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刻(とき)吸いの魔女  作者: かもライン
愛しの人の、赤ちゃんになってしまったら
2/20

(後編)マンションでの、一夜

 早々に1ラウンド終えた後、なぜか猛烈に心臓がバクバクと鳴り、身体も猛烈にきしんだ。

 喉も乾いたので、水を一杯飲みに来たところ。

 ふと鏡に映る自分を見る。


「え、俺だよな?」


 微妙に違和感。何がどう違うかは分からないが、今の俺ってこんなだっけかと感じた。

 体格が引き締まり、少したるんでいたはずの腹に、くっきりとシックスパックが浮かび、顔も少し精悍になっている。

 ある意味、より彼女好みの良い男になっている感じだ。


「ねぇ、健太くーん」

 ベッドルームから彼女の甘い声。


「分かった、行くよ」

 俺は、もう一杯水を飲み干すと、優子さんの待つ部屋に向かった。


 俺がベッドに着くなり、すぐ彼女は抱きついてきてキスをした。

 何度目のキスだろうか。


 女性経験は、さほど多くないが無い訳ではなかった。

 学生時代から何人か彼女は作ったことある。あまり長続きはしなかったが。

 当然、性経験もあった。最近はさっぱりではあるが、風俗にもたまに行く。

 だからSEXに関しては落ち着いてリード出来たと思うが、キスをせがまれると少し戸惑う。


 そうか、俺はキスの経験は少なかったんだ、と改めて感じた。

 風俗ではキスなんかしない。頬や首筋を舐めらりたりする事はあったが、それはキスではない。

 過去に付き合った彼女たちとキスをした事はあったが、それでもここまで濃厚なキスは多くない。

 キスは情が絡む。それを実感する。

 そう深く思ってくれているのか、単に優子さんが、そんなキスが好きなのか。それは分からないが、改めてそんなキスも悪くはない。そう感じた。

 キスに応え舌を絡ませながら、すぐにまた挿入させた。


 喘ぐ彼女の声を聞きながら、奥の方まで突く。グリグリと回す。その度に彼女の声は荒くなる。かき回す。同時に胸を、首筋を撫でる。

 何度も、何度も、彼女は絶頂の声をあげる。

 その内、俺の方も限界が近づいてくる。

 ぐっと奥に入れる。同時に放つ。俺も2回目の絶頂だ。

 女と違って、男は絶頂が短い。ほんの数秒程で全てが終わる。


 心臓がドクンドクンと鼓動する。

 先程と同じ、いや、もっと激しい。

 なんだ!?

 く、苦しい……。

 うわっ、身体中が悲鳴をあげる。骨がゴリゴリいっているかの様に軋む。顔も身体も全身が熱い。バラバラになりそうな位に痛い。全筋肉が引き裂かれる様だ。

 何があった。一体、俺の体に。


 そんな俺を、彼女はギュッと抱きしめる。強く、抱きしめる。


「え? あ?」

 彼女は、うろたえている様子はない。ぎゅっと、力強く抱きしめる。

 暴れないように、ベッドから出ないように。

 落ち着いて、何も言わずに。

 え? 待て、分かっていたのか? こうなる事が分かっていたのか?


 軋む痛みで意識が遠くなりそうだ。何とか耐える。

 優子さんの抱きしめる力が強い。でも、逆にその強さで気持ちは少し落ち着く。

 ずっと続くかと思った激しい痛みは、やがて波が引くように治まった。身体にあまり力が入らないが、もう大丈夫っぽい。

 先程まで熱かった身体も、汗と一緒に引き、背筋の痺れも消えていく。


 そうなって改めて気付く。

 あれ? 彼女ってこんなに大きかったか?

 長身ではあったが、少なくとも俺よりはかなり小さかった。


 だが今は、俺より少し大きく感じるし、重い。

 その力も、圧倒的に俺の方が強かった筈だが、今では何か負けている様な。ぐっと組み伏せられている。

 ふと、ベッドの向こうにある鏡に俺たちの姿が映っている。


 え!?。

 俺が、俺の姿が小さくなっている。

 ただ小さくなっているだけではない。顔が幼い。手足も細い。


 まるで、

 まるで、小学生くらいの様な……


「お、おい。まさか」


 彼女は俺を見下ろして、とても満足そうな顔をした。

「さすがに分かっちゃったみたいね。そうよ。貴方の思った通りよ」

「じゃあ、やっぱり」

 若返っている。確実に小学生ぐらいに若返っている。


 先ほどもそうだったのだ。でもあの時は、今ほど変化が無かった。

 そう。さっきは仮に10歳若返ったとして、31歳から21歳になっても体格的にはさほど変わらなかったから、あまり気にならなかったのだろう。

 でも21歳から10歳前後になったとしたなら身長も体重も、全然違う。


「だから、もうちょっと大人しくしてね。お願い。」

「え? そしたら」

 彼女は強引に身体に覆い被さり、


「うわっ、やめろ!」

 その手が、彼の股間のそれをぎゅっと握ってきた。


「えっ? ああ」

 それだけで、怖くなって縮み上がっていた筈のそれはってきてしまった。

 怖いはずなのに、絶対ダメな筈なのに、逆に恐怖感に興奮してしまった。


「そう……。い子ね」

 彼女はそのまま、手で誘導しながら自分の身体に挿入させた。挿入して、搾り上げてきた。


「そ、そんな」

 騎乗位になって、そのまま腰を動かしてきた。


「ダメ、ダメだ!!」


 おそらく、もしこのままイってしまったら、もう10歳若返って赤ん坊になってしまう。いや、それ以上かも。

 あ……、あ、そうか。彼女が赤ちゃんが欲しいって言っていたのは、この事だったのか。

 俺が彼女を孕ませるという意味ではなく、俺を若返らせて赤ちゃんにするつもりだったのか!?

 そんな事をしてまで。いや、そんな事をしないと、赤ちゃんを手に入れられないのか!?

 このまま、そんなに若返りたくない。

 赤ちゃんになんか、なりたくない。


 でも、でも。

 彼女の腰の動きに、ぬるぬるっと動く体内の締め付けに、自分自身の意思に反してとても気持ち良くなってしまっていた。

 純粋な小学生みたく、身体も何もかもが敏感になっていた。


「うふ、もうちょっとね」

 彼女が耳元でささやく。


「え? わ、うわ」

 自分の思いと相反して、身体は正直に反応していく。


「うわっ、えっ、あああああっ!!」

 そしてついに、頂点に達してしまった。精を放ってしまった。


「あああああ」

 気持ち良さも頂点に達したが、同時にまた心臓が大きくドクドクと鼓動する。

 また全身の骨が筋肉が、軋んで熱を発する。締め付けられるように身体が搾り上げられていく。

 ガンガンに頭痛がする。何も考えられなくなる。

 息が苦しい。気管がヒューヒューとせばまれていく様な。

 めまいがする。目の焦点が合わない。暗くなっていく。

 真っ暗になった。


     ☆


 次に意識が戻った時、目の前に大きな女の顔があった。

 抱き上げられていた。

 ジタバタする。でも手足がどこにも当たらない。


「ああ、何て可愛くなっちゃって。」

 優子さんは、優しい笑顔を向けてくれていた。

 とても魅力的な、満面の笑みだった。


 もう彼女にすら軽々と持ち上げられる位の大きさでしかない。

 手を自分の顔の前に持っていく。ギリギリ目の前に届く位か。


 腕から手首にかけて、プニプニと段が出来て膨らみ、指も短い。物をギュッと握るのも難しい様な。

「まぁ、可愛いわ、可愛いわ、どうしましょう」

 そんな、どうしましょうって。

 そのまま彼女にギュっと抱きしめられる。

 頬に彼女のすべすべの頬が当たって、とても暖かい。

 

 抵抗しても無駄だ。叩いても何のダメージも与えられない。

 ペチペチとかわいい音がするだけ。

 ひたすら抱きしめられている。


 今後、どうなるのか。家も仕事も車も親も。

 不安要素しかない筈なのに、抱きしめられて、落ち着いてきた。

 安心感があった。

 いいのか? これでいいのか?

 でも、心の奥底で求めていた安心感が、ここにあった。


 そうか。

 今こんなになってまで、彼女を、優子さんを失う事より、俺の全てを失ってでも優子さんと居る事の方が嬉しいと感じているのか。

 しばらく抱きしめられるに任されていたが、不意にまたベッドに寝かされた。


「ゴメンね。もうこれで最後だから」

 え、何? どういうことだ?


 そして、彼女の顔が身体に覆いかぶさってきた。

 そして俺のペニス、というより皮を被ったオチンチンを咥えてきた。


 何で? まだ? というか、出来ないでしょ、一歳児に!?


 でも彼女は俺のオチンチンの皮を剥いて、舌で舐め上げたり唇で咥えた。

 嘘だ、と思いながらも、なせか俺のオチンチンはった。

 こんなに幼くてもつんだ、などと以外に思いながらも事実、俺のオチンチンはっていた。


 口で吸い上げられ、また舌は先の方を舐められている。

 気持ちいい、というよりちょっと痛いが、でも気持ちいい事に変わりはない。


 そして舌の先が、玉筋の裏やら、お尻の穴にまでもてあそばれる。

 し……、知らない快感が背筋を通り抜ける。


 ま、まさか、そんな。

 快感が全身とオチンチンに集中する。


 嘘だぁ。


 快感が頂点に達した。


 オチンチンの先からは、精液ではないだろうが、何か出た。

 それも全部、彼女に吸い出され、飲み込まれた。


 これまでで最も大きく、ドクンと心臓が鳴った。

 とたんに視界も遠のいていった。


 でも意識はなぜか客観的に自分の身体を観察していた。

 まるで自分の身体からちょっと離れたところから、自分を見下ろす感じ。


 さらに小さくなっていく俺の身体。

 身体が、手足が小さくなっていく。

 もはや手はどこにも届かず、ぶらぶら動くだけ。


 そんな手足も動くのが辛くなって、前で縮こまる様に、身体も丸まる体制しか取れなくなっていた。

 もはや新生児から胎児状態になっていた。

 もう完全に目は開かない。


 胎児のさらに小さくなったところに、優子さんは大きく足を開いて中に導いていった。とても巨大な彼女の、彼女の膣の中に俺の全身が入っていった。

 入っていくんだ。ペニスではなく、全身が。


 新生児状態なら困難だったかもしれないが、今の俺はそれよりも小さくなっていたからか、難なく膣口から奥にゆっくりと運ばれて行き、少し広くなった所、おそらく子宮にたどり着いていた。


 そこでも全身はまだまだ小さくなっていく。


 やがて手足は短く小さくなって体の中に消えていき、頭と胴体の区別もつかなくなり、楕円から真円、しかも小さい、とても小さい球になって、やがては1個1個の細胞同士がくっ付いていき、最後には1mmもない1個だけの丸い細胞になった。


 これで、終わりか?


 そう思ったが、その1つだけの細胞がブルブルと震え、細胞の中に管の様なものが出来た。

 同時に真ん中にたくさんの、46本の染色体が一列に並び、半分、23本づつに別れた。

 その管の中に、半分の23本の染色体が収納され、その管は丸い球になり長い尾っぽをつけて、ジタバタする様に細胞膜を抜けて出て行った。


 ああ、あれが精子で、今の自分は卵子なのだなと思う。受精卵から、ただの卵子にまで戻ったのだなと思う。


 卵子である自分から離れ、精子は遠ざかっていく。

 さよなら、俺の片割れの遺伝子。


 とノスタルジーに浸る間もなく、何か周りから圧力を感じた。


 囲まれていた。

 とても大量のプレッシャーの様なものが押し寄せてきた。

 あれは


 あれは、もしかして俺の精子達か!?


 ついさっき、俺がまだ31歳だか21歳だった時に放った大量の精子が、この子宮に残っていて、でも先程までの様に受精卵状態であったらどうにもならなかったが、今の、ただの卵子の状態であればと格好の相手になってしまったのか?


 精子たちは、俺が卵子の状態になるのを待っていたのか、一斉に迫ってきた。


 もし先程出て行った精子が帰ってきて改めて受精すれば、遺伝子的に俺は俺のままで成長していく事も出来ただろう。微妙に育成環境は違うだろうが。

 でも、どう見ても俺の放った精子の方が圧倒的に元気そうだ。抜け出して行った精子は、とてもこの競争に勝ち抜けそうにもない。


 たくさんの精子たちに、つっ突かれ、卵膜に当たって、入って来ようとする。

 徐々に卵膜が溶かされ薄くなっていく。

 遂に1体の精子が中の細胞膜に到達した。

 そうしたら同時に他の精子が中に入ってこれない様、新しい卵膜が形成されて覆われていった。


 中に到達した精子は不要になった尾を切り離し、中の23の染色体を展開させる。

 同時にこちらも、同様に23の染色体で迎え入れ、融合する。

 ある意味、お見合いの様なものだった。


 その23同志が融合した46の染色体が、これから身体の設計図になって人体を形成していくのだろう。

 くっ付いてまた分裂、つまりは卵割の準備をしていくのだろう。

 この46の染色体の内、44本は常染色体で、2本が性染色体という訳であるが・・・・・・


 あれ? この性染色体、ひょっとして両方とも大きい?。つまり片方がY染色体ではなく両方ともX染色体なのか?

 という事はこのまま細胞分裂して成長したら、俺はになってしまうんじゃないのか?


 ちょっと待て、リセットしろ。もう一回チャンスをくれ!

 このままでは、女になってしまう。


 そう思っている間にぶるぶる震えて細胞は最初の分裂をした。1つが2つに。


 待て、待て、待て!

 元に戻せ!


 だが無情にも、2度目の細胞分裂して4つに、また3度目の細胞分裂して8つにと、どんどん分裂が進み、もう数えきれない程の細胞が球体の中と身体の周りを取り囲んでいった。

 例えて言えばサッカーボールの模様の様な。

 ブルーベリーの表面の粒々の様な。

 さらにどんどん1個1個が細かく模様を作っていき、正真正銘の受精卵になってしまった。


 やがてその受精卵は、ゆっくりと移動して子宮の内膜にタッチダウン、つまりは着床した。

 着床してくっつき、受精卵は母体から栄養を貰って、一気に大きくなり始めた。次の段階に成長していった。


 大きくなり、球体からオタマジャクシ状に身体が伸びる。頭になるところに脳が出来る。脊髄が伸びる。頭と胴体がはっきり分かれて、身体の中に心臓が出来て鼓動を打ち始めた。

 同時にその頃からか、もう生殖器の発達が見て分かるようになった。

 既にもうYの染色体を持っていない為に性腺は精巣になる事はなく、つまりは身体の外に出る事もなく、身体の中でそのまま卵巣として発達、子宮の様なものも形作られていった。

 性生殖の発達は、もっと後の段階かと思ったが、ある意味一番最初に作られる器官の一つなんだなと気付かされる。


 通常、胎児として成長するためには十月十日と言われているが、若返りがスピードで行われたように、どんどんスピードで成長していた。

 手足も伸びる。伸びた手足が邪魔だから内側に抱え込む様な体勢になる。

 顔の様なものが出来る。鼻が、口が、耳が、そして目の様なものが出来るが開けられなくてまぶたで閉じられている。


 身体が大きくなる、大きくなる。

 遂には子宮をも圧迫して、とても窮屈になった。

 窮屈になって、手足をバタバタと動かしてみた。

 狭い、狭いよ!


 身体が、全身が圧迫される。

 圧迫されながら、ぬるぬると動く。動いていく。

 絞られるように、ぬるぬると動いていき、もう耐えられない!

 と、思う内に、突然光の中に解放された。


 外に出た! もう何も圧迫されるものは無い! 

 生まれた。今、誕生した!


 まだ目は開けられないが、すぐ横に、優子さんの存在を感じる。


 そう、今ここには産まれたばかりの自分と、優子さんしかいない。

 俺は何の助けも出来ないから、事実上彼女一人しかいない。


 でも凄い事に、なんと優子さんは一人で出産し、クリップ・鋏を使って自力でへその緒を切った様だ。クリップで挟まれた時は、何となく痛い感じはしたが、鋏で切られた時にはもう、そんな痛みは無かった。

 完全に、優子さんと自分を繋ぐものが、切られてしまった。

 不安になった。悲しくなった。


 でも、抱き上げられた。

 大丈夫。自分は一人じゃない。


 事前にお湯とタオルは用意されていたのか、が身体を拭き清められていった。

 優子さんに。

 凄いことに、全てを一人で行っているのか。 

 事前に準備と覚悟をして、今日という日を迎えた、という事だろうか。


 当然自分は何も出来ないから、少し申し訳なく感じるも、仕方ない気もする。

 力を振り絞って目を開ける。

 ちょっと痛い。


 見えるものは、完全に色んな色の光でしかない。

 焦点が合わないから、色の塊で、何かある位しか分からない。


 抱き上げられ、目の前に顔があった。

 あ、分かる。目の前にある顔は、優子さんの顔だ。

 なぜか、これだけはっきり分かる。はっきり見える。


 目の前の優子さんの、その表情には、もはや鬼相の様なものは既に無く、菩薩の様な、本当に母としての穏やかな顔で笑いかけてくれていた。

 最初に会って、惹かれた時と同じ、魅力的な笑顔で。


「ありがとう。ありがとうね。本当に。これで私は本当に母になれたのね」

 詫びなのか、感謝なのか、でもそんな顔を見せられて、恨む気持ちなど微塵も起きなかった。


 暖かい濡れタオルで、頭を背中をきれいに拭われていく。お尻と股間も、そしてその割れ目に沿って丁寧にぬぐわれて、改めて自分が女に生まれてしまった事を実感させられた。

 新生児用の紙おむつを履かされ、おくるみを着せられ、母の腕に抱かれた。


 目の前に、おっぱいがあった。大きな胸の乳首が目の前にあり、夢中で咥えた。母乳を飲んだ。飲まされた。

 ちょっと濃いような甘いような。夢中で飲んだ。

 夢中で飲んで、まるでその成分が全身に回ったかのように、力が漲ってくるようだ。試しに手足を動かす。もどかしい感じだが、自分の意志通りに手足は動いた。

 自分が生きているという事を、実感した。

 

 ちよっとお腹が満たされたのか、口が自然と乳首から離れた。

 そしたら、背中をトンっトンっと叩かれた。

「けふっ」と、小さくゲップをした。

 一息ついたせいか、お腹がいっぱいになったせいか、どっと疲れが出てきた。

 意識がぼぉっとなって、眠くなってきた。


 生まれる迄は急激に大きく成長していった身体も、生まれてからは落ち着いたようで、次に目を覚ました時に大人になっている、などという事はおそらくないだろう。

 この母の娘として、ゆっくり成長していくのだろう。


 でも、本当に疲れた。

 そんな私に、母は自分の顔を優しく見てくれていて、安心して、私の意識も遠くなっていった。

 恨みはない。本当にない。


 今、母と子供の関係になれて、本当に嬉しかった。

 大人同士として、結婚して対等な関係になれたなら、それはそれで素敵だったのだろうけど、未練でもあるけど、今の状態はそれはそれで満足な状態だった。


 今から眠ってしまうのだろうけど、起きた時に必ず優子さんはそばにいる。絶対に離れ離れになんかならない。

 大丈夫だ。


 安心して、目を閉じる。


 おやすなさい。

 大好きだよ……。



 ――― 終わり ―――


以上、健太くんサイドからの物語です。


この後、優子さんサイドからの物語UPします。

健太くんサイドから優子さんは、ほぼ完璧な女性として描かれていますが、

いざ優子さんサイドから見ると、まぁ結構ポンコツで天然なお花畑娘(?)である事が分かります。

良ければ、そのギャップをお楽しみ下さい。

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