表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/67

第12話 神の愛し子

「うわっ!キモ……」「す、すげ〜な?オークとのハーフとか?」「うげっ!」

「お姉様、あれやってるの?認識阻害魔法……それは出来る様になったんだ?」

「あれ?メアリーには醜く見えてないの?魔法上手く出来てない?」

「俺にも、いつもの綺麗なエルフィーだぞ?

 でも周りの反応は……これ見る限り失敗は、してないだろ」

「自分がずっと掛かってたからなのか、

 認識阻害は簡単に出来る様になったのよ?

 でもこれ、精神に干渉するからか、

 やっぱり人によって見え方違うのね?

 上辺だけしか見えていない人には、効果てきめんね」

「でもそれ王城行ったら、やっちゃダメよ?エル姉」

「うん分かってるわ……あれ?エル姉?良いわね?これからはそう呼んで?」

「マックスばっかりエルフィーとか呼ぶんだもん……私だって……」

「俺は呼び捨てかよ?」

「ダメ?エル姉だって呼び捨てだから……

 正式な席では、勿論〝マックス王子〟って呼ぶわよ」

「いや良いよ。メアリーはもう俺にとっても、もう妹だからな」

「〝メアリー〟は、止めて下さい。

 そう呼んで良いのはエル姉だけですから」

「えっ?ダメ?兄貴だぞ?俺は……」

「フフフ……ウソウソ、冗談。〝メアリー〟で良いわよ?マック兄」

 この3人の絆は、確実に深まっている。



「どうだ?エルフィナ嬢?其方(そなた)王妃(おうひ)で、メアリナ嬢が、側妃(そくひ)

 良い話ではないか?姉妹ずっと一緒にいられるぞ?」

(やっぱり理不尽なゴリ押し?ごめんメアリー……

 大人しくしてるのは無理みたい)

(やっちゃえ、エル姉)

「ん?どうした?姉妹でコソコソ……

 ウグウグウグッ……ウグウグウグッ」

「どうしたんだ?兄上」

「ウグウグウグッ……」

「ま、まさか……き、貴様、兄上に何かしたのか?

 王宮のこんな場所で魔法を使うとは、覚悟は出来て…………

 ウグウグウグッ……ウグウグウグッ」

「エルフィナ嬢。これは其方が?」

「申し訳ありません。ブライアン帝王陛下……

 それが……よく分からないのですが……

 この話……余り聞きたくないな〜?

 そう思ってしまうと、この様な事になる事が何度か……

 まだ上手く能力を制御出来ておりませんで……」

「ふざけた事を申すな……

 自分や自分の国の立場を分かっておらん様だな?」


 〝gooooooo…………gtagtagata……〟

「「「「じ……地震だ〜〜でかいぞ!!」」」」


 〝立場を分かっておらんのは、お前達……〟

 お腹に響く、低く重い声が天から届く。

 〝その(むすめ)は、我が愛し子……お前達、国ごと滅びたい様じゃな?〟

 気付けば、足元は雲の中の様に白い雲谷(もや)が漂っていた。

「「「「め、滅相もございません……」」」」

 全員、天から聞こえる声に平伏していた。


 メアリナにウインクするエルフィナ。

(フフフ……私の声よ……)

(え?全然違う……声色を変えてるの?

 どうやって地を這うような低い声出してるの?)

(ううん。声の聞こえ方を変えたの……

 認識阻害の応用よ?上手でしょ?)

(プププッ……認識阻害の応用?

 そんなのばっかり出来る様になって……)

「あっ!エルフィナお姉様!そ、外を見て!」

「あっ……これは地震じゃなくて、城が宙に浮いていたの?」

(認識阻害は得意よ?)

「プププッ……お前ら芝居が下手……」

「し〜〜……」

「あああぁぁぁ〜〜…………お、お許しを〜〜……」

 笑いを堪えるのに必死で顔を真っ赤にして、脂汗をかいているマックス。


 〝ズシ〜〜ン……!〟

「あら?無事に着地した様ね?」

「あ、アレックス皇太子殿下。

 私達の婚約も白紙という事で……宜しいでしょうか?」

「コクコクコク……」

「プゥゥ〜〜」

「マックス、し〜〜……プププ……」

「自分だって……」

「皆んな、狼狽(うろたえ)まくってるから大丈夫よ?エル姉」



「あ〜〜スッキリした〜〜!!」

「婚約破棄して良かったの?

 なんて聞くまでもないわね?あのバカ皇子……

 側妃だって?どこかのバカ王子といい勝負よ」

「俺じゃないよな?」

「……バカ……そんなのと婚約するわけないでしょ?」


「あ…あの……申し訳ございませんでした」

「?どちら様で?……」

「帝国の第3王子アンカーです。末席で一部始終見ておりました……

 私の家族は……お恥ずかしい……本当に失礼いたしました。

 一言おわびをしなくては……そう思いまして……

 それだけ言いたくて……それでは私は、これで失礼いたします」

「あ……あの?それだけで?……こう言っては失礼だと思いますが、

 まともな方もおられるのですね?貴方おいくつですか?」

「メアリーと、同じだよな?アンカー」

「あれ?知ってるのマックス?」

「ああ、学園でな?」

「メアリナ様は、私と同い年なのですか?」

「そうだよ。お前達2人は、俺達の一つ下な。

 なあ、アンカー。どこかいい宿ないか?

 俺、学園の外は、あんまり出歩かなかったろ?詳しくなくてな。

 せっかく来たんだから、とんぼ返りもなんだろ?」

「景色が良かったり、食事が美味しい宿は、有るのですが、

 どこも安全だとは言いきれませんよ?

 まあ、神の御加護の有る皆さんには、

 問題無いのかもしれませんが……

 でも良ろしかったら、私の所にいらして下さい」

「いや、王城は……」

「私の所は、離宮ですから。城壁の中ではありますが……

 あの人達と顔を合わせる事は無いと思いますよ」

「どうする?」

「突然伺っても宜しいのですか?」

「ええ、大したおもてなしは出来ませんけどね」

「そんじゃあ頼むよ、アンカー」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ