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ゴーストイーター 葦野雁村の惨劇  作者: 榎広知幸
第二幕 事件の影

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42/75

42・AnotherSide セブン・2

 亮介が怪しげな『なつのつばさ』というユーザー名のアカウントに迷った末にDMを送ると、すぐに返信が来た。

 そこにはフリーメールのアドレスが記されている。

 どうやら続きはそこでという事らしい。


 改めてメールを送った亮介は、そこでこのバイトの応募主だという、自らを『GM』と名乗る謎の人物とやり取りを行うことになった。


 応募主のハンドルネームらしき『GM』というのが人名のイニシャルなのか、それとも何かの役職の略称なのかは分からない。

 そもそも使い捨ての名前だろうし、もしそうならその名前に意味すらないのかもと亮介は思う。


 そのGMという人物は素性も明かさないまま、亮介にメールで仕事の契約を迫ってくる。


 さすがに怪しく思った亮介は、本当に指定の額を貰えるのかメールで問いただす。


 すると、すぐに返信が送られてきた。


 そこには「契約に同意し、本名と住所、最寄りの銀行口座を教えて頂ければ、すぐにでも前金は口座振込にてお支払いします」と書かれていた。


 亮介は怪しみつつも、すぐに金を振り込むという言葉に心を動かされる。 

 亮介はすぐにでもガチャを回して、『水着のばしゃガール!』の新キャラである石野宮(いしのみや)みやびを引きたかったのだ。

 

 亮介はもう一度仕事の内容を確認する。


 前金で10万。

 成功報酬で200万。

 勤務地までの交通費と宿泊場所を完備。

 ✘✘県内での、7月下旬頃の仕事と書かれている。

 肝心の仕事の内容については、「ハートフルでドキドキワクワクの、誰でも出来る簡単なお仕事です」としか書かれていない。


 やはり怪しく思ったものの、仕事の怪しさよりもガチャを回したい気持ちが勝り、亮介は相手の話に乗ることにした。


 相手に自分の名前と住所、そして使っている銀行口座の番号を教えると、三日以内に振り込むとの連絡があり、仕事の詳細についてはまた後日メールを送るとあった。


 もし金が振り込まれないようなら警察に通報しようと考えていた亮介は、その二日後、口座に約束通り10万振り込まれていることを確認すると、ガチャが回せるという喜びで相手の怪しさなど忘れ、嬉しさで胸がいっぱいになる。 

 

 早速その金でアプリストアのプリペイドカードを購入した亮介は『水着のばしゃガール!』のガチャを引いた。


 すると、1回引いただけで、なんとお目当てのキャラである石野宮みやびが呆気なく当たったのである。


(うおおお、みやびたん! かわゆすかわゆす!)


 亮介はお目当てのキャラが当たった嬉しさで小躍りするも、ふと思う。


(……こんな呆気なく当たるなら、あの変なバイト、応募しなくても持ち金だけで大丈夫だったんじゃないか……?)


 そうは思うものの、応募してしまったものは仕方がない。


 それよりも亮介にはたった1回のガチャで目当てのキャラが当たった事の方が重要だった。


(たった1回でみやびたんが当たるのなら、他のレアなキャラだって当たるかも知れない……)


 そう考えた亮介は、資金があるのを良いことに気前よくガチャを回しはじめる。

 プリペイドカードをおかわりし、結局口座に振り込まれた10万はあっという間に消えてしまうのだった。

 

 10万をガチャで使い、何人かのレアキャラを手に入れ満足感に浸る亮介。


 その亮介の元に後日、GMから連絡のメールが入る。


 そこには、仕事を行う場所が✘✘県内の葦野雁(あしのがり)村と呼ばれる場所である事と宿泊先となる住所、そしていくつかの注意点が記されていた。


 注意点には、葦野雁村を訪れる際には出来るだけ観光客を思わせる格好で来て欲しいということと、向こうで他の仕事仲間と会話をする際は本名を一切使わず、相手を番号で呼ぶ旨が書かれている。


 ちなみにGMから亮介に与えられた番号は『セブン』。

 『7』だった。


 亮介はメールを読みながら思う。


(本名を明かさず番号で呼び合うとか……やっぱり怪しいバイトじゃ……。でも、セブンってラッキーセブンみたいで縁起いい名前だな。それに相手のGMって人も、すぐに金を振り込んでくれたし、そんな悪い人じゃないかも知れない)


 メールの内容が怪しいという思いは消えなかったが、亮介はそれよりも、このGMって人なら仕事をこなしたら本当に200万くれるかもしれないぞという期待に胸が膨らんでいた。

 目当てのガチャが引けた喜びもあったのかもしれない。


(200万あれば、もっとガチャを引ける……)


 亮介は次第に7月下旬の仕事がどんなものなのか楽しみになり、もはや警察に通報する気は完全に失せてしまっていた。


 この時の亮介はまだ、悪魔の如き企みを胸に秘めた人物と取引し、自身の人生と比較すればほんの僅かといえる金と引き換えに、地獄への片道切符を手にしてしまったのだということに全く気づいていなかったのである……。

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