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第16話 私を切ってみて

「姉上!あそこ!なんか変ですよ?あの服装に杖……

 あの姿は、魔導士ですよね?あんなに大勢……大丈夫でしょうか?」

「大丈夫よ。まあ、見てなさい」



 〝ド〜ン!ド〜ン!ド〜ン!ドドド〜〜ン!〟

「人目も気にせず、派手に始めたわね」

「結界は、本当に大丈夫でしょうか?」

「フフ……全然よ?見て、結界に魔法が跳ね帰って、光って綺麗よ?」

「は……花火みたいですね……」

「そうよね?夜だったら、もっと綺麗だったのに……残念」

「呆れる位、余裕ですね。姉上」

「アンカー、姉呼びが、板についてきたじゃない」

「はい……実の兄弟よりも、ずっと親しみを感じます……

 エスティア王国に、一緒について行きたいです」

「ごめんねアンカー……この国には貴方が必要よ?

 帝国の民の為に、もう少しだけ頑張って。少しだけで大丈夫だからね」

「はい。そうですよね……分かっています」


「ねえ、アンカー。1匹ずつって言った、この子達なんだけど……

 2匹とも、少しだけ預からせてもらえない?」

「構いませんが……どうかされたのですか?」

「この子達すごく優秀みたいよ?少し訓練させてちょうだい。

 必ず貴方の助けになると思うの」

「そうですか、分かりました。好きなだけお預かり下さい」

「う〜〜ん……そうね、ほんの10日程で良いと思うわよ」

「あっ、それでは、10日もしたら皆さんに、又お会いできるのですね?」

「やだアンカー……可愛いこと言うわね。

 ここに1人置いてくのが、嫌になるじゃない……」

(エル姉……私の……になる人なんだからね)

(やだ分かってるわよ〜私にはマックスがいるんだから……)

「あの?何か?」

「ううん、なんでもないわよ。それじゃあそろそろ、城下に降りましょうか?

 次は、街中の賑わってる所に行ってみたいわ」

「じょ……城下ですか?大丈夫でしょうか?帰った方が良いんじゃないですか?」

「だって未だお昼よ?楽しいのは、未だこれからじゃない?

 それに、城内の方が危ないかもよ?」

「この状況にも拘らず、何の障害も無いかのようですね、姉上は……」

「何の障害も無いわよ?私の家族の命を狙った事、後悔させてあげるわ……」

「やるのですね?」

「やるわよ?アンカー。貴方も、それで良い?」

「もちろんです。私も最後までやる覚悟が出来ました」

「頼もしいわね。それでこそ私の弟。

 それでね、さっきの花火見て思いついた事があるのよ?」

「ハハハ……あれ、花火じゃ無いですけどね?

 で、何を思いついたのですか?」

「こっちに来て、貴方の手を握らせて?」

 エルフィナがアンカーの手を握り、魔力を流し込む。

 眩い光に包まれ、アンカーの身体が薄っすら光出す。

 間も無くして、その輝きは静かに消えた。


「アンカー、腕を出してみて」

「腕?ですか?」

「そうよ。で、マックス、アンカーの腕を、貴方の剣で切りつけてみて」

「何言ってんだ?これでも、俺の剣技は、王国で並ぶものが居ない程なんだぞ?

 そんな事したら、簡単に腕が落ちるぞ」

「良いからやって!ああ……でも、全力で切りつけたらダメよ?」

「いや、本気じゃなくてもさ〜。アンカーに何かしたのは分かるけど、危な過ぎるだろ?」

「違う、本気でやったら危ないのは、貴方のほうよ?マックス」

 はあ?どう言う事だ?」

「あの結界と同様なものを、アンカーの身体の表面に貼ってみたの。

 思いっきり切りつけたら、弾かれた反動で、むしろ貴方が怪我するわよ?」

「本当に大丈夫なのか?」

「当たり前でしょ?大事な弟に、怪我させる様な事させる訳ないじゃない」

「エル姉。念の為、何か他のもので試してみたら?たとえばこの花瓶とか?」

「それもそうね……じゃあ、私自身に結界を貼ってみるから、私を切ってみて」

「お前に切り付けるなんて、天地がひっくり返っても出来んわ」

「姉上を信じてますから、どうぞこの手を切ってみて下さい」


「んん〜ん……もう良いわ。えいっ!」

 〝パッキ〜〜ン!〟

 エルフィナは自分に結界を貼り、その光が収まると、

 マックスの鞘から剣を抜き去り、自らの腕にその剣を叩きつける。

「お、お前何を……だ、大丈夫……なのか?」

「ほらこの通り」

「この通りって……お前、かなりの勢いで、剣を振り落としたじゃないか……」

「効果絶大でしょ?」

「姉上、こんな危険な事はもうおやめ下さい。

 驚いて、心臓が止まるかと思いました。

 お願いですから、危ない事には、私を使って下さい」

「もう……アンカーてば……可愛い事、言ってくれるわね……ありがとう……」

「それにしても、凄い効果だな?当たった衝撃の痛みも無いのか?」

「全然よ?」

「マジか?凄いな……その結界、どれ位の時間持続するんだ?」

「さあ?」

「〝さあ?〝って……持続時間、分からないのか?」

「初めて使う魔法だからね。多分だけど……私が解除しない限り半永久的?」

「何故疑問形? それにしても、それがはっきりしないとまずいな。

 俺達が帰国したら、アンカーとは離れてるから、対応出来ないぞ?」

「大丈夫よ?私にかけた結界が切れたら、

 アンカーの元に、飛んで来てかけ直すわ。持続時間は大体同じでしょ?

 当然貴方達2人にも貼るから、誰か1人でも切れたら……ね?」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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