お母さんはたとえあなたが悩んでいたって
私は、いわゆる根暗な女の子だ。
昔は優等生だったんだけど、小学校でどんどんと勉強についていけなくなって
でも色々と無駄なことを考えるのがやめられなくなって
学校を休みがちになった。
行ったときも私は保健室に登校する。
そんなある日、机に突っ伏していた私の前に、小さな紫色の幽霊が現れた。
俺、悪魔だよ。お前の弱った心を見つけて、天界から来たんだよ。
お前、そんな風に悩んで人に迷惑をかけてるとな、他の人まで弱らせるぞ。
ふらふらと道路に出て、事故死するかもしれない。
お前のお母さんだってそうだぞ。死んじゃうかもしれないぞ。
だから、悩むのをやめられないようだったら、俺に言えば、楽に魂をとってやるよ。
な、なにいきなり出てきて、変なこと言うのよ。嫌だよ死ぬのは、嫌。
なんで?
私たちは、そうプログラムされてるのよ。理由って理由はないわ。
ふーん。でも自分で死んじまう人もいるんだぜ。
それは、それくらい辛かったからよ。私なんかよりずーっとね。
今にお前も、もっと辛くなる。
私は次の日、そいつと家にいたくなくて、久しぶりに学校に登校した。
保健室に入ると、先生が駆け寄ってくる。
久しぶりだな。まだ悩んでるのか?
あまり悩むと、親御さんが辛がるぞ?
だからもう、やめておきなさい。
ベッドに寝転ぶとまた悪魔が話しかけてきた。
な?人間でもああ言うんだよ。
だから、お前もそろそろ消えちまったらどうだ?
苦しませないから、安心しろよ。
嫌だよ嫌だ。
私はそう言って無理やり眠りについた。
そうしてみた夢は、お母さんが事故死しちゃう夢。
私はたまらずガバリと飛び起きた。
それから私は、泣きながら家に帰って、夜まで泣いた。
本当に自分がお母さんを殺すんじゃないかって、頭から離れなくなった。
そらみたことか。もっと辛くなると言っただろう。
近くの森に行こうぜ。そこで俺が魂をとってやるよ。
。。。そうだね。
私はそれを了承し、家を抜け出して森へと向かった。
森について、適当にうずくまる。
心の準備をしようとしたけど、どうしても踏ん切りがつかなくて、きっと何時間か経った。
そしたら、大人の人たちにライトで照らし出されて、私は見つかってしまった。
俯きながら、家に戻される。
お母さんが泣きながら出迎えてくれた。
その喜びように、私はすごく気になってこんな質問をぶつけた。
お母さん。私が好き?私って、いたほうがいいのかな?
するとお母さんは、鼻を真っ赤にしながらこう答えました。
すごく好き。。。あなたのことを考えるだけで、お母さん、幸せなの。それが例えあなたの悩みのことでも。生きてくれてるなら、幸せなの。だから、いなくならないで。
私はその言葉が嬉しくて。
お母さん、お母さん、私、お母さんを幸せにしてるの?
ええ、そうよ。本当にそうなの。あなたがいるってことで、お母さんは毎日幸せになってるの。それを信じてね。。。
お母さんは娘をきつく抱きしめ、これからも一緒にいると誓い合ったのでした。
一方悪魔はその頃、その母娘の光景を見て。
悩みのことでも、ねえ?
人もいいことを言うようになったもんだ。
そう言われちゃあしょうがない。
俺は消えるとするぜ。
そう言って悪魔は、少し残念そうに天界へと帰っていった、というお話です。