーレムじゃねぇか! 月明かりさえあれば見分けられたのに!」


「お頭が、月明かりのない日に襲撃しろって言ったんじゃないか!」


「黙れぇ! スケルトン柄とか詐欺じゃねぇか!!」


「お頭、逃げよう! この暗闇の中であのデュラハンにストーンゴーレム軍団なんて、勝てっこねぇよ!」


「くっそ……! しょうがねぇ、退くぞ! やられた奴は置いてけ!!」


 


 あれよあれよという間に、盗賊達は退却していった。


 俺は深いため息をついて、夜空を見上げる。


「……ったく。やっと逃げたか。おかげでここ最近ずっと眠りが浅いんだよな……」


 倒した連中の後処理は憲兵隊に任せるとして、明け方になったら連絡を入れよう。


 そして俺はいつものように、呟く。


「……俺は詐欺師じゃない。魔技師だ」


 

◆◆◆


 夜の襲撃から数日後の日中。


 俺は魔技師としての本業、店に持ち込まれた魔道具や家具の修理・調整をこなしていた。あいかわらず店は閑古鳥だけど、定期的に依頼は入る。


 カン、カン、とハンマーを叩く音に集中していると──


「ギャアア! た、盗賊だーッ!」


 ──外が騒がしい。……またかよ。


 工具を置いて、ため息ひとつ。


「何度目だよ、ほんとに……」


 すぐに監視用の視界端末を確認する。町の外れ。つまりこの店の近く。そこに盗賊たちが集団で侵入してきていた。


「ヤロウ共! 略奪だァ!!」


 どうやら、町壁の出入り用に俺がこっそり細工していた隠し口を突かれたらしい。ゴーレムの搬出用のために作った道だが、あっさり見抜かれるとは。まぁ憲兵隊は見て見ぬふりしてたし、問題ないと油断してた俺も悪い。


 俺は苦笑しながら、地下のゴーレム格納庫に接続。


「起動──デュラハン。……ついでに重装甲部隊も追加で」


 静かに、そして確実に、ゴーレムたちが起動する。


 そして、店の扉を開けた先には──俺のゴーレム達が、何体も町中を進んでいた。


 


「おいおいおい! なんで町中にデュラハンなんかいるんだよ!? アンデッドだろ!? 普通、人目を避けるんじゃねーのかよ!? こんなのバレたらマズいんだろ!!」


 盗賊の一人が叫ぶ。


 ……あー、こういうリアクション、久々だな。


「あ? うちの《デュラハン》はゴーレムだぞ? アンデッドじゃねーから、日中だろうが人目だろうが関係ない」


「ゴーレム!? デュラハンじゃないのかよ!? そんなん、詐欺じゃねーか!」


「もしかして、この前のスケルトンもお前のか!? ふざけんな、スケルトン柄なんて詐欺じゃねぇか!!」


「……俺は詐欺師じゃない。魔技師だ」


 


「チクショウ! だったら術者のお前を潰せば済む話だ!」


「おいおい、話を聞けって。それと、誰が“デュラハン”と“ノーマルゴーレム”だけだって言ったよ?」


「……は?」


「うちのラインナップはな、戦闘用ゴーレム各種、絶賛稼働中だ」


「な、何種類も!? 複数同時展開!? そんなん詐欺だろうがッ!」


「だから言ってるだろ? 俺は詐欺師じゃねぇ。魔技師だ」


 


 戦闘が始まる。デュラハン型とスケルトン柄のゴーレムたちが、一斉に盗賊たちを包囲していく。


「お、お頭ッ! このゴーレム、硬ぇぞ!? ストーンゴーレムじゃねーみてぇだ!」


「アホか! どう見てもストーンゴーレムだろうが! 手抜いてんじゃねぇ! 早く倒して、俺を手伝えッ!」


「ダメだッ! いくら斬っても弾いてくる!! コイツ、マジで硬すぎる!!」


「──ふん、誰が“ストーン”ゴーレムなんて言った?」


 俺は肩をすくめ、片手で指を一本立てる。


「──こいつらは《タングステンカーバイドゴーレム》だ」


 


「タング……? なんだそりゃ!? ストーンじゃねぇのかよ!? くっそ、また詐欺かよ!!」


「まだ言うのかよ……だから、俺は詐欺師じゃない。魔技師だ」


「畜生ッ! こんな詐欺師がいるんじゃ割に合わねえ。これ以上は無理だ! 撤退だ、撤退!!こんなとこもう来るか!」


 


 盗賊たちは尻尾を巻いて逃げていった。日中に堂々と町中で暴れる姿、町民には多少見られたが、まあ、もう慣れてるだろ。


 ゴーレムたちに帰還命令を出しながら、俺は今日もまた一言、呟くのだった。



「……俺は詐欺師じゃない。魔技師だ」



◆◆◆


番外編:魔技師のゴーレム制作秘話


◆◆◆

 地下工房──そこは俺の魂の


 整然と並ぶゴーレムパーツ。積み上がった設計図、試作品の失敗パーツの山。今もなお、作動中の炉が、静かに火を灯している。


 俺が最初に作ったのは──もちろん《デュラハン》。


 きっかけは、不死者ギルドで見た、あの首なし騎士。師匠のデュラハン。あれは……一目惚れだった。


「……あのデュラハン、かっこよすぎるだろ……」


 あのフォルム。無言で佇む威圧感。切り落とされた首の代わりに、兜を脇に抱えて佇む姿。


 そのすべてが、“死のロマン”そのものだった。


 当然、弟子入りを志願した。だが、弟子入りは断られた。──それでも通い詰めて、見て、盗んで、学んで。


 そして完成したのが──この《デュラハン》型戦闘ゴーレム。


「……完璧だ。完璧すぎる……!」


 ただ、唯一残念だったのは、アンデッドじゃないってところだな。


 まぁ、しょうがない。あれはあれ、これはこれ。《デュラハン》という名前で登録すれば問題ない。デュラハンはデュラハンなのだ。


 


 ──次に取り掛かったのが、通常用のゴーレム。


「ゴーレムといえばストーンゴーレムだろ?」


 そう。あのゴツゴツした岩肌、重量感あふれる存在感。見た目のインパクトは申し分ない。


 ……ただ、弱い。


 ぶっちゃけ、石ってそんなに硬くない。金属の方がいいに決まってる。


 そこで俺は、強度とロマンを両立させる素材に着目した。


「アイアン? いや……違う。もっと上を目指さないと」


 辿り着いたのは──《タングステンカーバイド》。


 超硬合金。工業用でも使われる最高強度。夢素材。ぶっちゃけ重量バランスが大変だけど、ゴーレムなら補正すればどうにかなる。


 俺はその素材で外装フレームを鍛え直し、石のような凹凸を精巧に刻んでいった。


 ──ロマンだよ、これは。


 

 ──でも、問題がひとつ。


「近接戦ばっかりなんだよな……」


 デュラハン、ゴーレム全部近接。


 そこで、俺はふと思いついた。


「だったら、弓持たせりゃいいんじゃね?」


 というわけで、戦闘用ゴーレムのバックパックにショルダーアームを追加。背中から弓を引き抜いて、射撃できるギミックを搭載。


 さらには腰にも小型弓を仕込んで、複数方向射撃ができるようにした。


「誰が“腕は2本まで”って決めたんだよ。ゴーレムに常識なんて必要ないだろ」



 次は《ガーゴイル》。


「デュラハンがいるなら、空から監視できるガーゴイルも必要だろう?」


 こいつもタングステンカーバイド製。強度も飛行能力も捨てがたくて悩んだが、翼の内部に軽量化構造と伸縮ギアを入れ、なんとか仕上げた。


 石像風の硬質な美しさに、空中機動の滑らかさ──この矛盾の両立に成功した時、俺は叫んだね。


「ふっ……完璧だ……ッ!!」

 


 ──こうして、俺の《詐欺じみた》戦闘ゴーレム群は完成した。


 見た目はアンデッドや魔法生物。中身の性能は超金属で出来た兵器。まさに「詐欺じゃない魔技」。


違う。俺は詐欺師じゃない。魔技師だ。



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