40 奇跡を望むなら‥‥
聖剣クトネリシカの光りは消えた。
しかし、全てを消滅させた訳ではなかった。
そこには、白魔女となったジャンヌがいた。
それを見たソーニャ王女が言った。
「誰に対しても優しいのですね。そういうところが大好きです」
自分の変身に大変驚いたジャンヌは浮遊していた空中で意識を失い、そして落ちてきた。
地上では、他の3人の姉妹弟子、ランダ、マリ、アリスの3人が共同で彼女をキャッチした。
大魔法師マーリンが言った。
「神宮悟様。ほんとうにほんとうに、ありがとうございました。あなたと、あなたが心の底から愛する風香様に幸せな未来が訪れますように――いや、訪れますね」
聖剣クトネリシカがまばゆく輝いた。
それは戦いの光りではなく、あたたかな優しい光りだった。
そして、その光りは神宮悟と風香の2人を包んだ。
天から割れんばかりの大きな声が響いた。
「運命は変った。我は2人の願いを聞き届けた」
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
「えっ! 」
神宮悟は座っていた。
病院の手術室の前の待合スペース。
彼は結婚式で着ていたタキシードを着ていた。
「夢を見ていたような? 教会から外に出て、ライシャワーのお米が天使になって? 」
すると、ガチャガチャと手術室の扉が開く音がした。
ストレッチャーが出てきた。
(終わったんだ、結果は、結果は‥‥ こういう時こそ落ち着かなくては)
やがて、ストレッチャーが彼の前を通った。
(見えた)
酸素吸入器を付けられた風香が彼の前を通り過ぎた。
手術着のままの執刀医が、彼の前で立ち止まった。
マスクなどで顔のほとんどが覆われていたが、両目が明るく微笑んでいるのがわかった。
「奇跡です。何もかもうまく行きました。別室で詳細な説明をします」
「ありがとうごさいました。説明は不要です」
それを聞くと、執刀医は微笑んだまま、手でVサインを作った。
そして過ぎて行った。
「Vサイン、先生は昭和かな‥‥ 」
そう言うと、彼は大変な疲労を感じた。
そして彼はその場で眠り込んでしまった。
1週間後、神宮風香は集中監視室から病室に移された。
そして数日後、面会が許された。
トントン
風香の病室の扉を誰かが叩いた。
「どうぞ」
窓を開けた入ってきたのは悟だった。
「騎士カイロスさん。13の呪いの解呪、お疲れ様でした」
悟はベッド脇まで近づき、そこでひざまずいた。
「ソーニャ王女様。お体の調子はどうですか」
「最悪ですよ。大きな傷があるお腹が物すごく痛いのです」
「治癒魔法は使えないのですね」
「はい、残念ながら」
「奇跡でした」
「奇跡でしたね」
「前をしっかり見てほんとうによかった」
「はい。私も前をしっかり見ました。あなたの背中がすぐ前に見える未来でしたけど‥‥ 」
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