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刻(とき)吸いの魔女  作者: かもライン
愛しの人を、赤ちゃんにしてしまったら
6/20

today (中編)マンションでの、一夜

 健太は優子を抱きしめた状態で、もうそれから何をして良いか分からずフリーズしてしまっていた。ベッドで押し倒しているだけ、ただ抱きしめるだけだった。


「あせらないで、私はどこにも逃げないから」

「あ、ああ。でも」

「まずは起き上がって。そのままじゃ、スーツも皴になるわ」

「そ、そうですね」


 健太は起き上がり、優子を解放した。

 解放された優子は、一旦ベッドから降りて健太の後ろに回って、そのまま健太に後ろからすり寄った。


「レストランで貴方が、どうして声をかけたか聞いてきたでしょ?」

「あ、はい」


「実はアレ、誰でも良かったの。どうせ1人前が無駄になっちゃうし、1人で食べるのは、ちょっと寂しかったし」

「あ、そうなんですか」

 健太の声は、少し沈んだ。


「でも、声かけたのが貴方で良かった。人生最高のプレゼント。まさにクリスマスの奇跡ね」

「あ、お、俺……」

 俺も、だったか、俺にとってもと言いたかったのか、健太はどもって最後まで言えなかった。でも意思は伝わっていた。充分過ぎる程に。


 優子は抱いた腕を離し、コートとスーツをさらっと脱がせた。その流れでスラックスも脱がせ、それぞれハンガーに掛けていく。

 そして背後から抱きつく様に腕を回し、ワイシャツのボタンをも外していく。


「あ、これは俺が……」

「だーめ。私に脱がさせて」

 優子はゆっくりボタンを外すとワイシャツもスルッと脱がせた。


「思った通り。やっぱり立派な筋肉ね」

 そこからでも見える広背筋から上腕の盛り上り。


「だいぶたるんできていますが」

 そう言いながら、健太は振り向いてランニングシャツは自分で脱ぐ。少し日に焼けた生の筋肉が見えている。


「弛んでいる様には見えないわ」

「まぁ最低、週一はがっちり泳ぐか走るかしていますから」

 なるほど。それで腹のシックスパックも、維持されているらしい。


「じゃ、私も脱がないと」

「え!?」

 優子も服を脱ぎ始めた。


 ブラウスを脱ぎ、スカートを落とし、キャミソールを脱いだ。

 ブラを取ると、形の良い胸があらわになる。


「うわ……」

 健太は、見ちゃいけないようなものを見た感じがして視線を落とした。


「目をそむけないで、ちゃんと見て」

「あ、はい」

 そう言われて、上を向く。


 生で見た、巨乳には一歩手前の豊満な胸。それでいて、ただ太っている訳では無い事が分かるくびれたウェスト。どっしりと安産型のヒップライン。


「き、綺麗です」

「本当に?」

「安易な表現で申し訳ないけど、まるでビーナスみたいです」

「そう言われると、凄く嬉しい」


 優子は健太の方に寄りかかる。

 健太はしっかりと支え、両腕でしっかりと抱きしめる。


 裸と裸、直に触れ合う。互いの体温を感じ合う。

 今度は健太の方から口づけた。優子が応える。そのままベッドにもつれ込む。

 背中を指先で撫で、もう片方の手は乳房を愛撫する。


 正直こういうテクニックは、あの男に比べれば下手だ。おそらく場数も少ない筈。

 でも優子はとても感じていた。拙いが、思いやりがこもっているのが分かったから。ただひたすら私を喜ばせたいという気持ちが伝わってきたから。


 その拙いながらも最高に感じる愛撫で軽イキした。

「いいわ。きて」

 健太は言われるがまま、ちょっとずつ挿入始める。


「ああ、凄い。大きい」

「い、痛いですか?」

「大丈夫、大丈夫よ。でもゆっくり、ゆっくりとお願い」

 これまでの人たちと比べても、最も大きいと感じたソレは、ちょっと苦しい感じもしたが、今まで当たった事のない奥のところに当たる、感じた事のなかった部分で感じているのが新鮮だった。


 ここ暫く、多数の男性との経験をして、もう百戦錬磨の経験者になったつもりになっていたのが恥ずかしくなる位。

 どうして前の彼氏と結婚までする前に、健太くんと出会わなかったのだろう?

 そう考えて、涙が出た。 


「す、すいません。イキます」

「いいわ、来て、来て」

 そして健太は絶頂に達する。


 同時に、優子の頭から真っ白な光が溢れる。

 受け止める。奪う。吸い取る。

 健太の精を。オーラを。10年分の月日を。

 精気と同時に発した健太の周りを覆っていた黄金色のオーラごと、優子はとき奪い取っていた。


「うわっ」


 健太の心臓が大きく高鳴る。全身がギュッと強張り軋んで痛い感じ。

 優子はそんな健太をぐっと、両腕で抱きしめる。

 抱きしめ、抱きしめられたまま、ゆっくりと時間を過ごす。

 熱い位の体温と、Rockの様な力強い鼓動が伝わってくる。

 やがて、それらはゆっくりと落ち着いてきた。余韻だけが肌を通して感じられた。


「ああ……」

 いきなり健太は、頭を押さえてベッドから立ち上がった。


「どうしたの? 健太クン」

 中から優子が声をかけた。


「あの、喉が渇いたので、ちょっと水を飲んできます」


 そうね……。おそらく今、何か違和感を感じている筈。

 でも、その正体に気付いたら、少しややこしい事になる。そうなる前に第二ラウンドにもっていかないと。


「そう……早く戻ってきてね。寒いわ」

 優子は少し沈んだ声で言った。


「すぐ戻ります」

「キッチンは通路の奥で、コップは食器棚にあるものどれ使ってもいいから。それと冷蔵庫にはお茶とか、お酒もあるけど」


「いえ、水でいいです」

「そう」


 あえてバスルームの洗面台の方は教えなかった。単に水を飲むだけなら、歯磨き用のコップもある洗面台の方が手っ取り早いが、そちらに行くと大きな鏡でくっきりと自分の顔も姿も見えてしまう。

 今の、20代の自分に気付いてほしくなかった。


 健太は部屋を出て、ダイニングキッチンの方に向かった。動く電灯の光と影でそちらに向かって行くのが分かる。


 どうしよう……。

 優子は今、本気で悩んでいた。

 今、健太が部屋を出て行ったから、改めてじっくり考える時間が出来てしまった。


 続けて良いのか? 既に一回、魔法をかけてしまった。彼は20歳になってしまっっている。

 後2回、おそらく後2回分のときを奪えば彼は “零歳” になり達成する。でも、それでいいのか?

 かけなければ、彼は今のまま。上手くすれば今後は恋人として、ゆくゆくは結婚相手として一緒に過ごす事も出来る。それはとても魅力的。でも。


 でも、そうなれば百合子も期待している、新たな赤ちゃんは作れない。

 ただ彼を “零歳” に戻して産み直す事も、必ず成功するとは限らない事も分かっている。彼を殺してしまうかもしれない。


 だからと言って猶予して、彼と付き合いながら、他の男とSEXなんかは出来ない。彼に黙って不義を働きたくない。


 ああ、どうしたら。


 彼を殺したくはない。でもそれ以外に、方法はない。

 いっそ、赤ちゃんを作る事そのものを諦める。それもアリなのか?

 絶えるのか。魔女の血縁が。私の代で。


 百合子は、それでも良いと言ってくれるとは思う。

 元々、つい最近まで期待されていなかったのだ。それでも……。


 しばらく延期するのも手だけど、そうすれば、そうすればもう彼を失うなんて事は、もう絶対に出来なくなっている気がする。


 未練……。未練なのよ。


 そして、その後でもし彼を失ってしまったら、もう私は絶対に耐えられない。

 だから今。だから、するとしたら、この今しかない。


 本当にいいの?

 そうよ。もう既に一回、魔法をかけてしまっている。その事に気付いたら。気付いてしまったら。


 そう。失いたくないけど、今、このままでも失ってしまう可能性がある。彼が気付いたら。


 なら、ならもう進むしかない。

 続けるしかない。


 呼ばないと。

 彼が気付く前に。


「ねぇ、健太くーん」

 キッチンの方に向かって、甘い声で呼んだ。彼が疑問を持つ前に。


「分かった、行くよ」

 健太くんの声だ。聞こえたみたい。


 程なく彼は帰って来た。どうやら気付いてはいない様だ。

 彼がベッドに着くなり、抱きついてきてキスをした。何度目のキスだろうか。

 キスして、舌を絡ませて、裸と裸で抱きしめ合う。


「いいわ、もう。貴方の好きにして」

「あ、ああ」


 程なく、彼がまた挿入してきた。

 ああ、大きい。とっても。


 喘ぐ。思わず声が出る。奥の方まで突いてくる。グリグリと回る様に。互いに声は荒くなってくる。かき回される。締め付ける。胸を、首筋を撫でられる。


「あ、あん!」

 また。また私はイッた。連続して絶頂の声をあげてしまった。


 その内、彼の方も限界が近づいてきている感じ。

 ぐっと奥に入って来た。同時に放たれる感触。彼の2回目の絶頂。


 女と違って、男は絶頂時間が短い。ほんの数秒程で全てが終わる。

 だから、そのタイミングでかけなければいけない。


 受け止める。奪う。吸い取る。

 精気と同時に発した健太の周りを覆っていたオーラごと、また優子はときを奪っていた。


 健太の心臓がまた大きく高鳴る。

 彼が、彼の身体がどんどん小さくなっていくのが分かる。か細く、華奢になっていく。暴れる。じたばたと、もがく。

 優子はそんな健太をぐっと、両腕で抱きしめた。必死で抱きしめた。


 いいの。いいの。心配しなくていいの。


 10年の月日を奪ってしまい、ほどなく彼はもう明らかに子供になってしまっていた。推定10歳。

 もう、さすがに彼にも分かってしまっただろう。


「お、おい。まさか」


 彼の顔は、幼くなってしまった彼の顔は、とても真っ青になってしまっていた。

 でも、幼くても健太くんは健太くんだって分かる。

 同じ10歳位の子に比べて、やはりワイルドさがある。身体も既に筋肉質だ。


「さすがに分かっちゃったみたいね。そうよ。貴方の思った通りよ」

「じゃあ、やっぱり」


 優子は、そのまま彼を力でねじ伏せる様にして、覆いかぶさった。

 確かに筋肉質だし身長も同世代の子達よりは大きいかもしれない。でも優子に比べれば小さいし、力も弱い。でも、あと2年分大きかったら負けていたかもしれない。

 そういう意味ではギリギリ助かった。


「だから、もうちょっと大人しくしてね。お願い。」

「え? そしたら」


 怯える彼の身体をまさぐり股間の《《それ》》を見つけ、その手で愛撫した。


「うわっ、やめろ!」

 ぎゅっと握って上下させた。


「えっ? ああ」

 それだけで、怖くなって縮み上がっていた筈の彼の《《それ》》は勃ってきてしまった。

 まるで、このシチュエーションに、逆に興奮してしまっているかの様だ。


「そう。良い子ね」

 そのまま、手で誘導しながら身体の中に挿入させた。挿入し、ギュッと搾り上げた。


「そ、そんなぁ」

 騎乗位になって、そのまま腰を動かした。


「ダメ、ダメだ!!」


 もう大丈夫。もう彼は私のトリコだ。私のペースに巻き込んでしまっている。

 締め付ける。

 既にヌルヌルになっている私の体内は、彼の若く、まだ小さい《《それ》》には刺激が強すぎたかもしれない。

 既に彼も、ここでイッてしまったらいけない事は分かっている筈。

 分かっていても気持ちと身体は相反してしまって、この快感には耐えられない。

 ぬるぬると動く優子の体内は、まるで別の生き物の様に感じてしまっている筈。


「うわっ、あっ、あああああっ!!」


 そして遂に、頂点に達してしまった様。精が身体の奥に注ぎ込まれた。

 彼の黄金色のオーラも霧散し、完全に無防備になってしまう。

 その彼の身体を覆うように優子のオーラが攻撃し、彼の精とときを奪う。


「あああああ」


 気持ち良さも頂点に達したのか、同時にまた心臓が鼓動が大きくドクドクと伝わってくる。

 肉体が悲鳴をあげている。全身の骨が筋肉が、軋んで熱を発している。締め付けられるように搾り上げられ縮んでいく。


 最初の10年ではほとんど変わらなかった身体も、次の10年で明らかに小さくなったが、でも今回の10年はそれどころではなかった。


 優子の腕の中で、健太は身長でも1/3いや1/5?。体重にしてももう10㎏を切ってしまっていた。

 ぎゅっと抱き上げ、本当に優子の腕の中に収まってしまっていて、そこで小さくなるのも止まった。


 推定1歳前後。

 ああ、最後まで行くかと思ったけど、ちょっと前で止まってしまったか。


 でも、可愛い。

 やっぱり健太くんは健太くんだった。

 目と眉がりりしい。口もギュッとしまって男らしい。


「何て可愛くなっちゃって」


 誤算ではあったが、でもそんな彼を見られたのはちょっと嬉しい誤算だった。

 不安そうに、あどけない表情で優子の方を見上げる。


 ジタバタと両手両足が抵抗し、顔もイヤイヤする。

 しぐさも可愛い。

 思わず表情も緩んでしまう。


「まぁ、可愛いわ、可愛いわ、どうしましょう」

 抱いて、ハグして、ほっぺとほっぺが触れ合う。とても暖かい。

 暫くハグしたままになった。

 ペチペチと叩かれるのも気持ちいい。


 健太も最初はジタバタ抵抗していた様だが、もう大人しくなった。


 優子はグッと決意を固め、そのハグを外した。

 これはこれで嬉しいけど、この状態のままではいけなかった。


「ゴメンね。もうこれで最後だから」


 優子は赤ん坊になった健太をベッドに降ろして、おもむろにそのペニス、というよりオチンチンを口に咥えた。

 これは以前同様に、赤ん坊状態になった別の男に対し、どうしようもなくなったところを百合子がフォローしてくれた技。魔女としてはベテランの百合子だから出来た事で、優子自身はまだやった事は無い。でも何回か百合子がやるところは見ている。


 健太のオチンチンを、舌で舐め上げたり唇で吸ったりしていると幼いながらもしっかりと勃った。先の方を剥きながら舐めたり、玉筋の裏やら、お尻の穴にまで舌の先で刺激する。出来ればそのお尻の穴に小指入れて刺激したいけど、小さすぎて無理っぽいから、せめてお尻の穴と会陰を舌の先でマッサージするのに留め、繋がっているだろう前立腺を刺激した。


 あ、今、何か健太くんが背筋をゾクゾクっとさせた。

 効いている。この性的な刺激が効いている。


 次の瞬間、ビクっと硬直した。

 オチンチンの先から、さすがに精液ではないだろうが、何か出た。

 それも全部、吸いつくす様に飲み込んだ。


 奪う。

 残った年月を。


 おおよそ1年と+α(プラスアルファ)分。10年分でなくソフトにセーブして奪う。

 一気に、力いっぱい奪うとオーバーキル状態になってショックで絶命するから。


「死なないでね。小さくなって、私自身で産み直してあげるから、また会いましょう。今度会う時は、私の赤ちゃんよ」


 健太の耳元でささやく。

 健太はだんだん小さくなり、新生児を通り越して、胎児以下になっていく。


 小さい方が良いけど、あまりにも小さくなりすぎると、扱いきれなくなる。

 それこそ成人の健太のペニスと同じ位になったところで、優子は大きく足を開いて、膣の中に招き入れる。ゆっくりと、ゆっくりと。

 完全に中に入ったところ、お腹に手を当てて、中へ中へと導いていく。

 子宮にたどり着いた事を確認する。


 健太くんは、さらに小さく、小さくなっていくのを感じる。


 ああ。

 死なないで。

 死なないで、受精して、私の赤ちゃんになって。




 ――― today (後編)に続く  ―――

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