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【ウエディング異世界転生】~2人は幸せを目指し異世界で魔女の呪いと戦う  作者: ゆきちゃん
第3章 大魔法師の4人の弟子は黒魔女となり呪いをかけた
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37 第1の魔女ジャンヌ

 暗闇の絶対神に忠誠を誓う、第1の魔女となったジャンヌは、極貧の家に生まれた。


 父親は木こりで、毎日深い山の中に入り材木を街に運搬して売っていた。


 ただ、山々は大金持ちの貴族の持ち物だった。


 そのため、多くの使用料を支払わなければならないため、収入が手元にはほとんど残らなかった。


 母親はお針子で、服屋の下請けを細々と請け負っていた。


 家は山の中にある丸太小屋、毎日、街の方まで長い距離を歩き、学校に通っていた。




 ある日、街の学校の教室で授業が行われていた。


 先生が聞いた。


「この問題わかる人、手を挙げてください」


 誰も手を挙げなかった。


 1人を除き、ほんとうに問題がわからない生徒ばかりだった。


 先生がある生徒を指名した。


「ジャンヌ。遠慮しなくても良いのよ、あなたにはわかってますね」


「いいえ」


「わかっているはずよ。他の子達に何か遠慮しているの」


「いいえ、ほんとうにわかりません」


「ジャンヌ。嘘をつく必要はないわ。神も嘘をつくのはお許しにならない」


「‥‥‥‥ 応えは○○です」


「そう、正解よ」




 その日、学校が終わった後のことだった。


 彼女が歩いて家に帰ろうとすると、回りに男の子達が集まり、意地悪をしにきた。


 男の子達は貴族の子供をボスとして、街の裕福な商人達の子供達が取り巻いていた。


「ジャンヌ、お前生意気だぞ。1人だけ正解するなんて、貧乏人のくせに偉そうにするな」


「私は先生に聞かれたから応えただけよ」


「先生に聞かれたからと言って、貧乏人は黙っておくんだよ」


「なんで、そうしなければならないの」


「世の中の常識だ。身分や財産で知識の多さは決まるんだ。なにしろ貧乏人はバカじゃなくてはいけない」


「それはおかしいわ。誰でも努力して勉強すればいろいろなことを覚えることができるはず。ほんとうは、身分や財産もずっと変らない方がほんとうにおかしいわ。特に貴族!! 」


 ジャンヌの言葉はとてもしっかりしていて、理屈が通っていた。


 ボスである貴族の子供は実力行使に出るしかないと思った。


 それで、子分である街の裕福な商人達の子供達をたきつけた。


「この女、貧民らしくない。貧民らしく泥だらけにしてやれ」




 子供といえども、身分の高い立場は絶対的な力を持っていた。


 商人達の子供達は争うように泥団子を作り、ジャンヌに向かって投げ始めた。


 泥団子は彼女の体中に当たり、彼女は泥だらけになるとともに傷も多く作った。


「こんなことして! 」


 調度、その様子を学校の先生が見ていた。


「あんたたち、何してるの止めなさい」


 さすがに先生に見つかったことで驚いて、男の子達は逃げようとした。


 しかし、


「逃げるな! 」


 ジャンヌがつぶやくと、それは普通の言葉ではなく、魔法の詠唱に極限まで近づいた。


 男の子達の体は凍り付いたように動けなくなった。


「え――ん 動けないよ―― 」


 男の子達はパニックになった。




 大魔法師マーリンが話しを続けた。


「魔法のことは何も知らなかったジャンヌでしたが、この時、元々もっていた素質だけで無意識に魔法を発動させたのです。これ以降、彼女にたいするいじめはなくなりました」


「そうすると、ジャンヌは魔法師としての適正があったということでしょうか」


「はい。ですから、回りの人が推薦して、私が行った弟子の選抜試験に加わったのでしょう。あの娘は最初から少し変っていました。身分や財産で受け続けた差別が、心に暗闇を作っていたのです」


「暗闇ですか? 」


「そうです。誤った考え方だとは思いますが、暗闇の中に何よりも強い絶対的な力を求めたのです。暗闇を求めた彼女は最終的に気づいてしまいました。疫病の力を」


「疫病を」




 数百年前、ロメル王国全土で史上最悪な疫病が蔓延した。


 たくさんの死者が出た。


 大魔法師マーリンは4人の弟子とともに国中を飛び回り、治癒魔法で王国のために全力で働いた。


 しかし、ねずみ算式にあっという間に広がる疫病には、とても太刀打ちができなかった。




 疫病の脅威は、彼女の故郷でも同じだった。


 大魔法師マーリンと4人の弟子が駆けつけた時、もう手遅れのようだった。


 かって、彼女が通った学校の運動場に、たくさんの死体が安置されていた。


 その光景を見た時、彼女は呆然自失となった。


「お父さん、お母さん、ここに来るのが遅くなり申し訳ありません」


 大魔法師マーリンが慰めた。


「ジャンヌ。まだお前の両親がこの中にいるとは決まっていないよ」


「いえいえお師匠様、この人数の人々が死んだということは、この近辺の人々が全て死んだと言うことです」


 その時だった。


「ジャンヌ!! 帰って来たんだな。生きてまた会えとは思っていなかった」


 彼女が振り向くと、そこには元気そうな彼女の父親と母親がいた。私達は街の中に住むことができず、深い山の中に孤立して住んでいただろう。だから、疫病が伝染しなかった。


「お父さん、お母さん、よかった!! でもなんで!! 」


「疫病にならなかった理由ならば、私達の貧困さ。 私達は街の中に住むことができず、深い山の中に孤立して住んでいただろう。だから、疫病が伝染しなかったんだ」


 喜びに満ちあふれたジャンヌは、何気なく寝かされている死体の群れを眺めた。


 すると、かって、身分と財産のことで彼女をいじめた男の子達もそこに横たわっていた。


 その時、一瞬、ジャンヌがつぶやいた言葉を大魔法師マーリンは今でも覚えていた。


「ありがとう疫病。大好き。人に対して平等で強いのね」




 大魔法師マーリンは、とても険しい顔で騎士カイロスを見つめていた。


「それからジャンヌは暗闇を目指す魔術、ひいては黒魔術に系統していきました。すぐに暗闇に飲み込まれ、強い黒魔術を行使できることを目指しました。最後に彼女は私の元を去り‥‥ 」


「暗闇の絶対神の元へ。そして、血よりも濃い契約を結んで黒魔女になったのですね」


「ある意味で、第1の魔女ジャンヌは疫病に魅せられ、疫病のことを最も良く知る黒魔女と言っても良いのです」


「だけど、私とソーニャ王女は戦いを止めるわけにはいきません。それに私達の戦いの最大の的は彼女に巣くった不治の病なのです。だから絶対に負けません――負ける訳にはいきません」






 




 

お読みいただき心より感謝申しわげます。

皆様の休日を少しでも充実できれば、とても、うれしいです。


もしお気に召しましたら、ブックマーク、重ねて御評価いただけると作者の大変な励みになります。

よろしくお願い致します。





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