助け舟!
助かった!
絶好のタイミングで助け船が現れる、アパートの住人に感謝!
「車を他の住人が出せない処に停めてません?」
「アッ!、車何時もの所に停めて来るから少し待っててくれ美澄!」
そう言い残して玄関を出て行った、そう絶好のタイミングだ此れで美澄と話が出来る。
「美澄?、美澄って!」
「マー坊…、あたし如何すれば良いの?」
「良いのって?・・・・、あゝそう言う事ですか…」
「マー坊何の事?」
「何の事って…」
そうか自分で言った言葉に気付いて無いのか…。
普段と全く違う表情、自分で決めた事に自信を持って行動してる時とは全くの別人、ホンットに最悪なタイミングで最悪な人間の登場か…。
もし今日晴れて居れば…、あの海に向かってたら何か変わったのだろうか?、こんな選択肢が現れなかったんだろうか?、とは言っても起きた事は変えられないし最善な選択をしないと為らない。
こんな急に展開が変わり俺自身も混乱してる、此の儘此の女性を搔っ攫って行っちまおうか!、取り敢えず公的な登録住所は移動せず暫く放置…、是には暫く立寄らず車も置いて置けば野郎も何時迄も見張りしてる訳にも行かないだろう、軽トラ借りて平日の日中、野郎が仕事してる間に荷を持ち出してアパートも解約し、今迄通り俺の家で暮らしたら…。
叩いても軽い音しかしない俺の頭の中で最善策を探したが或る答えに辿り着く。
<でも本当に其れで良いのか?、其れじゃ何も解決しないのでは?>
「マー坊…、あたし如何すれば良いの?」
そう此の言葉が頭の中でリフレイン、此の言葉の中には此の女性の意思が介在しない、俺の考えで進めて良いんだろうか?、否、喜んで呉れるのか?、ずっと遺恨を残したままに為らないのか?、あの時こうすれば良かったと…。
「美澄、車を停めて来るって言ってたけど何処に停めて来るんだ?」
「……」
「美澄!」
「えっ?」
「だから車を何処に停めに行ったんだ?」
「傍のパチンコ屋さん…」
「あっちの?」
北の方を指さすと小さき頷いた、と言う事は戻って来る迄10分掛からない、此の僅かな時間で答え出さないといけないのか?、如何すりゃ良いんだよ…。
「美澄?」
「・・・マー坊あたし如何すれば良いの?」
未だ気持ちの整理が着かないか、そうだよな俺だって答え出ないし迷ってるし、せめて少し時間が欲しいな美澄と話す時間が…。
「美澄!、今直ぐ此処を出よう!」
「何処行くの?、直ぐに戻って来るって言ってたのよ?」
「メモ残して直ぐに出よう、連絡先は解るんだよな?、二人で話をして其の後電話で連絡すれば良い!」
「戻って来るって・・・」
そうか…、其れ位大きな存在だって事か…、そうだよな未だ二か月程の俺とじゃ存在の大きさが違うって事か・・・。
「美澄直ぐに出よう!、愚図愚図してる内に戻って来ちまうから!」
手を取り立たせようとしたんだ、でも・・・。
「何処にも行かない、話が有るって、戻って来るって言ってたんだよ?」
。゜(゜´Д`゜)゜。
俺の問いかけを頑なに拒否した。
頑なに…