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刻(とき)吸いの魔女  作者: かもライン
愛しの人を、赤ちゃんにしてしまったら
3/20

before (前編) 昔の男を、赤ちゃんにしてしまったら

※これは、前作『愛しの人の、赤ちゃんになってしまったら』を、逆サイド・優子さんの視点から描いたもので、ある意味 謎で終わっていた部分の種明かしも入っております。

また、能力ちからに目覚めるところや、魔女としての説明を入れるために、その数か月前までさかのぼっています。

『愛しの人の、赤ちゃんになってしまったら』の日を基点として、befor編・today編・sfter編がある訳です。

前作を、さらに膨らませる内容になっておりますので、物語的に興味ある方は是非ともお楽しみ願います。


「あら?」


 玄関のカギを開けて入った時、何か違和感があった。

 このマンション403号室は、出た時と同じで中は真っ暗のまま。誰もいない筈。

 でも何か気配を感じた。何かいる様な。でも今、この家に入る事が出来るのは……

 優子は、とりあえずは廊下の電気を付け、玄関のカギをかけた。


「ねぇ、百合子? いるの?」


 もし、いるとしたら合鍵を持っている百合子だけ。百合子は優子にとって最も信頼している人。でも百合子だとしたら部屋の電気も付けず、こうして声もかけて応えない筈がない。

 廊下の途中、ベッドルームを確認した。

 百合子が、具合が悪くなって寝ているかもしれないと思ったから。

 でもベッドルームには誰もいなかった。


「おかしいわねぇ」


 優子は首をかしげながら一番奥のDKに入った。

 とたんに、まだ付けていないのに電灯のスイッチが入り、明るくなった。


「え、何?」

 入って横を見る。そこに男がいた。


「だ、誰?」

「誰だじゃねぇだろ。仮にも主人に向かって」

「え? ええ!?」


 よく見る。

 小太りの体形。薄汚れたタケオ・キクチのラフなスーツ。

 そして、その顔。特徴的なのが鋭い目つき。無精ひげが目立ち、髪も薄くなっていたが、確かに見覚えがある顔だった。


「え、どうして!?」

「思い出した様だな」


 そこにいたのは、優子のかつての夫。

 でも7年前に離婚した。

 理由は彼自身の浮気。というか、その浮気相手と結婚するからと、一方的に離婚を切り出し、家を出て行ったのは彼の方だった。

 このマンションは賃貸で、家具・家電は全て優子が生活の為に揃えた。逆に言えば、マンションの中に彼自身の所有物は、ほぼ無い。自分の身の回りの物だけ持って、いなくなった。


 いくら好き勝手していて、最後の方は醒めた態度ばかり取られていたけど、あの当時はそれでも一途に大好きだった。彼のいない生活など考えられなかった。

 彼がいなくなって、その時優子は突然の出来事にポッカリと胸に穴が開いた。

 何もかも無気力になり、当時かなり重要なポジションで勤めていた会社も退職し、マンションに引きこもった。


 でも彼女には百合子がいたから何とか立ち直れた。優子にとって百合子の存在は、親友であり、恋人でもあり、その後の会社の共同経営者であり、また産みの母でもあった。普通なら、その母と娘の関係が最初に立つのだろうが、複雑な事情からそれを表に出すことはなく、互いに呼び合う時も『優子』『百合子』であった。


 彼女の癒しによって、ようやく落ち着きを取り戻したが、それは同時に彼への愛と勘違いしていた洗脳から解放されたという事でもあった。


 そう。恋愛し結婚した当初は、互いを尊重し愛し合っていた。少なくとも優子はそう思っていた。

 特に彼の外観に惹かれていたという意識はなかったが、確かに彼は細身で彫りの深いハンサムで、唯一の外観的欠点は背が高くない事ぐらいであったが、それでも170を若干切っている程度。行動の一つ一つがサマになる様な、気障きざなイケメンであった。


 そして、その頃の優子は外資系の会社員で、既にその時から収入は彼女の方がはるかに良かった。ある意味、恋愛観に乏しい彼女に付け込んで結婚したようなものだったと後になってみれば分かった。


 結婚して一緒に生活する様になっても、彼は一銭も生活費を入れる事もなく、家事は全て彼女が行っていた。それでも彼女は特に気にすることもなく、ちゃんとした結婚生活を行っていたと彼女は思っていた。思い込もうとしていた。


 やがて彼は、家に彼も毎日帰ってくることもなくなり、あっても彼女に金をせびる為に来るくらいになり、そして一時完全に帰ってこなくなって、いきなり別れを切り出された。

 理由はどうやら優子より金持ちの娘に取り入った為だったと、これも後で分かる。


 そうなってしまい、優子自身は何もする気が起きなかったが、納得がいかない百合子の方で手回しして、一方的な離婚に対する慰謝料請求の訴えを起こし、それに関してはあっさり勝利したが、その慰謝料が入ってくる事は無かった。


 彼が一切支払いの意思を見せなかったから、というのもあるが彼自身に預金・現金含めて財産らしいものはなく、しかもその時には勤めていた会社も辞めていて給与の差し押さえも出来なくなっていた。

 だからその払わない慰謝料を取り立てる為には、また改めて訴えも起こすしかなかったが、もう無駄と分かって諦めた。


『そんなもの真面目に払う奴が馬鹿なんだよ』


 彼の捨て台詞だったが、逆にその言葉で優子自身の呪縛を完全に断ち切れた事が救いだった。


 落ち込んで会社も辞めてしまった優子を、百合子は小さいが輸入貿易を扱う自分の会社の共同経営者として働ける様にして、日常生活も行えるようになり、ようやく何とか立ち直れた。


 そうなってから何年も過ぎて、もうそれらは過去の出来事になった今、

 優子の人生を踏みにじった男が突然に、彼女の住むマンションのLDKにいた。


「な、なぜ?」

「何言ってるんだ? 俺はお前の主人だ!」

「だって、ここの鍵は」


 確かに当初、ここは2人で住んでいたマンションだった。

 でも離婚時に、叩きつけるように彼は鍵を返した。このマンションを借りる時に預かったマスター2本の鍵の内の1本を。


「あ、貴方、合鍵作っていたのね?」

 こんな時の為に?。


 鍵は合鍵など作れないディンプルキーだったからと思って安心していた。

 でも、その気になれば合鍵は作れたという事。違法ではあったが、作る事そのものは可能だったという事。


 いっそ、こんな事になるなら彼が出て行った時に、管理会社に頼んで鍵をシリンダーごと交換して貰えば良かったと優子は思った。ただ、そうしたところで、彼は別の方法を考えるかもしれないが。


 優子は、キッと彼を睨んだ。

「貴方だって、もう貴方の家庭がある筈でしょ?」

「ああ? 捨てたよ。もうあんな家には戻る気はねぇ」


 いや、きっと追い出されたのだろう。

 彼の良い所は外見だけ。

 我儘で、好き勝手して、仕事も収入もない男だ。


 再婚相手は、名家のお嬢様だった筈だ。

 過去に、彼が払わない慰謝料の請求をそちらに持って行った事もあったが、相手の顧問弁護士に阻まれた事があった。

 彼に問題はあっても、その再婚相手に責任問題は発生しない、と法的武装されてはね返された。その気になれば争うことも可能だっただろうが、労力に見合う成果は期待できそうになかった。

 実に、そういう意味でもしっかりとした名家だっとのだろう。

 そう実感した。


 ひょっとしたら、その彼を追い出したのは、当のお嬢様ではなく、実家サイドからのアクションかもしれない。

 彼の良い所は外見だけ。人を喜ばせるホスト的テクニックもあっただろうが、長年一緒に暮らせばボロは出る。しかもその外見も、今やそれも陰りが見えている。お腹が出てきて、髪も薄くなってきている。

 あの頃は、魅力の一つだった傲岸不遜な態度も、今や逆に嫌らしく怖いだけ。


 突っぱねないと!

 こんな男にかかわり続けたら、破滅しかない。


「出て行って。貴方はもう」

「その気は無ぇな。今日からまたここに住ませてもらう」

「嫌よ。け、警察を呼びます」

 優子が鞄からスマホを出した瞬間、


「ふざけんじゃねぇ!」

 男は優子の手から、そのスマホを叩いて落とし、踏みつけて壊した。


「ふん、俺と縁が切れると思っているのか」

 男は優子に迫る。後ずさって逃げようとするも、ソファに当たってソファにそのまま倒れてしまう。


「え? え?」

「思い出させてやるぜ」

 男は上着を脱いで、優子に倒れ込んでいく。


「嫌ぁ!」

 男は優子の服を引きちぎる様にして脱がす。

 ブラはフロントホックが災いして、弾ける様に外される。

 とたんに豊満な胸がこぼれる。


「あいかわらず、男好きする体つきだな」

「あ……あああ」


 男が乱暴に胸を揉みしだく。

 嫌なのに、嫌なのに、指が当たる度に背筋がぞくっと震える。


「弱い所は、昔と同じだ」

 男の顔が、優子の顔に迫ってくる。優子は首を横に向けて拒む。

 優子の顔からメガネが外れた。


「いつまで抵抗出来ると思う?」

 男の左手は胸を。そして右手がスカートの下から、這いあがってくる。


「え? 嫌っ、やぁっ!」

 這い上がってきた指はパンストとショーツを一緒に引きずり落とす。


「そんなぁ、あっ、あーっ!」

「思い出させてやるぜ」

 あらわになった優子の下半身に、その指が乱暴に割って入ってくる。


「何で? 何でよぉ」

 嫌なのに、嫌でしかないのに、自分の身体が濡れてきているのが分かる。


 そう昔もそうだった。いつも乱暴に、思うまま、自己本位的な行為ばかりだった。

 何も知らなかった優子はひたすら、それに応えてきた。応えながら、彼の気が済むまで耐えてきた。それが普通だと思っていた。


「足を開け!」

 スカートの中に顔をつっ込んできた。


 彼に、一方的に攻め立てられている。

 嫌悪感、でも同時に感じてもいる。

 背筋がゾクゾクしているのは、怖さからなのか、性的に感じているからか?


「あふ、あぅ、んあ、ああ」


 もはや身体の奥の方から濡れてきているのが分かる。

 嫌な筈なのに、嫌な筈なのに、反応してしまう。


「感じてるじゃねぇかよ、この雌豚が!」

「違う、違うの、私は……」

「違わねえだろ」

 一旦、その攻めから離れたかと思ったら、


 バチン!!


 平手がお尻を叩いた。


「痛い!!」

「嫌がるんじゃねぇ、この豚がぁ!」


 確かに優子は少しぽっちゃりしている。

 女にしては大柄で、身長165に対して、体重も65近い。

 太っていると自分では思っていなかったが、そう指摘されると完全に否定できない弱さもあった。

 例えば彼も、背は170弱。決して高くないが、だからと言って低いと言われる程ではない。しかし、それを匂わすような言葉にかなり敏感だった。ムキになって否定した。流石に優子よりは若干高いが、それでもヒールを履けば逆転される。だから一緒に出掛ける時、優子に決してヒールを履かせなかった。


 バチン!!


 また、平手がお尻を叩いた。


「痛いのが気持ちいいんだろ? 喜んでいるぜ。雌豚よ」

 豚と言われ、叩かれたお尻が真っ赤に腫れ上がり、絶望感がこみ上げてくる。


「違う。私は豚じゃない……」

 何とか逃げようともがくが、それでも男の力には敵わない。


「忘れられなくしてやるぜ」

「あ、あああ」


 そう思った時には、犯されていた。


 当然、初めてではない。過去にも同様、何度もされた事だが、あの時とは気持ちが違っていた。

 まだ好きだった。あの頃なら気持ち悪いとは思わなかった。

 だから耐えられた。

 でも、今は違う。


「ひ、ひぃ!」

 呼吸が阻害された。痛かった。

 でも挿入されると、その身体の内側から、嫌なのに快感が刺激されてきた。


「ほら、感じてきているんじゃないか?」

「そんな、そんなぁ」


 ぐっと奥に、奥に、突かれる。

 意識が、意識が持っていかれる。


 恥ずかしながら、彼と別れて7年間。

 その間に、自分自身で慰めたり、百合子と慰め合ったりした事はあった。


 しかし、この感触は、まさに7年ぶりであった。


「ああ、ああ、ああ、ああ」

 顔が緩んでいる。能動的に、されるがままになっている。


「さぁ出すぜ、受け止めな」

「え? そんな、嫌ぁ!」


 当時は、何度もされた行為ではあった。

 でも、今は嫌だった。


「さぁ、俺の子種受けて、孕んじまえよ」

「そんな、だめ、駄目ぇ!!」


 それで絶対に妊娠するわけじゃない。

 いや、自分が体質的に妊娠しにくい身体であることは分かっていた。

 避妊など全然していなかった活動中にも、全くそんな兆しもなかった。


 でも万一妊娠してしまったら、彼の子供が出来てしまったら、

 もう、もう絶対に彼とは一生離れられなくなる。

 それが理由になって、一生彼が自分の人生を、好き勝手に踏み込んでくる。


「ほら、俺の子種受けて、孕んじまいなぁ!」

「嫌っ、嫌、絶対に嫌ぁ!」

 身体の奥の方に、熱いものがほとばしる様に広がった。


「嫌あぁぁぁぁぁっ!!」


 優子の頭の中で、何かが弾けた。

 光が、稲妻の様な光が放出された。


 それは、昔に経験したことがある様な、無い様な。

 百合子に教わって、その時は感じた。感じる事は出来たが、自分自身では発動できなかった、その感覚。

 何度も何度も、そのノウハウを伝えようとしたけど、マスター出来なかった筈の、魔女の力。

 その閃きの様な力が、自分自身から発せられていた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 優子は放心していた。全く動けなかった。


「ふん、意地を張りやがって」

 男は、優子から離れて立ち上がった。


「久しぶりで、疲れたぜ。心臓も高鳴りやがる」


 放心していた優子の目の焦点が合わなかった。

 あ、メガネが外れていただけか。横に落ちていたメガネを付け直す。


 今は直接は束縛されていないが、それでも今、彼がこの部屋にいて、誰にも助けを呼べない状況は変わっていない。


「ん? 何か身体の調子が良い感じだ。まるで昔の……」

 そう言った男の身体に、優子は何か違和感を感じた。


「え?」

 一見、さほど変わった様には見えない。

 でも先ほどまで、たるみきっていた彼の腹は逆に引き締まっていて、髪も前のフサフサな状態に見えた。肌も張りがある様な。


「え? まさか私……」

 先ほど、頭から弾けたような光の効果?。百合子から習った、あの力?

 男は不思議そうに見ている優子の方を向いた。


「どうした? 何、俺の方見てやがる」

「貴方、その身体……」

「俺の身体がどうした?」

 ずっと見てきたから分かる。彼の身体は、先程までの身体ではなく、優子と暮らしていた、いや付き合い始めた若い頃の身体。


「大丈夫なの? だって、その身体……」

「え? 何が」


 そう言いながら、彼自身が自分の身体を触り、横にあった鏡を見る。

 鏡に驚いた表情の彼の顔が映る。

「ん? 髪が戻ってやがる。何か、イケメン時代の俺に戻ってんじゃ」


 そう言いながら、腕をブンブン振り回し、軽く跳び上がる。

「軽いぞ、俺の身体が、まるで昔の」


 しかし変化はそれで済まなかった。

 身体がさらに痩せてきた。背もだんだん低くなってきた。顔も幼くなってきた。

 まるで、

 まるで高校生ぐらいから中学生ぐらいに


「お、おい。何だ、これ」

 さすがに何か異常を感じてうろたえる。うろたえた時、ふと優子と目が合った。

 途端に、ギっと睨まれた。


「おい、これはお前か。お前の仕業か!」

 男は優子に向かって来る。


「知らない。知らないわ」

「嘘をつけぇ!!」

 向かってきて、腕を振り下ろす。


 とっさにその手を掴む。

 もう片方の手を突き出すが、それも優子に押さえられる。

 両手と両手が、共に掴み合った状態で拮抗する。


 本来なら、男の力でさっさと振り払われてしまっていたのだろうが、男はさらに低年齢化して小学校高学年くらいになり、力でも体格でも楽々優子でも押さえつけられる位になり、やがて低学年ぐらいまで下がるともう背が足りなくなり、その優子の手にブランとぶら下がってしまう状態に。


 足をバタバタさせるが、優子が腕を延ばせばもう届かなくなり、遂には幼児を経て、さらに赤ん坊ぐらいまで下がってしまった。


「ひ、ひぃ」

 優子は思わず、赤ん坊をソファに放り投げた。


 放り投げられた赤ん坊は、もう立ち上がる事は出来ず、ただ腕と足をジタバタとするだけだったが、やがてその運動も出来なくなり、手足もだんだん小さく短くなっていった。

 新生児から胎児に。

 薄だいだい色の肉の塊。まるでネズミの赤ちゃんみたいな。

 やがて手足すらなくなって、丸い塊がどんどん小さくなって、最後には消えた。

 本当に消えたという訳ではないのかもしれないが、視覚的には完全に見えなくなってしまった。1mm以下の、人間の卵になったのだと思う。


「嫌、いや、いや、いやぁ!!」

 優子は頭を抱えて泣き叫んだ。


 その時、マンションの玄関方向からガチャガチャと開錠されてドアが開く音。

「優子! 優子、大丈夫!?」

 年配の女が、廊下を駆けてきてダイニングに入って来た。


「優子!!」

 女は泣き叫ぶ半裸の優子を見つけ、急いで駆け寄り抱きしめた。


「百合子ぉ、百合子ぉ!」

 優子は、その女・百合子に抱き返して、ガクガク震えた。


「もう大丈夫よ。落ち着いて」

「百合子ぉ……」


 百合子は優子の頭を押さえ、いきなり唇を重ねた。

 ガタガタと震える歯と歯を割って、舌を奥に入れていく。

 優子もその舌で応える。

 舌と舌が絡み合う。

 唇と唇で、吸い合う。

 唇が離れ、頬と頬がギュッと押し合う。

 優子の涙が一筋、百合子の頬に流れる。


 そしてそのまま、しばらく、数分だろうか抱き合ったまま、百合子は優子が落ち着くのを待った。

 ガタガタとした震えが収まった。


「百合子、あたし……」

「落ち着いて。まずは」

 百合子は今の優子の状況を見る。


 ブラウスはボタンが全てはじけ飛んで、ブラもはだけて上半身は完全に半裸状態。

 下もスカートは履いているが、パンスト・ショーツは膝までずり落ちて、多分スカートの下は何もない状態であろう。

 ダイニングもソファや椅子・テーブルが乱れ、争った跡が感じられる。


「まずはシャワーでも浴びてきなさい。此処ここは片づけておくから」

「う、うん」

 改めて優子は自分の格好に恥ずかしさを憶え、ブラウスを合わせ、パンストを少し上げながら、バスルームに向かった。


「何があったのか。まぁ大体検討はつくけどね」

 そのソファの横に脱ぎ散らかされた、薄汚れた濃紺のスーツ一式を見ながら、百合子はつぶやいた。


 ――― before (後編)に、続く ―――


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