日本語→日本語翻訳! Part2 ③ 日本語ってホントに難しい…
オイルを垂らすバイクが横たわる…
「判りました!、エンジン割るって楽しみです!」
「分解りゃ直ぐに解るさ、じゃあ13時に!」
吹け上りの悪い音を立て走って行く奴を見送る、此の先には暫く向かいたく無かったが行くしか無いよな、其の方角を見て本当に胸が痛むもう終わった事なんだけどな…。
気が重く出かける気は起きないが今回の件と奴は無関係、約束しちまったから行くしか無いか、売れ残りを腹に流し込みシャワーを浴び気持ちを切り替える、汚しても良さそうな服を羽織り、工具の入ったディバックを背負ってキーとメットを手にドアを開けバイクに跨る。
「ハンドル握ると落ち着くな…」
暖気を終え走り出しバイト先のコンビニを通過し北へ向かう、踏切を越え何時もなら直進する交差点を右折、少し進むと奴が立って手招きしてる。
「あっ来ましたね~、こっちです!」
手招きされ奴の家の下にあるガレージに到着、確かに俺は奴にそう言った、間違い無い。
「時間有ったんで先に始めてました!」
日本語は確かに難しい、目の前に広がる光景に言葉を失った、其処には金鎚でヘッドを割られオイルを垂らすバイクが横たわる。
信じられない事が有るものだ。
「俺は、エンジン分解ると言ったよな?」
「はい、だから先に割って置きました!」
なんと日本語とは難しいのだろう、恐ろしい事が在るものだと天を仰いだ…。
「本当にエンジン割ってしまう奴が此の世に居るんだな…」
俺はエンジンを分解する事を伝えた筈なんだ、でも胡桃を割る様にエンジンを割ってしまう者が此の世に存在するとは。
<嗚呼~世の中って広いんだ~!>現実逃避してしまった。
「おお神よ、彷徨えるバイクの御霊を導き給え、アーメン」
嗚呼今までの重厚さは全て消えてしまった。まあ元々無いか!
<信じられないですか?、でも此れ事実です!>
『馬鹿かお前は!』
「へっ?」
「だから、ば・か・か・お・ま・え・は・?」
我慢の限界を超え奴の頭を拳でぐりぐりと抑え付けていた。
「何なんですか~」
「だ・れ・が・こ・わ・せ・と・い・っ・た・!」
「エンジン割るって言ったじゃ無いですか!」
今コイツに説明するだけ時間の無駄だ!、今は急がなきゃ暗く為る迄に帰らないと組みあがらんぞ。
「良いからキーを貸せ!」
「付いてますよ~」
奴は横たわるバイクを指さすが・・・
「そいつじゃない!、アイツのだ急げ!」
奥に停まるHONDAのV型4気筒を指さす、訳が分からず差し出されたキーを受け取りエンジンを掛ける.。
「お前もケツに乗れ!」
「何処に行くんですか!」
「そいつの部品を探しに行く!」
「判りました!」
奴をケツに乗せ16号外回りへ、電動モーターの様に廻るエンジンに右手はスロットルに全開呉れた。
ポコポコポコポコ・・・・。
可愛い音を発て横型エンジンが廻っている。
ポロロロンッ!
素直に吹け上る。
すっ飛んで行った甲斐が有った、千葉市外れの解体屋三件目で同型の廃車からチェーンガイドとテンショナースプリングとヘッドカバーを入手し組み上げ異音も消えた。
「じゃあ帰るな!」
「お袋が飯食べてけって言ってますけど?」
「俺は今夜もバイトだからまた今度な!」
奴の家を後にして交差点を左折せずに右折した。
帰りとは反対へ右折した。