益々俺の頭の中が混乱する
此の歳の女性が今もそう呼ぶものなのか?
オイオイ今の聞き違えじゃ無いよな…。
「今ママって言ったよな…、寝言だろうけど若しかして今もそう呼んでるのか?、此の歳の女性が今もそう呼ぶものなのか?」
「ママ、みすみはね~、弟が良いな~」
聞く気を持って無いと聞き取れない位小さな声で言葉が続いてる。
「あのね、おともだちのカナちゃんちの弟のトシキくんがかわいいの!、だからみすみも弟がいい!…」
そう言う事か小さい頃の夢見てるんだ、幼い言葉使いで弟の良さの熱弁を綴ってる、此の事は聴かなかった事にするか…、聞いたって言うときっと忘れなさいって怒られそうだよな…、そうか弟が居るんだ…、ずっとお姉ちゃんをしてるんだだからこんなに俺に構ってるんだ…。
「お外が暗くなっても怖く無いもん、ちゃんとお留守番出来るよ、こんど一年生になるんだもん、二人なら淋しくないもん!」
また生欠伸が出るそろそろ俺も限界だな、美澄の声も止まったし良い夢見れそうだ…。
「おやす…」
寝顔に声を掛けようと美澄の顔を見てそう言いかけ言葉が止まる…、可愛い顔が歪んでる、幾筋か零れ始め俺の袖を濡らしてる、体温と同じ温かい物だから気付かなかった…。
「ママ…、何で赤ちゃんいなくなっちゃったの…、みすみはマサキ君てお名前も決めてたんだよ!、お姉ちゃんになるっていったんだよ!」
一寸待て、一寸待てよ!、今の良い流れが何でこうなるんだ?
「ママのバカ!、何で転んじゃったのよ!、ママのせいでマサキ君いなくなっちゃたんじゃないの!、いっぱいいっぱい遊んで上げるってお世話してあげるってお話して上げたのに!」
嗚咽しながら泣いてる、如何すれば良いのか判らず頭を撫でて上げるしか出来ない、どれ位の時間が過ぎたんだろう、短い気もするがとても長い時間だった気もする、何度も何度も撫でて居る内に嘔吐いてるが泣き止んでる。
「ママごめんなさい、みすみはね良い子にしてるからそしたらまたマサキ君来てくれるんだよね?、ずっと良い子で待ってるからね?、ちゃんとお姉ちゃんになるから!」
其の時の情景が浮かぶ…、母親にこうして頭を撫でて貰って諭されたんだろうな、良い子にしてたらまた弟が来て呉れるって言われ乍ら…。
聞きたく無かったな此の事は…、此の先も弟の幻影と重ねて見られて行くんだろう、今アパートで一人暮らしして実家は隣の県で暮らしてるって、そうだ兄弟は居ないって言ってた筈だ、何で一緒に暮らして無いかと聞いた時<親元じゃ何時まで経っても自立出来無いでしょ♥>って笑って答えてたんだ。
親元離れて一人暮らしの俺の事を偉い偉いって頭撫でて居たんだ、<彼氏見たいな弟>と言った事も其れが今全部繋がった気がする、聴きたく無かったな此の事は…。
「・・・・・・」
「今の言葉聞き違いじゃ無いのか?」
今の一言で益々俺の頭の中が混乱している、俺如何すりゃ良いんだ?…。
俺如何すりゃ良いんだ?…




