変わらない風景
ルーティンワーク
「いらっしゃいませ!」
店内に響く俺の声、今日は火曜日の深夜のバイトが忙しい時間をスタートしたばかり、見知ったお客様が次々来店され商品を持たれレジに並ばれる、読み上げてテンキーを打ち、袋に入れ代金をお預かりし御釣りを手渡す。
此れも何時も通り何も変わらぬ風景、来店される御客様もご存知の方ばかり、そう何も変わらない風景と変らぬ方々、行う事も同じなのに何か違って見える。
「ありがとうございました!」
「いらっしゃいませ!」
「お預かりいたします!」
何も変わらぬ筈なのにおかしなものだな…、ルーテインワークだと言えばその通りなんだがな…。淡々と熟して行く何時も通りに…、残られているのは後一名。
「お願いしますね♥」
何時も通り…。
「お預かりいたします!」
「ハイッ♥」
商品を受け取り金額を読み上げ、キーを打ち袋に入れる。
「以上4点で680円に為ります!」
「ハイ、此れでお願いします。」
「お預かりします!」
「何か嫌な事でも有ったんですか?」
「ハイッ?」
出されたお札を受け取る時に切り出される、そんな顔してたのだろうか何時も通りにして居た心算なんだが?。
「こちら320円の御返しです、あの私何か失礼な事致しましたか?」
「ううん、そんな事無いけど無理して笑ってる気がしたの?」
御客様に気付かれるとは情けないな。
「そうでしたか申し訳ないですね、夕べ遠出して粗一晩中走ってたんで…、疲れてるんですかね?、元気な心算だったんですが・・・。」
「そうなの?、其れじゃ仕事終わったらシッカリ寝ないとだね!」
(*^-^*)
「お気遣い有難う御座います!」
「其れじゃね!」
(^.^)/~~~
「有難う御座いました、お休みなさい!」
手を振り帰られる御客様を見送った、此の時間最後のお客様、何時もはもう少し早く帰られるんだが、購入されたのも何時もと変らない物だったよな?、若しかして声掛ける為に此の時間まで居られたのか?。
「まさかな?、でも情けない処を見られちゃったな・・・。」
声に出して仕舞ってる、確かにショックだったのは間違い無い、でも何故か胸の鈍い痛みが消えている、若しかしてホッとしてるのか俺・・・。
勿論心当たりは有る、如何やって美澄に切り出そうか、如何やったら理解して貰えるのか?、それをずっと考えてた、もし理解して貰えなかったら如何すれば良いのか?、反対されても強引に仕事に就くのか?、そうすれば何時も美澄が・・・。
今考える事じゃ無いよな・・・、其の後連絡も無いから拗れてるのか?、其れとも元の鞘に収まったと言う事なのかもしれないな、如何したって今此処で考えてても始まらない!。
配送のトラックが駐車場に停まる、さてお仕事の開始だ!。
「お早う御座います!」
「お疲れ様です!」
パートのおばさん登場、今日も残り僅か二台目のレジチェックももう終わり、今回もレジマイナス無し無事にバイトが終了。
「ねぇ!、この間の娘は彼女なんでしょ?」
「そうなら良いんですけどね~、ハハハッ!」
┐(´д`)┌
ドアを開けて一目散に逃げ出した、捕まると長いからハハハ…。
ハハハ、長いからね~
(¯―¯٥)