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第4話 嵌められた女神

 

「なんて酷い状況なのかしら……」

 星々が塵と破片とかして、乱雑に漂っている。

 鼻をつく焦げた匂いだけが残っている。

「で、でも……この魔力の痕跡は……この波長……

 も、もしかして私の神聖魔力?な……何で? あ!?……まさか……」


 ************************


「すみませんね。エルフローラ様。我らの神聖魔力では、到底足りず……」

 毎月毎月、これで5回目。

 魔石で作られている、小さな小屋程もあろうかという、

 巨大な魔力の(ひつ)に、神聖魔力を注ぎ込んでいた。

 第12宇宙の中心付近で、超新星爆発が起き、膨張しているとの事だが、

 広い宇宙の事、一見しただけでは、その様子を確認する事は出来なかった。

 しかし、第12宇宙の神々に、そう頼まれれば、いつもの様に、その魔力を分け与えていた。

「もう後、5回程補充頂ければ、充分な神聖魔力が溜まりますので……

 第12宇宙の中心にこれを配置し、(ひつ)を作動させ、

 魔力の渦を作れば、又、求心力が、戻るはずです……


 ************************


(まさか……あの溜めていた魔力が使われた?何故?

 でも私の魔力だけでは爆発は起きないはず……一体何がおこっているの?)

 全く状況を掴めないエルフローラ。

(考えている余裕はないわ……今直ぐやらければ、手遅れになる……)


 手を合掌させ祈るエルフローラ。その胸が光出す。徐々に広がる眩い光。

 やがてそれが渦を成す。回転し出す星の破片。しだいに集まり元の姿に戻っていく。

 灰すら残っていなかった生き物も、時を戻す様に再生していった。

 エルフローラの祈りは丸一日続き、第12宇宙は、殆ど元の姿を取り戻した。

 エルフローラは、力尽き意識を失う。

「今だ!捕えよ!このチャンスを待っていたんだ!」


 ************************


「エルフローラが、大惨事を引き起こした?何故その様な話になるのだ!

 あの娘こは、ここ数日この聖域から一歩も出てはおらんぞ?

 その様な事を、あの心優しいエルフローラがする訳なかろう?

 今朝は、多くの生命の消滅を感じ、寝込んでおったのだぞ?」

「魔力の痕跡ですよ。破壊された現場の、あの魔力の波長は、

 間違いなくエルフローラの神聖魔力」

「な……なんじゃと?

 バカを言うな、エルフローラの神聖魔力の痕跡だと?

 ええい!もうよい。わし自ら確認する。わしもエルフローラの後を追う」

「お待ちなさい。エルフローラは、どういうつもりか分かりませんが、

 本当に、第12宇宙を再生を試みている様です。

 今は邪魔をせず、見守りましょう。

 再生が完了した時、参れば宜しいではありませんか」


 ************************


「今だ!捕えよ!このチャンスを待っていたんだ!」

「ちょっと待て!チャンスだと?お前達何を(たくら)んでおるのじゃ?」

「そうですな…… エルフローラが、この大惨事に関わった事は、

 貴方方にもお分かり頂けますでしょう?」

「確かに……この魔力の痕跡、この波長は間違いなくエルフローラのものじゃ。

 だからと言ってエルフローラが、この大惨事に関わったとは言い切れまい。

 だいたい、エルフローラにとって、

 特別関わりのない、第12宇宙を破壊する事に何の意味がある?

 そう言えば、ここの所、第12宇宙のお主らに神聖魔力を分け与えておったな?

 溜めておると聞いていたが、それはどうした?

 それを誰かが使って大惨事を引き起こしたのではないのか?」

「ふふふ……もういいでしょう……

 茶番は終わりです。この(むすめ)を素直に引き渡すか……

 我々全宇宙の神々と敵対するか、今直ぐ決めて下さい」

「……そう言う事か……お前達はエルフローラの桁外れな力を恐れるばかりに、

 大きな間違えを犯してしまったんじゃの?

 エルフローラが、第12宇宙を再生しなければ、大きな犠牲が出たのだぞ?

 見守らねばならん自らの宇宙で、よくもそんな事が出来たものだ……

 間違っても神のする事ではない」

「エルフローラが、見かねてこうする事は、織り込み済みですよ?」

「……で、この()をどうするつもりなのじゃ?」

「あれ程の神聖魔力に守られているエルフローラを、処するのは難しいでしょうな?

 でも、神聖魔力を使い果たした今ならどうでしょう?おい!お前達!」

「ま、待て!」



 〝ガンガンガン‼︎ドシュドシュドシュ‼︎ドッカンドッカンドッカン‼︎〟

 容赦のない一斉攻撃が、気を失い無抵抗のエルフローラに降りかかる。

「……なんと言う事を……ザルサール、お前達に、神を名乗る資格は無い……」


 立ち込めた煙が晴れてくると、光に包まれたエルフローラが見えてくる。

「な、なんだと‼︎ここまでしても無傷だというのか?……」

「よく見るのだ……透けておろう?あれはもうエルフローラの身体ではない……

 あの()の心……その魂の姿じゃ。残った僅かな神聖魔力が魂だけは守ったのじゃな。

 あれは、わしが連れて帰る……」

「勝手な事を抜かすな……あれは我らが封印す…………な、なんだ?……」

 第1宇宙の創造神の周りに、黒紫色の殺気が纏わりついていた。


「勘違いするでない。これはお願いでは無い。わしをこれ以上怒らせるな……」

 さすがは原初の創造神……この創造神も又、規格外であるようだ。

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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